マジ…すげぇ! 斬新な「観音開きスライドドア」ミニバンはとにかく凄かった! 販売苦戦…ジーカー「MIX」に中国で試乗、印象は?

前後スライドドア採用の近未来的ミニバン!「ジーカー MIX」試乗  一般的なミニバンは、後席ドアが後方にスライドするタイプが主流です。  しかし、世の中には前席ドアは前方に、後方ドアは後方にまるで観音開きのような開き方をするミニバンも存在します。 車体右側は前後スライドドア!? 観音開きが凄い!(撮影:加藤博人) 【画像】「えぇ!」 これが「斬新スライドドアミニバン」です!(30枚以上)  それは中国の純電動ブランド「ジーカー」が2024年に発売したミニバン「MIX」です。  今回、中国で試乗する機会を得ましたが、いったいどのようなクルマなのでしょうか。  ジーカーは中国の民営自動車メーカー「ジーリー(吉利)」が2021年より展開している純電動ブランドです。  ジーリー自体は多くのブランドを擁していることで有名で、2016年にはボルボと共同で若年層を意識した「リンク・アンド・コー」を設立、そのブランドのセダン「03」は2018年に静岡県の富士スピードウェイでワールドプレミアを行なったことで日本でも有名となりました。  ジーカー自体はリンク・アンド・コーの兄弟ブランド的立ち位置で、最初のモデル「001」は当初、リンク・アンド・コーの名前を冠したコンセプトモデルでした。  ジーカーは現在、シューティングブレークの「001」、セダン「007」、ステーションワゴン「007 GT」、ミニバン「009」「MIX」、SUV「X」「7X」「9X」の計8車種をラインナップしています。  どのモデルも電気自動車(BEV)となっており、スウェーデン・イェーテボリにあるデザインセンターが中心となって仕立て上げた斬新でスタイリッシュなデザインを特徴としています。  また、ヤマハが専用でチューニングを施したサウンドシステムや、曙ブレーキ工業製ブレーキもいくつかの車種でオプションとして設定しており、何かと日本企業との繋がりが多い中国ブランドでもあります。  今回はジーカーが2024年に発売したミニバン「MIX」を試乗しました。  ここ4、5年ほどで中国のミニバン市場は激化しており、これまでミニバンを発売してこなかったメーカーも新たにミニバン車種を取り揃えたりと、市場の構図は着々と変化しています。  その中で投入されたMIXは意外にもどのメーカーが注目してこなかった「ミドルサイズ」のミニバンとなっています。  ボディサイズは全長4688 mm x 全幅1995 mm x 全高1755 mm、ホイールベースが3008 mmです。  参考までにジーカーで展開しているもうひとつのミニバン「009」は全長5217 mm x 全幅2024 mm x 全高1812 mm、ホイールベース3205 mmとなり、「全長5メートル超・全幅2メートル超」というのが今の中国製大型ミニバンのスタンダードとなります。  そう考えると、MIXはそういったミニバンよりもひと回り小さいサイズ感を誇るわけです。  MIXは現在2つのグレードで展開されていますが、違いはバッテリーの大きさと航続距離のみ、動力性能に大きな違いはありません。  27.99万元(約556.9万円)のグレードでは容量76 kWhのリン酸鉄リチウムイオン電池を搭載、一回の充電で550 km(CLTCモード)を走れる仕様です。  一方、2万元高い29.99万元(約596.7万円)ではバッテリーの容量を102 kWhまで拡大し、素材も三元系リチウムイオン電池となります。  これにより航続距離は702 km(CLTCモード)まで伸びています。パワートレインは両モデルともに出力415 hp/トルク440 Nmの駆動用モーターをリアに配置した後輪駆動となります。 これは凄い! 観音開きのスライドドア! どんな感じ?  ミニバンらしい角ばったスタイリングを捨て、滑らかで流線型を描くシルエットはトヨタの初代エスティマをも想起させます。  フロントマスクはセダン「007」でも採用されていた市光工業製のLEDディスプレイ付きヘッドライトを採用、ジーカーでは「スターゲート」と呼称するユニットです。  ユニット両端の下部にはヘッドライト、その上にはデイライトとLEDセグメントを設けることで、車内ディスプレイで描いた手書きの絵や文字などをフロントに表示することができます。  MIXのユニークな点はこれだけではありません。  