13日に開幕する大阪・関西万博。課題もある中、会場内のトイレや万博のシンボル「大屋根リング」などに関するデマ情報が拡散されています。現地取材も踏まえてファクトチェックしました。情報を広める時や受け取る時に意識しておきたいことを考えます。 ■建設・撤去工事で1億5000万円 藤井貴彦キャスター 「ネット上では、様々なデマ情報も多く拡散されているといいます」 小栗泉・日本テレビ解説委員長 「例えば、万博内に設置されているトイレ。ある写真が『2億円かけて作られた』という文字とともにSNS上に投稿され、『無駄遣いにもほどがある』などのコメントが寄せられています。このトイレはどういったものなのか、9日に取材してきました」 「写真(だけ)では分かりにくかったかと思いますが、実際は多くのトイレが設置されている場所の一部分でした。日本ファクトチェックセンターによると、建設・撤去工事一式で1億5000万円ほどで落札されたものだといいます」 藤井キャスター 「広いですね。撤去費用も含まれているんですね」 ■一般的な公衆トイレの建築費用は? 小栗委員長 「一般的な公衆トイレを作る際の平米単価(延べ床面積1平方メートルあたりの建築費用)は約74万円とされていますが、日本ファクトチェックセンターによると万博のトイレは撤去費込みで約62万円。一般的な公衆トイレよりも安いということです」 藤井キャスター 「(投稿されたような)写真で『2億円のトイレ』『無駄遣いだ』というのは、間違った情報による不正確な印象だということですね」 ■「水洗トイレではない」という情報も 小栗委員長 「トイレについては他にもあります。万博のトイレは“くみ取り式”、つまり水洗トイレではないという情報もSNSで拡散されています」 藤井キャスター 「こういった情報を見たことはありますか?」 板垣李光人さん(俳優・『news zero』水曜パートナー) 「あります。トイレに関する他の書き込みをSNSで見て、本当かなと思って調べたら、結果デマだと分かったことがありました」 小栗委員長 「許可を受けてバリアフリートイレを9日取材したところ、ボタンを押すときちんと水が流れました。万博の広報によると会場には46か所のトイレがあり、その全てが水洗トイレだということです。そのため、“くみ取り式”という情報は誤りということになります」 ■「大屋根リング」の情報も拡散 小栗委員長 「さらに、大屋根リングに関しても『波の影響でリングが崩れる』といった情報が拡散されています。確かに大屋根リングの足元の護岸については、これまで一部が波の影響で崩れたことが公表されています」 「ただ万博のホームページ上では『護岸が浸食された影響は受けず、大屋根リング自体の構造は安定している』と説明されているほか、(大阪府の)吉村知事も『60メートルの杭を打ち込んだため崩れない』と主張。そのため、根拠不明の情報と言えそうです」 藤井キャスター 「大きなイベントのデマ情報には十分注意したいところですね」 小栗委員長 「ネット上の誹謗(ひぼう)中傷問題に詳しい国際大学の山口真一准教授によると、誤った情報をもとに誰かを批判することは、もはや批判ではなく、誹謗中傷にあたるとしています」 「情報を拡散したいと思った時、発信者は誰なのか、他の人はどう言っているのか、検証する癖をつけることが大事だということです」 藤井キャスター 「板垣さんは自分で確認したということでしたが、こういう情報をどう見ていますか?」 板垣さん 「1つだけの情報を見るのではなく、きちんとファクトチェックをした上で情報を取捨選択することが大事だなと思います」 「AIでのファクトチェックもあると思いますが、AIだからと頼りすぎずに、同じ情報の中から自分自身で考えることが大事だなと思います」 (4月9日『news zero』より)