ディーラーで貰える「車のカタログ」実は“タダ”じゃない!? 過去には「2部ちょうだい!」 “名物コレクター”も… もはや「過去の産物」になったカタログの“本当の存在意義”とは

タダでもらえる「カタログ」 実はタダじゃないんだよ  美しい写真と、心躍らせるキャッチコピー。車種にもよりますが、たかだか数十ページのなかに、そのクルマの特長や魅力を余すことなく凝縮し、ユーザーに「欲しい」と思わせる…。    そんな、普段何気なく見ているクルマのカタログには、メーカーや作り手が極限まで構成を練り上げ、細部にいたるまで、こだわりぬいた気迫のようなものが感じ取れます。 紙カタログのイメージ  しかし2024年1月、トヨタは紙カタログを廃止すると発表しました。 【画像】「えっ…!」これがセンチュリーの「超高額オプションカタログ」です! 画像で見る(20枚)  このとき「ついにきたか」と感じたクルマ好きやカタログコレクターの人も少なくないでしょう。  トヨタをはじめ、今ではメルセデス・ベンツやボルボ、アウディなどの輸入車メーカーをはじめ、紙のカタログの配布を取りやめ、デジタルカタログに移行しつつあるケースが増えています。  デジタルカタログには「動画」という、紙のカタログでは不可能な技術を使ってクルマの魅力を紹介・アピールできます。  また、紙のカタログではシールを貼ったり、訂正版の紙を差し込むなどの地味な手間とコストが掛かる、仕様変更での差し替えや誤字脱字などの修正も、容易に行えます。  しかしやはり、上質な紙とインクの匂い、カメラマンがかなりの時間を費やして撮影した美しいカットなど、どれも紙のカタログでなければ味わえない質感です。  そんな紙のカタログに魅了された所謂カタログコレクターも多く、「コレクター」だけに最低でも2部(閲覧用・保存用)、できれば3部(閲覧用・保存用・予備)欲しいという人も少なくありません。  しかし、ユーザーからすると基本的にタダでもらえるクルマのカタログや、店内にある「新型クラウン、デビュー」といったニューモデルの発表をアピールする「ノボリ」や「横断幕」といった販促品は、実はディーラーがメーカーから買っているものなのです。  そのあたりの事情を、ある国産車ディーラーのスタッフに教えてもらいました。 「お客様に差し上げているクルマのカタログ、あれってメーカーから提供されるのではなく、専門の部署に依頼して注文しているんです。  ショールームの窓の内側から貼り付けるタイプの『新型○○○デビュー』といった横断幕やノボリなどもそうです。  カタログであれば、仕様変更が行われた時点でそれまでお配りしていたものは廃棄します。横断幕やノボリといった販促品も同様です。  表紙のデザインは同じでも、裏表紙などにある『このカタログは○○○○年○月現在のものです』といった情報で、配布されていた時期が分かります。  マニアの方にとってはそのわずかな違いすらもコレクションの対象になるようです(笑)」  また、他のメーカーのスタッフからはこんな意見も。 「紙のカタログを廃止したことによる混乱も懸念されましたが、当店では心配するほどではありませんでした。  というのも、ご来店いただくまでにデジタルカタログやYouTube、クルマ関連の記事などである程度『予習』されたうえでいらっしゃるお客様が多く、すでに予備知識をお持ちであることが多いんです。  ご高齢の方でもスマートフォンをお使いになりますし、『(スマートフォンの)操作が苦手』という方でも、お子さんやお孫さんに調べてもらってある程度の予備知識をもっていらっしゃるケースが増えました。  そのいっぽうで、紙のカタログを集めていた方にとっては文字どおり『悲報』でしょうね。  当店でも、年中『カタログをください』とご来店されていた名物のお客様がいらっしゃいましたが、最近はパタリと来なくなりました。  その方は『ディーラーはカタログをメーカーからタダでもらっているんじゃない』とご認識されていらっしゃったので、いつも申し訳なさそうに『2部ください』とおっしゃっていましたね(苦笑)。  当店のスタッフも『このお客様はカタログ目当て』ということは分かっていましたが、本当にクルマがお好きな方に映ったので、毎回喜んで差し上げていました。  店舗の売上げには結びつきませんが(厳密にはマイナス)、紙のカタログが、お客様とのコミュニケーションツールだということを今になって実感しています。  メーカーにとっては制作費や印刷費を圧縮できるでしょうし、我々としてもメーカーからカタログ購入したり、廃棄するコストも抑えられますよね。  でも…ひとつの時代が終わったような、一抹の寂しさを感じるのも事実ですね」  その昔、話題のスポーツカーがデビューを飾ったとき、紙のカタログ目当てでディーラーに行き、イヤな顔をされたり、素っ気ない対応をされたことがあるかもしれません。  もちろん、ユーザー側としてはカチンとくることもあるかもしれませんが、実は「お金を払って入手したものをタダであげている」という事情を踏まえると、受け止め方が少し変わるかもしれません。

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