2025年版 小型で実用的な欧州Bセグ・ハッチバック 10選 キビキビした走りと多用途性

走りも使い勝手も優れた「スーパーミニ」 デザイン、走行性能、使い勝手の良さ、コストパフォーマンスなど、さまざまな観点から特に優れた欧州Bセグメント・ハッチバックのベスト10を紹介する。 【画像】総合力の高さで有無を言わさぬ高評価【ルノー・クリオを写真で見る】 全19枚 近年、車高の高いクロスオーバーやSUVがトレンドとなっているが、小型ハッチバックの存在感はまだまだ大きく、欧州市場における新車販売台数の上位を占めている(2024年のトップはダチア・サンデロ)。 欧州Bセグメント・ハッチバックのベスト10を紹介する。 欧州ではBセグメント車のことをよく「スーパーミニ」と呼ぶ。今回は、3〜4人家族で使える広さに加えて、デザインの魅力、パッケージングの良さ、運転しやすさ、使い勝手の良さなどを評価し、スーパーミニのランキングを作成した。 走行性能においては、クルマとの一体感と機敏さが重要な要素となる。スーパーミニは本来機敏で、ある程度の運転の楽しさがあるべきだ。緩慢なステアリングは大きな欠点である。たとえパワーが控えめでも、必ずしも満足できないわけではない。 1. ルノー・クリオ(ルーテシア) 長所:インテリアの見た目と質感はどのクルマにも引けを取らない 低燃費なハイブリッド 手頃な価格 短所:乗り心地はもっとしなやかであってほしい 長距離では後部座席は大人には快適ではない MTはギクシャクする ルノー・クリオ(日本名:ルーテシア)は数年前のモデルと比べて、キャビンのデザイン、人間工学に基づいた設計、そして質感の高さが大幅に改善されている。その一方で、コストパフォーマンスも相変わらず大きな強みである。 1. ルノー・クリオ(ルーテシア) 凸凹の多い一般道においては、「フランス車」に期待するよりも乗り心地が硬く、ぎこちなさを感じる。不快というほどではないが、かつてのようなしなやかさはない。 しかし、ハンドリングは好印象だ。ステアリングレスポンスは最高とは言えないが、かなり直感的でナチュラルなフィーリングを持つ。ボディは多少ロールするものの、コーナリング時のバランスを保つのに十分なシャシー性能を備えている。 以前はRSという高性能モデルが存在したが、残念ながら今はない。現行世代で最速のモデルは最高出力140psのクリオEテック・ハイブリッドである。純ガソリン車に比べてやや高価だが、トヨタ・ヤリスやホンダ・ジャズ(日本名:フィット)と比べてはそれほどでもない。 ルノーのハイブリッド・パワートレインは、大型車では少しパワー不足を感じることもあるが、小柄なクリオにはぴったりで、ヤリスやジャズよりも速くて魅力的に仕上がっている。 2. セアト・イビサ 長所:コストパフォーマンスが良い ワンクラス上のモデルに近いものがある VWポロよりも内装が良い 短所:競合のフォード・フィエスタほど運転が楽しくない エントリーグレードには装備が少ない ハイブリッド車がない スペインの自動車メーカーで、フォルクスワーゲン・グループ傘下のセアトが手掛けるコンパクト・ハッチバックのイビサ。第5世代にあたる現行型は2018年に登場し、欧州市場におけるセアトの主力モデルとなっている。 2. セアト・イビサ フォルクスワーゲン・グループのMQBプラットフォームを使用し、2021年の改良でさらに魅力が増している。それに加えて、ハンドリング、洗練性、コストパフォーマンス、充実した標準装備、若々しいスタイリングなどが組み合わさっており、注目すべき点は多い。 運転の楽しさではフォード・フィエスタ(現在は生産終了)に敵わないが、それでもかなり楽しいものだ。車内にはソフトタッチの素材が多く使われ、セアト最新のインフォテインメント・システム(一部でバグの発生も報告されている)も搭載されている。 イビサはどちらかというと、フィエスタよりも丸みを帯びた、高級感ある所有体験を得られる。フォルクスワーゲン・ポロよりも運転が楽しく、素晴らしいインテリアを備えていることから、AUTOCAR英国編集部のお気に入りの1台となっている。 3. スコダ・ファビア 長所:広々とした車内空間 一部の高級車よりも乗り心地が良い 価格競争力がある 短所:硬くてざらざらした樹脂の内装トリム 運転に面白味がない ハイブリッド車がない チェコの自動車メーカーで、フォルクスワーゲン・グループ傘下のスコダは近年、これまでのバジェットカー(低価格車)路線から離れて少しずつ高級路線へと転換を図っている。