先月死去したフランシスコ教皇の後継者となる第２６７代ローマ教皇を決めるコンクラーベ（教皇選挙）が７日（日本時間７日深夜）から始まる。全世界１４億人以上の信者を擁するカトリック教会の長を決める伝統ある選挙だ。有力候補として名前が挙がっているのは——。 　コンクラーベでは、教皇に次ぐ地位にある枢機卿がシスティーナ礼拝堂にこもり、外部との連絡を一切絶ち、投票総数の３分の２以上の得票者が出るまで無記名で投票を行う。今回は、８０歳未満の枢機卿、５大陸７０か国から１３３人が投票する。当初１３５人が参加の予定だったが、健康上の理由で２人が辞退した。投票は７日に１回目が行われ、決まるまで毎日４回行われる。 　過去１世紀、投票は５日を超えたことはないが、１３世紀には教皇グレゴリウス１０世を選出するのに３年かかった。フランシスコ教皇は２４時間あまり、５回目の投票で選出された。枢機卿はシスティーナ礼拝堂と、バチカン内の宿泊施設を行き来しながら、決まるまで無期限で投票を続ける。 　非公開の投票が続く間、一般の人々が投票の進行状況を把握できる唯一の手段は、システィーナ礼拝堂の煙突から立ち上る煙だけ。これは投じられた投票用紙をストーブで燃やすことにより出る煙だ。新教皇が選出されると白煙が上がる。選出されなかった場合は黒煙が上がる。 　事情に詳しい関係者は「投票の秘密を守るため、枢機卿はシスティーナ礼拝堂に閉じ込められ、隠しカメラや録音機器、盗聴器などが調べられます。礼拝堂の窓は外界を遮断し、ドローンによるスパイ行為を防ぐために覆われています。コンクラーベ開始から、礼拝堂と宿泊施設周辺で携帯電話は禁止されており、情報漏洩を防ぐために信号妨害装置が設置されています」と語る。 　有力候補は、バチカンの国務長官を務めたイタリア出身のパロリン枢機卿で、次いで�アジアのフランシスコ�ことフィリピン出身のタグレ枢機卿、フランシスコ教皇が教皇庁科学アカデミー総長に任命したガーナ出身のタークソン枢機卿、教皇と関係の近いイタリア出身のズッピ枢機卿となっているという。 　イタリアメディアは、すでにパロリン枢機卿が５０票あまりを固めたと報じた。世界中のオッズメーカーが注目しており、国籍に賭ける場合、これまで教皇を輩出したことのない国から出る可能性は５対６で、イタリア出身になる可能性も５対６だとオッズメーカーは見ている。 「選挙人数が最も多い国は、イタリアの１７人、米国の１０人、ブラジルの７人、フランスとスペイン５人ずつ、アルゼンチン、カナダ、インド、ポーランド、ポルトガル４人ずつとなっています。大陸別ではヨーロッパ５２人、アジア２３人、南米１７人、北米１６人、中米４人、オセアニア４人です。トランプ大統領が世界を右往左往させているので、これ以上、米国の影響力が強まらないよう、米国出身者が選ばれる可能性は低いとみられています」（同） 　フランシスコ教皇は、ＬＧＢＴＱ＋の人々、貧困層の人々、移民を歓迎することで知られていた。次期教皇がフランシスコ教皇の進歩的な考え方を継承するのか、それとも伝統的な教義を守り続けるのかに注目が集まっている。