個性的すぎる超レアなクルマたち マン島自動車博物館の展示車両 40選(後編)

21: アメリカン・ラ・フランス 1929年製の消防車が錆びついているのも無理はない。ほぼ1世紀前の車両だ。ダレン氏とデニス氏父子は、この車両が第二次世界大戦直後から倉庫に保管されているところを発見し、オリジナルの装備を全て残した状態で入手した。2人乗りのスピードスターに改造されるのを防ぐため、購入したのだという。 【画像】革新的だが失敗に終わってしまったロータリーセダン【NSU Ro80を写真で見る】 全20枚 21: アメリカン・ラ・フランス 22:フォルクスワーゲン・パサートW8 パサートB5.5が「クラシックカー」となるには、まだしばらく時間がかかるだろう。しかし、その頃には、信頼性の低さと高い修理費用のために、4.0LのW8エンジンを搭載したモデルはほとんど残っていないはずだ。このエンジンはフォルクスワーゲン・グループの他のモデルには搭載されなかったが、それゆえに希少性は高い。 22:フォルクスワーゲン・パサートW8 23:モニカ・プロトタイプ#1 これはかなり特別なクルマである。最初に製作されたモニカのプロトタイプだ。モニカとは、1970年代半ばにフランスで生産された高級車のこと。 (次項へ続く) 23:モニカ・プロトタイプ#1 24:モニカ・プロトタイプ#2 モニカの歴史は1966年から1975年まで続き、その間に約35台が生産された。しかし、そのうち顧客向けとして作られたのは10台ほどで、残りはプロトタイプだった。写真の車両は2番目のプロトタイプで、1番目(前項)とは大きく異なる。 (次項へ続く) 24:モニカ・プロトタイプ#2 25:モニカ・プロトタイプ#6 驚くべきことに、ダレン氏とデニス氏父子はなんと3台のモニカを所有している。6番目のプロトタイプであるこの車両は、未完成のまま工場から出荷された。父子はモニカをこのまま残すか、それとも完成させて走行可能な状態にするか、難しい決断を迫られている。 25:モニカ・プロトタイプ#6 26:トヨタ・セラ 日本のメーカーは長年にわたり、他では手に入らない興味深いクルマを生産してきた。このクルマもその1つだ。1990年から1995年にかけて、約1万6000台のセラが生産された。セラには1.5Lのガソリンエンジンと、壮麗なバタフライドアが搭載されている。 26:トヨタ・セラ 27:ブリストル405 ブリストルは、史上最も謎めいた自動車メーカーの1つである。60年以上にわたる自動車製造の歴史の中で、4ドアモデルはこの405だけだ。1954年から1958年にかけて、405セダンは265台しか生産されていない。当初、1971ccの直列6気筒エンジンを搭載していたが、この車両はローバーV8エンジンに換装されている。博物館ではオリジナルのエンジンを再装着する計画だが、外観の修復は行わないという。 27:ブリストル405 28:ポルシェ928 DHC ポルシェは、928のコンバーチブルを少なくとも1台製作し、量産化を検討した。結局、量産化には至らなかったが、代わりにサードパーティが同様の試みを行った。このオープントップの928は、米カリフォルニア州の無名企業によって少量生産されたものだ。 28:ポルシェ928 DHC 29:MGB 生産終了間際に出荷されたこの1台は、他のコレクションと同様、物語を秘めている。デニス氏の友人が妻のためにこのMGBを購入したが、結婚生活は破たんする。妻はクルマを所有する気がなかったため、離婚の慰謝料の一部としてデニス氏に譲渡されたという。 29:MGB 30:ファセル・ヴェガ・エクセレンス フランスの高級車ブランド、ファセル・ヴェガは、1954年から1964年までのわずか10年間に、約3000台の高級車を生産した。そのほとんどはクーペだったが、4ドア・セダンのエクセレンスも156台生産され、そのうちの4台がマン島自動車博物館に展示されている。写真にはそのうちの3台が写っているが、ご覧のとおり、状態には多少差がある。 30:ファセル・ヴェガ・エクセレンス 31:フィアット・サマンサ 博物館には、ヴィニャーレによって生産されたフィアット125ベースのサマンサが4台展示されている。