やや高価になりすぎたモデルもあるが、現行型のファビアでは絶妙なバランスを実現している。 3. スコダ・ファビア かつてほど安価ではなくなったが、それでもトップクラスにお手頃な価格設定である。車内はホンダ・ジャズに次ぐ広さがある。 インテリアは特別豪華というわけではないが、コントロール(操作系装置)が大きくてシンプルな物理ボタンにまとめられており、直感的に操作できる。人間工学的に優れたデザインだ。 英国仕様のパワートレインは、3気筒と4気筒のガソリンエンジンが用意されている。できれば自然吸気モデルは避け、TSIターボ搭載の「95 PS」モデルを選びたい。もっとパワフルなエンジンもあるが、高いお金を出してまで選ぶほどではない。 フォルクスワーゲン・ポロや前述のセアト・イビサと多くの主要部品を共通化しているが、ドライビング・エクスペリエンスによってうまく差別化できている。スポーツ走行や刺激を追求するわけではない。コーナリングでもふらふらすることなく、非常に快適な乗り心地を実現している。 実用性重視なら、ファビアは最適だ。しかし、標準装備が乏しいのが玉に瑕で、マトリックスLEDヘッドライトや運転支援システム、アクティブセーフティ機能、大型タッチスクリーン、デジタル・インストゥルメント・ディスプレイなどはすべて有償オプションとなっている。 4.フォルクスワーゲン・ポロ 長所:内外装のしっかりした作り 優れた洗練性 サイズの割に広い車内 短所:走行性能がやや物足りない ライバル車の方がコストパフォーマンスが高い カリスマ性に欠ける フォルクスワーゲン・ポロは、実用性、広々とした車内、快適性、洗練性、スマートな外観など、褒められる点が多い。それほど高くない価格でこのような優れた特徴を備えているため、Bセグメント・ハッチバックとして最も優れた選択肢の1つと言える。 4.フォルクスワーゲン・ポロ 現行型は先代モデルから大きく進化し、印象的な新技術と高いドライビング・ダイナミクスを併せ持っている。 パワートレインはほぼ全般的に強力であり、乗り心地と機械類の洗練度も非常に高い。後部座席には平均的な身長の大人や子供が座れるだけのスペースがある。 ポロはこのクラスのハッチバックの理想形に近い。しかし、かつてはトップを独走していたものの、強力なライバルの台頭により存在感が薄まってきている。ライバルたちはポロよりも独創的で、活発に走り、遊び心があり、高級感のあるインテリアを備えている。フィエスタやイビサのようなクルマの方が運転していて楽しいと思える。 5. ヒョンデi20 長所:装備が充実 広々としたキャビンとトランク インフォテインメント・システムが使いやすい 短所:乗り心地とハンドリングが平凡 ギア比が長いためパフォーマンスは今ひとつ プラスチックの内装が安っぽい 標準モデルのヒョンデi20は、シリーズのトップに位置する優れた派生モデル、i20 Nによって存在感が薄くなっている。 5. ヒョンデi20 しかし、i20には、広々とした車内空間、大きなトランク、充実した標準装備など、魅力も多い。 一方で、インテリアの質感はクリオやポロほど良くないし、価格から期待されるほどの仕上がりではない。 乗り心地はかなり硬めだが、その分、ライバルにはないシャープな走行感覚がある。運転の楽しさではやはりフィエスタに軍配が上がるが、退屈というほどでもない。 6. ダチア・サンデロ 長所:コストパフォーマンスが非常に高い 小さな家族には十分な広さ 驚くほど高い品質 短所:ユーロNCAPの安全性評価が低い 一部のエンジンは非力で常にフル回転が必要 Bセグメント・ハッチバックは手頃な価格設定を最大の売りとするクルマであり、走りの良さはおまけのようなものだ。 6. ダチア・サンデロ ダチア・サンデロは今回紹介する10台の中で最も運転が楽しいクルマだと言うつもりはない。それはありえない。しかし、1万2000ポンド(約230万円)強の価格で、広々とした車内としっかりとした品質を備えている。 快適なシート、扱いやすい位置にあるコントロール類、高速走行での燃費の良さ、すっきりとしたエクステリアデザインなど、AUTOCAR英国編集部はサンデロを全体的に高く評価している。 シンプルなところが魅力的で、使えば使うほど愛着が湧いてくる。ダチアはルノー・グループ傘下であるため、その根底にはフランス車らしさを感じることができる。それは悪いことではない。 