質問を考えるから深く理解できる 偏差値35から東大に合格した人が実践

何気ないメールや会話でのやり取り——。頭のいい人はその内容を深く理解するために「なぜ?」という問いを挟んで頭の中を整理している。 偏差値35から二浪で東大に合格。現在は教育事業を手掛け、TBS日曜劇場「御上先生」「ドラゴン桜」の監修も担当した西岡壱誠さんが一生ものの「頭の良さ」を身につける方法に迫った著書 『なぜ、東大の入試問題は、「30字」で答えを書かせるのか?』 (サンマーク出版)より一部抜粋、再構成してお届けする。 質問できる人、「ふーん」で終わる人 はっきり言いますが、「理解」の前提にあるのは、「問い」です。 「問い」なくして、「理解」はありません。 人の話を「ふーん、そうなんだ」と思って聞いている人と、「何でこの人はこの話をしたんだろう? 今の話のここって、どういう意味なんだろう?」と考えながら聞いている人とでは、大きな違いがあるのです。相手の話は、「問い」を考えながら聞かなければならないのです。 みなさんはこの話をされたら、どんなメモを取るでしょうか? 頭がいい人や仕事ができる人は、こんなメモを取っていると考えられます。 「あのさ、この前お願いした仕事なんだけど、どう? どれくらい終わってる? 来週の金曜日が締め切りってことでお願いしてるわけなんだけど、実はさっきちょっと先方から、『現時点での進捗だけでいいので可能であれば教えてください』ってメールが来ててさ」 ↓ 「○○さん(上司)からの仕事の進捗確認」 ─「先方から進捗確認のメールが届いたため」 「ん? 問いと答えなんてないじゃないか」と思うかもしれませんが、よく観察してみてください。「先方から進捗確認のメールが届いたため」というのは、「なぜ、○○さんが仕事の進捗確認をしたのか?」という問いの答えになっていますよね。 本当にちょっとしたことでしかないのですが、これ、実はすごく大事なことなんです。この話を整理するときに、「なぜ、○○さんが仕事の進捗確認をしたのか?」という問いを挟んでいるかいないかによって、頭の中の整理の度合いが全然違ってくるのです。 このメモを取っている人は、「この前お願いした仕事なんだけど、どれくらい終わってる?」と聞かれた時点で、「何で上司は、こんなことを聞いているのか?」という問いを考えています。そしてその答えとして、「先方から進捗確認のメールが届いた」というのが答えだと気付き、それをメモしています。そうやって「問い」を持って相手の話を聞いているから、情報を整理することができているというわけです。 質問を考えるから深く理解できる ちょっと脱線しますが、僕が偏差値35から頑張って東大に入って一番驚いたのは、「東大生ってこんなに質問するんだ」ということでした。 僕が東大で授業を受け始めた頃、「やっぱり東大の授業は難しいなあ」とか思いながら大人しく話を聞いていました。授業が終わって、「さて、帰るか」と思ったら、東大生の多くが立ち上がって、みんなが先生の元に駆け寄っていきました。「何をしているんだろう?」と思ったら、「先生、ここがわからなかったんですが……」「この部分って、こういう理解でも大丈夫ですか?」と、みんな質問に行っていたんですよね。 僕にとって、これは本当に衝撃的な出来事でした。だって、東大生って、偏差値で言えば日本のトップクラスの人たちです。他の人に比べて理解力が段違いに高いはずで、「一を聞いて十を知る」ことができる人たちなわけです。それなのにもかかわらず、みんな、「ここがわからないから教えてほしい」と質問に行っているんです。 恥ずかしい話ですが、僕は偏差値35のときにはまったく質問に行っていませんでした。理解力も乏しく、先生の話の中でわからないところもあったはずですが、でも質問をするという発想自体があまりなかったんですよね。 東大生って、シンプルに「質問好き」なんですよね。相手の話を聞いた上で、「それってこういうことですか?」「これってどうしてなんですか?」と質問をすることが多いです。 「何でそんなに質問をするの?」と聞いたら、こんな回答が返ってきました。 質問を考えることが理解力をアップさせている 「それは逆なんだ。何か1つでも質問をする、ということはあらかじめ決めているんだ。何か質問することはないかな、と考えているほうが、相手の話もよく聞くことになるし、理解しやすくもなるんだ」と。 これも僕にとってかなり衝撃でした。つまり、こうやって質問を考えるという過程自体が、理解力をアップさせているということです。普通の感覚で言えば、「わからないから、質問を考える」というイメージがあるのではないかと思うのですが、実はまったく逆で、「質問を考えるから、わかるようになる」のです。 ですからみなさん、「問い」を考えながら相手の話を聞くようにしましょう。そうすれば、情報を整理しやすく、また覚えやすくなるはずです。 では具体的にどうすれば、上手に「問う」ことができるのでしょうか? 他の本で「問い」について勉強するとき、よく登場するのは「5W1H」と呼ばれるものです。英語の疑問詞で、英語で疑問文を作るときにはこの6つのうちのどれかを使って作るというものですね。 ・When (いつ) ・Where (どこで) ・Who (誰が) ・What (何を) ・Why (なぜ) ・How (どのように) これらは、それぞれの頭文字を取って「5W1H」と呼ばれています。 「What」と「Why」だけでほとんど十分 が、正直これは使い勝手の悪いものだと思っています。だって、「この前お願いした仕事なんだけど、どれくらい終わってる?」と聞かれて「誰ですか?」とは聞きませんよね。5W1Hは英語の疑問詞なので、日本語で考えるときにはあまり使えないものなのではないかと思います。 理解するためのプロセスとしての問いであれば、この6つのうち、「What」と「Why」だけでほとんど十分だと思います。「それは一体どういうことなのか?」「それは一体なぜなのか?」という2つの質問さえできれば、大体は思考を整理することができます。 ちなみに大学の国語の入試問題では、この2つの質問以外はほとんど聞かれることはないと言われています。東大の国語の入試問題であっても、基本的に、「What」と「Why」しか聞かれません。 文章のどこかに下線が引かれて、「これはどういうことか説明しなさい」という問題と、下線が引かれた部分に対して「これはなぜか説明しなさい」という問題、この2つのパターンの問題以外はほぼ出題されていません。受験生がその文章を理解しているかどうかを問うのに、「What」と「Why」以外は必要ない、と東大は考えているわけです。であればやっぱり、この2つで十分なのだと思います。 【もっと読む】『東大生のノートが綺麗な「決定的な理由」…「問い」をうまく使い、頭の中を整理していた』 【もっと読む】東大生がノートをとるのは「記録」のためではない…理解力がある人とそうでない人の「決定的な違い」

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