車体の右側はフロントもリアもスライドドアを採用しており、観音開きのようにそれぞれが前後にスライドして開きます。  機構自体はボディ上部と下部にそれぞれ設けられたリンクでドアを動かす形式となっており、Bピラーも車体側面のスライドレールも存在しません。  これにより、容易な乗り降りや広々とした景色を実現しただけでなく、車体のデザインも統一感のあるものを実現できたわけです。 助手席はくるっと回転!?(撮影:加藤博人)  一方、車体の左側はフロントドアが通常のドアで、リアのみスライドドアとなります。  室内は3205 mmもあるホイールベースのおかげで無限の広さを感じさせます。  特にフロントシートとリアシートは同じフロアのシートレール上で動作しており、自由自在なレイアウトを特徴としています。  荷物スペースを畳み、フロントシートをダッシュボード直前まで動かすことでリアシートで極上のくつろぎ空間を実現したり、逆にリアもフロントも全開まで後ろへ下げ、フロントシートに座りながら広々とした足元を味わうことも可能です。  さらにフロントシートには電動回転機能も備えており、助手席のみ回転させて後部の子供を世話する子育てモードや、前2席とも回転させて後ろに座る人と対面で楽しめるモードなど、さまざまなシートレイアウトがセンターディスプレイからワンタップで操作できます。  希望するレイアウトを選択すると注意するべきシートの移動範囲が表示され、障害物がなにもないこと確認、あとは機械に任せるだけで好きなレイアウトが完成されます。  ダッシュボードはフラットな二段構えとなっており、センターには15インチ2.5Kディスプレイを搭載しています。  ジーカーではメディアやナビ、エアコンの操作をすべてこのディスプレイに集約しており、物理ボタンはハンドル盤面上のボタンやハザードランプのスイッチぐらいにとどまります。  エアコン送風口の向きを調整するツマミも廃止してディスプレイ内のエアコンメニューから操作する形となりますが、この辺りはエアコンの細かい調整を瞬時にしたい筆者にとってかなり不便な点と感じました。 斬新ミニバン、いざ試乗! どんな印象?  実際に運転席に座ってみるとダッシュボードの広さを真っ先に感じます。  これはAピラーが凄く寝ていることに起因しますが、それと同時にフロントオーバーハングは短く設計されているので、このダッシュボードの広さでも意外と前方視界はクリアです。  一方でAピラーは凄く太い2本のピラーで構成されています。Bピラーレスのために剛性を確保する設計なのかもしれませんが、左右前方の視界に影響するほどの太さなのはマイナスポイントです。  車両重量が2.7トン近くある車体ながらも、トルクフルなモーターのおかげで加速におけるストレスは感じません。  短い前後のオーバーハングに加えて3008 mmというホイールベースは操舵性に一見難がありそうですが、意外にも取り回しはしやすく、狭い範囲でのUターンも特に問題なくこなしてくれます。  一方で乗り心地に関してはフロントとリアで大きな差を感じました。  サスペンション自体はフロントがマクファーソンストラット式、リアがマルチリンク式となります。  全体的に硬めな乗り味ですが、運転席に座って運転している際は特に不快感を覚えず、路面の凹凸や段差を上手に処理してくれる印象です。  ですが、リアに座ってみるとその印象はまったく逆になり、フロントでは上手く乗り切っていた凹凸や段差の皺寄せがすべてリアに寄せられていると感じました。  突き上げ感も酷く、酔いやすい人にとってはかなり辛いかもしれません。 パノラマルーフは開放感がある(撮影:加藤博人)  多彩な機能を備えるユニーク名ミニバンですが、一方で販売状況は最悪です。  満を持して2024年9月に発売して以来、月間販売台数が500台を超えた月はたったのひと月のみ、そして2025年1月以降は毎月100台前後を記録しています。  この状況はビジネス向けには車格が小さく、またファミリー向けには多機能&高価格すぎることに起因するターゲットのブレが主な要因と推測されます。  単なるBEVとして見てもその価格は高く、ディーラーにとっても売るのが難しい車種でしょう。  せっかく機能やデザインが斬新でも、商品として市場の需要を的確に捉えていなければ厳しい結果に繋がることを感じさせてくれた1台でした。

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