7. トヨタ・ヤリス 長所:市街地での走行性能が優れている ダイナミックな走り 非常に経済的 短所:パワートレインはやや物足りない 乗員スペースとトランクがライバルに劣る 一部の主要装備は有償オプション ヤリスは1999年の登場以来、いたるところで見かけるBセグメント・ハッチバックの名車であり、第4世代となる現行型はさらに見事な進化を遂げている。 7. トヨタ・ヤリス 見た目はこれまで以上に良くなり、ハンドリングは同クラスの人気車種とほぼ同等の切れ味を持ち、ハイブリッド・パワートレインのおかげで日常的な使用において非常に低燃費である。 とはいえ、直進加速時のパワーは少し物足りなく、大径ホイールをオプションで選ぶ場合は注意が必要だ。そうすると足回りが硬くなり、乗り心地に悪い影響を与える。 車内がもう少し広ければいいのだが、それでもヤリスは非常に愛着のわくコンパクトカーであり、新しい個性を持ったトヨタ車の好例である。 8. プジョー208 長所:ファッショナブルな外観 パワフルなエンジン 洗練された走り 短所:低いステアリングホイール位置は万人向けではない 時折、乗り心地が硬い 後部座席が狭い Bセグメント・ハッチバックのデザインとして、プジョー208は最高の教材かもしれない。 8. プジョー208 優れたエクステリアを裏打ちする、質感の高いインテリア、そして3Dデジタル・インストゥルメント・ディスプレイのような上級装備も備えている。 ただ残念なのは、基本となるキャビン構造に同様の注意が払われていないことだ。もちろん体格にもよるが、不自然な運転姿勢しか取れず、iコクピットの視認性も制限され、後部座席のスペースも非常に限られている。 オンロードでの運転のしやすさに関しては申し分なく、洗練された走りを見せる。ハンドリングは正確でコントロールしやすく、シャシーからある程度の遊び心を引き出すこともできる。機敏さや軽快感ではライバルに劣るところもあるが、退屈なクルマというわけではない。 3気筒ガソリンエンジンは性能もさることながら、静粛性や振動特性が素晴らしい。e-208というEV版も選ぶことができる。 9. アウディA1 長所:アウディらしくプレミアムな雰囲気 パワートレインは洗練され、経済的 アスリートのような外観 短所:サスペンションのチューニングに洗練さが欠ける コストパフォマンスは低い 高速走行時のロードノイズ 第2世代のA1は、Bセグメントの高級車として確固たる地位を築いており、それにふさわしい価格設定となっている。 9. アウディA1 特にスポーティな仕様の車種では、その外観に魅力を感じる点が数多くある。ライバルには可愛らしいだけで存在感に欠けるクルマも多い中、A1はスポーティさを主張する1台である。 ハンドリングは良好で、シャシーは比較的アグレッシブな運転スタイルを好む。ミニ、フォード・フィエスタ、セアト・イビサほどは機敏ではないが、活気は感じられる。 その一方で、スポーティなサスペンション設定ゆえに乗り心地の繊細さに欠ける面もあり、ステアリングは少し軽すぎる。やや堅苦しく、手放しで称賛することはできない。 10. ミニ・クーパー・エレクトリック(先代モデル) 長所:運転が楽しい 魅力的なスタイリング パワフル 短所:実走行距離が短い バッテリーが小さい 実用性は高くない (翻訳者注釈:本国版の記事更新の都合上、ここでは昨年発売された新型ではなく、先代モデルを紹介しています。) 10. ミニ・クーパー・エレクトリック(先代モデル) Bセグメント・ハッチバックにもEVが増えてきた。短期間に大きく進歩しており、今回もあえてEV版のミニ・クーパー・エレクトリック(日本名:クーパーS E)を紹介することにした。 純粋に客観的かつ合理的な観点で記事を書くとしたら、クーパー・エレクトリックは候補から漏れていただろう。AUTOCAR英国編集部のロードテストでは、1回の充電での航続距離がわずか160〜190kmだった。トランクは小さく、後部座席は乗り降りしにくい。しかし、幸いにもこの記事は科学的なものではない。 クーパー・エレクトリックは、可愛らしさとエネルギーで編集部を虜にした。 最高出力183ps、最大トルク27.5kg-mを発生し、ここで紹介した他車よりも俊敏なパフォーマンスを発揮する。ハンドリングは鋭くて安定感があり、ガソリン車のミニと遜色ない。

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