神奈川県川崎市の20歳の女性が行方不明になり、元交際相手の自宅から白骨化した若い女性とみられる遺体が見つかった事件。女性の親族は、元交際相手からのストーカー被害を警察に相談したものの、対応してもらえなかったと訴えています。 ◇ 去年12月、20歳の誕生日を祝福され、照れくさそうにほほえむ女性。岡崎彩咲陽(あさひ)さん。この1週間後、行方がわからなくなりました。 それから約4か月。 多くの捜査員が集まっていたのは、彩咲陽さんの元交際相手の男性の自宅です。 この家で4月30日、身元不明の遺体が発見されました。 当時の映像には、青い鑑識服を着た捜査員が家の中へと入って行く様子が。 捜査関係者によると、遺体が見つかったのは床下の収納スペース。ボストンバッグの中に、全身ほぼ白骨化した遺体が入っていたといいます。明らかな外傷はないものの、燃やされた痕跡も確認されました。 神奈川県警は司法解剖を行いましたが、死因は不詳で腐敗の状況から死後1か月以上と推定。身元はわかっていませんが、若い女性とみられるということです。 元交際相手の男性と彩咲陽さんの間には、あるトラブルが確認されていました。 彩咲陽さんの親族 「ストーカー。毎日ストーカー。彩咲陽が歩き出したら後ろからずっと歩いている。マウンテンバイクみたいなものに乗って」 元交際相手の男性とみられる人物。 黒い目出し帽をかぶった人物が、家の周りをうろついています。 彩咲陽さんの父親は…。 彩咲陽さんの父 「ずっと家の周りうろうろしたり、娘が働いている場所うろうろしたり、毎日1日も欠かさず来ていた」 彩咲陽さんの友人 「私が彩咲陽ちゃんのおばあちゃん家に一緒に泊まったときに、『出てこい』と家のドア、ドンドンされたことはあった」 つきまといだけでなく…。 彩咲陽さんの親族 「公園で首絞められて慌てて逃げてきたと。はだしで逃げてきた。そのとき泥だらけで」 彩咲陽さんの親族 「連れ去られるんです。買い物とか行くじゃないですか。そこを見張っているから、そのまま連れて行かれたり」 暴力をふるうこともあったといいます。 一方、小学校から高校にかけて男性のことを知る人は… 小学校時代から男性を知る人 「かわいげのある弟みたいな。目立ちたがり屋ではなかった。ちょっとやんちゃっぽい。いつもちゃらけてる。バカして笑いをとるようなキャラ」 ──(高校時代)女性トラブルは? 小学校時代から男性を知る人 「当時、全くないです」 彩咲陽さんの親族などへの取材によると、元々、彩咲陽さんが勤めていたスナックに客として訪れていた男性。去年4月ごろから交際が始まりましたが、当時から暴行を受けていて、1か月ほどで別れることに。そのころから男性の“ストーカー行為”が始まったといいます。 そして去年6月ごろ、彩咲陽さんが顔を腫らせて帰ってきたため、神奈川県警に被害届を提出。しかし、その1週間後には…。 彩咲陽さんの親族 「結束(バンド)で手を結んで多摩川の方に連れて行って『おまえ被害届取り下げないとここらへんに捨てるぞ』って」 男性から脅されて、被害届を取り下げたといいます。 その後も男性のストーカー行為は続き、そのたびに神奈川県警に相談をしていたという彩咲陽さん。誕生日1週間後の去年12月20日、身を寄せていた祖母の家から姿を消しました。 当時、家の1階のガラスが割れていたため、親族は神奈川県警に相談しましたが…。 彩咲陽さんの親族 「事件性はないと言われた。写真も撮らなかった。(部屋の中に)手形もついてる。何もやらないで帰って行った。事件性がないって。おかしいじゃないですか」 さらに、12月9日から20日までの間に9回、彩咲陽さんから警察署に電話した通話記録があったといい、行方がわからなくなった前日の19日には男性から「殺すからな」とSNSでメッセージが届いていました。 父親らが今年3月、元交際相手の男性に話を聞くと、12月20日に自宅周辺には行ったが「彩咲陽さんには会っていない」と話したといいます。 その際に入手したという、男性とその母親のやりとりとみられる画面には…。 元交際相手の男性 「この家にいる バレてるからどっか遠く行く」 男性の母親 「何処へ行くの? いつ? 滞在先はどうするの?」 「遠くに行く」と送っていた男性。その後の取材で、元交際相手の男性が4月に海外に出国していたとみられることが新たにわかりました。 神奈川県警は、彩咲陽さんが行方不明になって4か月ほどたってから、男性の自宅を家宅捜索。家宅捜索の容疑は「ストーカー規制法違反」でした。 ◇ 元神奈川県警捜査1課長の鳴海氏に、今回の神奈川県警の対応について聞きました。 まず、被害届が一度取り下げられたことについては…。 元神奈川県警 捜査1課長 鳴海達之氏 「別れた後に顔を殴られたりの被害があって被害届を出した。これは絶好のチャンスです。 身柄を確保する絶好のチャンスなんです。(被害届を)取り下げるときの経緯をよく聞いて、なんで取り下げるのかを聞いてほしかった」 「自分も含めて家族にも危害が加えられるようなこと言われると、なかなか本音は言えないので、そこは十分に聞き出してほしかった」 行方不明になる前に、9回電話をしていることについては…。 元神奈川県警 捜査1課長 鳴海達之氏 「どんな事情があれ被害の申告をするんだから、それはその都度話を聞いて対処しなければいけない。何回も同じような通報があるから、たいしたことないんじゃないのって思ってるんだとしたら大間違い」 そして、行方不明になった当時、ガラスが割れていたことについては…。 元神奈川県警 捜査1課長 鳴海達之氏 「ガラスが割られたときに、20歳の女性がいなくなっていることを関連付けて考えるのが普通だと思う。現場にいた警察官が事件性がないですと判断するのは違うのかなと」 ◇ 神奈川県警は死体遺棄事件として捜査していて、遺体の身元の確認を急ぐとともに、彩咲陽さんとの関連を慎重に捜査しています。 ※5月3日(土)午前0時15分(金曜深夜)放送 『news zero』より