英国の法的抜け穴利用、廃タイヤ輸出が環境を脅かす背景

規制の緩いインドへ輸出 環境と人に悪影響 英国のタイヤ業界団体は、労働党政権に対し、数百万本の使用済みタイヤがインドに運ばれ焼却処分されている法的抜け穴を早急に是正するよう求めた。 タイヤ製造業者および再生タイヤ業者を代表する英国タイヤ製造業者協会(BTMA)のダーレン・リンジー会長は、政府に対し、いわゆる「T8」免除制度を廃止し、「より厳格な規制とトレーサビリティ対策を導入する必要がある」と警告した。 英国のタイヤ業界団体は、使用済みタイヤに関する規制強化とトレーサビリティ対策を求めている。 これにより、規制や環境基準が英国の基準と一致しない国に廃棄される使用済みタイヤによる環境と人への悪影響をなくすことができるという。公式統計によると、英国で毎年廃棄される5000万本のタイヤのうち、約半数が海外に輸出されている。 こうしたタイヤを海外に輸出することを許しているのは、T8免除制度だ。この免除は申請が簡単で、現地調査も不要で承認される。もともとは、農業やリサイクル業者などリスクの低い分野で、厳しい環境許可を申請することなく、週に40トンまでの廃乗用車用タイヤを処理できるようにするために導入されたものだ。 例えば、タイヤを「ベール」と呼ばれる巨大な立方体の塊に圧縮し、インドなどの国に輸出して破砕・粒状化するという方法がある。これは英国での処分方法と似ているが、はるかに安価に済ませることができる。 しかし、リンジー氏は、この抜け穴が廃タイヤ回収業者の一部によって悪用されていると指摘する。同氏は政府に対し、この免除制度を廃止し、タイヤの移動と処分を監視するための厳格な規制とトレーサビリティ(追跡可能性)対策を導入するよう求めている。 最近のBBCの調査では、これらのベールが適切にリサイクルされるという名目で輸出されていたが、実際にはインドの闇市場とつながる企業によって焼却処分されていたと報じられている。 タイヤの焼却は、有害な煙や汚染物質を排出するため、英国では違法だ。代わりに、英国では使用済みタイヤは廃棄物処理またはリサイクルの登録業者によって処理され、追跡が可能となっている。 リンジー氏は次のように述べた。 「英国では規制のない自由市場システムを採用し、世界がエネルギー価格の高騰に直面していることから、高熱量価値を持つ廃タイヤが世界中に輸送されるのに完璧な条件が整っていると言える。しかし、政府がT8免除制度を廃止すれば、毎日英国から輸出される1000トンの廃タイヤ取引は大幅に減少するだろう」 タイヤ回収協会(TRA)の事務局長であるピーター・テイラー氏も、これとほぼ同意見だ。ただし、同氏は「英国におけるタイヤ回収は市場原理に基づいているものの、決して規制されていないわけではない」と強調した。 「残念ながら、現在の規制制度は機能していない。T8免除制度は廃止すべきであり、リサイクルのために輸出されるタイヤは、インドのような国での不適切な処理を最小限に抑えるため、(圧縮ではなく)破砕すべきだ」 テイラー氏は2018年からT8免除制度の廃止を訴えてきた。同氏によると、違反しているのは「意図的に法律を破っている少数の回収業者」だが、「依然として増加傾向にある」という。 しかし、問題はそれだけではない。BTMAとTRAは、政府の消極的姿勢がタイヤリサイクル産業に修復不可能なダメージを与えると懸念している。 「英国には、廃タイヤのすべて、あるいは少なくとも80%をリサイクルする能力がある。しかし、T8免除制度が存在する限り、タイヤリサイクル業界への投資はほとんどないだろう。政府は、リサイクルインフラとそれを支えるサプライチェーンが失われる前に、迅速に法的措置を講じる必要がある」とテイラー氏は説明する。 これに対し、環境・食糧・農村地域省は、大臣らが廃棄物と資源に関する優先事項を検討中で、T8免除制度の廃止案も挙がっていると述べた。 原文:ジェームズ・ゴードン(James Gordon)

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