生産台数100台程度と、ファセル・ヴェガ・エクセレンスよりもさらに希少なクルマだ。サマンサは腐食にあまり強くないため、一部は修復が必要な状態だ……。 31:フィアット・サマンサ 32:フォード・サンダーバード 1955年に2人乗りとして発売されたサンダーバードだが、1962年の3代目では4人乗りとなった。最高出力300psの6.4L V8エンジンを搭載し、妊娠中の女性でも乗り降りしやすいように、ステアリングホイールがスライドする仕組みになっている。 32:フォード・サンダーバード 33:ハンバー・スーパースナイプ・ピックアップ かつて英国に存在した自動車ブランドのハンバーは1950年代、複数の石油会社から砂漠用のピックアップトラックの製造を依頼された。200台程度が作られたようだが、現存するものは1台もない。そこで、デニス氏は1950年代初頭のスーパースナイプ・セダンを基に、オリジナル図面を使用して2台のピックアップトラックを自作した。 33:ハンバー・スーパースナイプ・ピックアップ 34:フィアット130 フィアットの高級セダン、130は1969年に発売され、その2年後にはピニンファリーナが設計・生産を担当した超スタイリッシュなクーペが登場。この豪華な2ドアの130は、3.2LのV6ガソリンエンジンを搭載し、1977年までに4500台近くが生産された。 34:フィアット130 35:ハルトゲBMW E30 1980年代から1990年代にかけて、アルピナによるBMWのチューニングカーが注目を浴びていた頃、ライバルであるドイツのチューニングメーカー、ハルトゲは、この325iスポーツなどのクルマに魔法のような改造を施していた。標準の170psから195psにアップグレードされたエンジン、強化されたブレーキとサスペンション、そしてリミテッド・スリップ・ディファレンシャルを搭載し、まさにモンスターマシンだった。この1991年製の車両は、H26シリーズの最終生産モデルの1つで、2023年時点では博物館に展示されていたが、現在はオーナーが運転を楽しんでいるようだ。 35:ハルトゲBMW E30 36:ハンバー・スーパースナイプ この1964年製の4代目ハンバー・スーパースナイプは、5代目モデルが登場する直前に出荷された車両だ。スーパースナイプでは腐食が大きな問題となっているため、デニス氏は英国で探すのを諦め、結局、オーストラリアから輸入することにした。この車体色は、オーストラリア仕様にのみ採用されていた珍しいものだ。 36:ハンバー・スーパースナイプ 37:トヨタ・センチュリー トヨタ・センチュリーの初代モデルは1967年に登場し、1997年に2代目に切り替わるまでほとんど変更が加えられなかった。この1991年製の車両は、4.0L V8エンジンを搭載し、標準モデルよりも150mm長い、非常に珍しいリムジンバージョンだ。 37:トヨタ・センチュリー 38:自動車関連グッズ 自動車やオートバイだけでなく、この博物館には膨大な数の模型、ポスター、広告、そしてマン島TTレース関連の記念品(タバード、トロフィー、写真など)も多数展示されている。 38:自動車関連グッズ 39:NSU Ro80 Ro80は、ヴァンケル式ロータリーエンジン、セミオートマチック・トランスミッション、空力設計、そしてパワーステアリングを備えた技術的傑作である。さらに、ディスクブレーキと前後独立懸架サスペンションも搭載されていた。しかし、エンジンの信頼性の問題によりNSUは倒産し、その後フォルクスワーゲンに買収された。 39:NSU Ro80 40: オースチン・ヒーレー・スプライト 「フロッグアイ」という愛称で知られるスプライトは1958年、最終モデル(MkIV)としてこの形に進化した。写真はオースチン・ヒーレーブランドが完全に消滅する前の1971年に生産された車両で、1275ccのAシリーズエンジンが搭載されている。その形状は、MGミジェットとして受け継がれ、さらに10年間存続することになった。 40: オースチン・ヒーレー・スプライト

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