【ターゲットは新人類】CMは山下達郎&永井博!新型ダイハツ・ムーブを3つのテーマで深掘り

疑問1:なぜ、新型ムーヴはスライドドアを採用したのか? 6月5日、ダイハツは新型ムーヴの発表会ののち、メディアに向けて取材会を開催した。開発責任者の戸倉宏征(とくら・ひろゆき)製品企画部チーフエンジニアをはじめ、開発者たちの声を聴くことができたので、その中から興味深い話を紹介しておこう。 【画像】歴代モデルも展示!新型ダイハツ・ムーブ発表会 全114枚 ムーヴにスライドドアを採用するキッカケになったのは、2016年に発表した初代ムーヴキャンバスの成功にあったという。軽自動車のスライドドアといえば、車高が1800mm近くあるスーパーハイト系の専売特許? だったが、もう少し低いハイト系として初めてスライドドアを採用したムーヴキャンバスはヒット。現行型の2代目もキープコンセプトのスタイルにスライドドアも踏襲し、人気を持続している。 6月5日に行われた新型ダイハツ・ムーブ発表会。右のイラストが永井博が今回描いたもの。 山本佳吾 1993年にスズキが初代ワゴンRを発表し、これが人気を集めたことからダイハツも対抗モデルとして1995年に初代ムーヴを発表。その後、多くのメーカーも同様のボディタイプの軽自動車を発表したことから、いわゆる『ハイト系』ワゴンが軽自動車の主流となる。 しかし、2003年にダイハツが初代タントを発表し、ハイトワゴンよりも背が高くスライドドアを採用した『スーパーハイト系』が登場する。広い室内空間やスライドドアの利便性などで人気を集め、多くのメーカーが追従し、いまやホンダ N-BOXが『日本で一番売れているクルマ』の座を維持し続けている。 スライドドアを採用してもスタイリッシュなデザインは可能 そしてムーヴキャンバスを追うかのように、スズキもワゴンRスマイルというスライドドアを採用したハイト系を2021年に登場させる。いまや、軽乗用車の約半分がスーパーハイト系、そしてスライドドア比率は約6割に達しているという。 開口部が大きく、お年寄りや子どもを乗り降りさせるのにラク、狭い場所でも乗り降りしやすい、強風時などでもスイングドアのようにあおられない、といった利便性や安全性の面も考慮して、新型ムーヴもスライドドアの採用に踏み切った。 新型ダイハツ・ムーブはハイト系ワゴンながら、スライドドアを採用した。 山本佳吾 スライドドアを採用しても、ムーヴらしいスタイリッシュなデザインは可能であり、現在のムーヴ・ユーザーはもちろん、他のハイト系ユーザーに向けてスライドドアのムーヴを導入することで、ハイト系の市場を再び活性化させようというのが狙いだ。 そしてもちろん、若い女性を中心に人気を集めているムーヴキャンバスとはデザイン面から棲み分けされ、男性やシニア層にも好まれやすいスタイリッシュなものとして、両車が併存できるようにしている。 疑問2:なぜ、新型ムーヴに『カスタム』は設定されなかったのか? 実は、軽乗用車に『カスタム』タイプという標準タイプとは別のバージョンを設定したのは、初代ムーヴだった。1997年の一部改良で通称『裏ムーヴ』と呼ばれたムーヴカスタムを設定。メーカー自らが内外装をドレスアップしたカスタム系は人気を集め、こののち多くのハイト系やスーパーハイト系は、標準タイプとカスタム(メーカーによって名称は異なるが)タイプをラインナップすることになる。 だが、ムーヴも初代が登場してから30年。市場を取り巻く環境は変化し、ユーザー層も変化した。初代では子育て世代が約半分、若年層が約3分の1、残りが子離れ層といったユーザー比率だったが、先代の6代目では子離れ層が半分以上を占め、若年層が約4分の1、残りが子離れ層となった。子育て世代は、より室内が広いスーパーハイト系のタントを選ぶようになった。 新型ムーブにカスタムは設定されないが、『ダンディスポーツスタイル』などを新たに設定。 山本佳吾 思えば、初代ムーヴが登場した時、ダイハツの軽乗用車はミラとムーヴしかラインナップされていなかった。それゆえユーザーの多様なニーズに対応させるために、カスタムが設定された。だが今や、ダイハツの軽乗用車もタント、ムーヴキャンバス、タフト、コペンとラインナップは豊富だ。 前述のようにムーヴのユーザー年齢は上がっており、かつてほど標準タイプとカスタムタイプのユーザー層の境界が曖昧になってきた。そこで新型ムーヴでは『ワンコンセプト、ワンシルエット』と呼ばれるひとつのボディタイプに統一。今までの標準タイプよりはスポーティな印象を強めながら、カスタムタイプほど『オラオラ』ではない大人の雰囲気も感じさせ、両車の『イイトコ取り』をした、なかなか絶妙なデザインといえるだろう。 それでも、自分なりのタントを仕上げたいというユーザーのために、『ダンディスポーツスタイル』と『ノーブルシックスタイル』という、メーカーオプションとディーラーオプションを組み合わせた『アナザースタイル』を設定し、選択の幅を拡げている。 疑問3:なぜ、TV CMに『山下達郎と永井博の世界』を選んだのか? 既にTVでご覧になった方もおられるだろうが、新型タントのTV CMは、山下達郎の書き下ろし楽曲『MOVE ON』と、永井博のイラストによるノスタルジックな世界観とともに、新型ムーヴのスタイリッシュなデザインと登場感を表現したもの。 いかにも達郎サウンドの爽やかな楽曲をBGMに、青い海や空、椰子の木といった『永井博の世界』の中で走る白い新型ムーヴが眩しい。キャッチコピーは『もう一度、心が動き出す。』、ナレーションは「新型ムーヴ、誕生」だけ。まさに1980年代っぽいCMなのだが、これには理由があった。 永井博が描いたイラスト。『MOVE ON』のタイトルで山下達郎がCM用に楽曲を書き下ろした。 山本佳吾 実は新型ムーヴのターゲット層は『新人類』なのだという。『新人類』、久しぶりに聞いた言葉だが、マーケティングにおけるセグメンテーションでは、1960年代生まれの世代を総称している。そんな新人類も、2025年の現在では50代後半から60代前半のシニア層。 つまり、子育ても終わりエンプティネスター(巣が空になった、という意味)となった新人類に向けて新型タントをアピールするために、彼らの若き時代を彷彿とさせる『達郎&永井博』の世界でCM展開しているというわけだ。 なお、このTV CMは今のところ15秒版の1バージョンのみで、30秒版も別バージョンもない。最近のTV CMは15秒版が主流になっていることにもよるらしい。また新バージョンや続編に関しては、現段階ではノーコメントとされていたが、今後に期待したい。 また、達郎の書き下ろし楽曲も現在のところCMで使われている部分を含めた30秒くらいのフレーズで、完成はしていないらしい。だが、今までの彼の作品を考えれば、次に作成されるアルバムには、フルバージョンとなって収録されるに違いない。 新人類に向けたダイハツ 新型ムーヴ、クルマだけでなくTV CMでも話題を集めそうだ。

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