神奈川県川崎市で20歳の女性の遺体が見つかった事件で、行方不明からおよそ4か月半たった5日、女性の遺体が遺族に引き渡されました。 　　　　◇ 5日正午ごろ、警察署を訪れた遺族に岡崎彩咲陽さんの遺体が引き渡されました。 岡崎彩咲陽さんは、去年12月に20歳の誕生日を迎えた1週間後、行方不明になりました。それから4か月ほどがたった先月、元交際相手の住宅で、遺体となって発見されました。 死体遺棄の疑いで逮捕されたのは、元交際相手の白井秀征容疑者です。事件発覚前にアメリカへ出国していましたが、3日に突然帰国。事件発覚後、親族などから帰国するよう説得されていたといいます。駆け寄る捜査員の任意同行に応じ、その後、逮捕されました。 調べに対し、容疑を認めているという白井容疑者。逮捕前に行われた任意の調べでは、「（彩咲陽さんに）つきまといをした。別れてから複数回自宅などに会いに行った」といった趣旨の話をしていたといいます。 事件前には白井容疑者とみられる人物が、彩咲陽さんが身を寄せていた家の周りを徘徊（はいかい）する様子が捉えられていました。 彩咲陽さんや父親は、白井容疑者からのストーカー被害を、何度も警察に訴えていましたが、救われることはありませんでした。 警察が、彩咲陽さんを救えたタイミングはなかったのか。神奈川県警で捜査1課長を務め、ストーカー対策の強化に尽力してきた鳴海達之氏は、主に2つタイミングを指摘します。 1つは、彩咲陽さんから9回の通報があったタイミング。行方不明となる直前、彩咲陽さんは9回にわたって警察に通報していました。 例えば、白井容疑者とみられる人物が徘徊する動画が撮影されたころには、彩咲陽さんは「元交際相手が家の周りをうろついている」と通報していました。 通報を受けた警察は、周辺をパトロールしたなどといいますが、鳴海氏は一時的な保護が必要だったと指摘しています。 元神奈川県警捜査1課長　鳴海達之氏 「避難している先に白井容疑者が姿を現した。一番危険なことなんです。一時的でいいから警察署まで連れて行って保護する。保護してその先のことを家族と話し合ってから保護先を決めていくことをしないといけない」 2つ目は、割れた窓ガラスが確認されたタイミングです。 行方不明直後、彩咲陽さんが身を寄せていた祖母の自宅の窓ガラスが割れていたことがわかり、親族は警察に通報。しかし「事件性はない」と説明されたといいます。 警察は、ガラスの破片が外にあったことから家の中から割られている可能性があると説明し、「事件性がないとは説明していない」としていますが、鳴海氏は… 元神奈川県警捜査1課長　鳴海達之氏 「（彩咲陽さんが）所在不明になったのと、ガラスが割られたのは、関連性が当然ある。事件性を考えて本来であれば、捜査1課をいれて誘拐・逮捕監禁とか、一番の被疑者になるであろう白井容疑者の家を捜索をするのが普通だと思う」 今回の事件について、神奈川県警のある捜査幹部は私たちの取材に対し「本部として、ストーカー規制法違反の事案として措置をとることができなかった。相談を受けたタイミングで警察が自発的に動くとかできたかもしれないので、批判されても致し方がない」と述べました。 神奈川県警は一連の対応について、「今後の捜査で解明をし確認をしたい」としていますが、謝罪の言葉は述べていません。