ウクライナ資源協定でトランプ氏が強硬要求を譲歩した理由

 【ワシントン=池田慶太】米国とウクライナ両政府は懸案だったウクライナの資源権益に関する協定に署名し、2月末の首脳会談決裂で悪化した両国関係の改善を印象づけた。  ロシアによるウクライナ侵略を巡る和平交渉で、ロシア寄りの主張が目立っていたトランプ米政権の姿勢に変化が生じるかどうかが注目される。  米国のトランプ大統領は4月30日、米新興メディアの電話インタビューで「彼らは素晴らしいレアアース(希土類)を持っている。大きな資産だ」と述べ、米国が安全保障上重視しているレアアースの安定供給を可能にする今回の協定合意を歓迎した。協定はレアアースに加え、石油や天然ガスの採掘や加工、関連のインフラ事業にも米国の参画を可能にする内容で、米国にとって経済的利益は大きい。  トランプ氏は税金が無駄遣いされているとしてウクライナ支援に一貫して否定的な見解を示し、協定交渉では過去の支援の「返済」を求めた。今回の合意ではこうした要求を取り下げ、譲歩した。先に政権発足100日の節目を迎えたトランプ氏にとり、国内向けの「外交成果」としてアピールできると判断した模様だ。  ウクライナにとっても、トランプ氏との関係悪化を避けると同時に、米国の関与をつなぎとめるという点で、協定の締結にこぎ着けた意味は大きい。そもそも鉱物資源の共同開発は、ウクライナが昨年秋に策定した「勝利計画」の中で提案したものだ。復興の財源を確保するだけでなく、長い期間を要する資源開発事業などに米国を巻き込むことで、米国の中長期的な関与を引き出す狙いがあった。  交渉で求めてきた米国からの「安全の保証」の確約は得られなかったとみられるが、協定に署名したユリヤ・スビリデンコ第1副首相兼経済相はSNSへの投稿で「米国はウクライナの長期にわたる平和への関与を確認した」と強調した。  和平実現を急ぐトランプ氏は、領土問題などで妥協する姿勢を見せないウクライナを和平成立の障害と見て不満を募らせてきた。ウクライナは協定締結によるトランプ氏の態度軟化に期待し、少しでも自国に有利な条件での停戦実現に向けて米国への働きかけを強めたい考えだ。

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