前編記事『兵庫医科大学、三愛病院、東京大学医学部、聖路加国際病院……名医師が選ぶ最高の「脳の病を治す病院」とは？』より続く。 地方の病院も驚くほどレベルが高い 異なる科同士のつながりという意味では、九州大学病院もその実力が認められた。 「腎・高血圧・脳血管内科では、脳卒中を中心とした脳血管障害に24時間365日体制をとり、超急性期から慢性期まで一貫した医療を提供しています。たとえば、発症早期には血栓溶解療法やカテーテルによる血栓除去療法を行いながら、脳神経外科と連携し迅速に対応している。 また、未破裂脳動脈瘤への予防的治療や認知症などにも対応し、患者さんのQOLの向上を目指した包括的ケアを行っています」（前出・大学病院教授） 意外なことに、脳治療では地方の病院の実力も高い。 九州大学病院がある福岡市には、「'17年に開業して以来、脳動脈瘤の手術件数が非常に多く、私の病院の若手も勉強に行かせている」（前出・吉村氏）という福岡脳神経外科病院もある。 また札幌市の中村記念病院は、「私が講演で初めて訪れたとき、これほど脳神経領域の専門性が高く、集中的な医療が期待できる病院があるのかと驚いた」（浜松医療センター感染症内科の矢野邦夫氏）ほどという。 認知症にはこの病院 認知症については、先に紹介した杏林大学医学部付属病院の神粼恒一氏が、「もの忘れの早期診断・治療に特化しており、患者さんからの評判もすこぶる高い」（ちぎら医院院長の千木良淳氏）と、医師たちの間で知られている。 また、東京都健康長寿医療センターのもの忘れ外来は、認知症が心配な人を対象として、原因の診断と治療導入を行う。精神科や脳神経内科の医師が共同で診察に当たるのが特色だ。 一方、患者を親身に診てくれるか疑わしい病院もある。都内で開業した脳神経内科医が打ち明ける。 「大学病院の先生の中には、町のクリニックを下に見て、脳腫瘍や脳卒中患者の受け入れを断る人もいます。たとえば、東京慈恵会医科大学や東京女子医科大学に患者さんを紹介しても、なかなか受け入れてもらえない。多少なりとも私たち町医者に敬意を払うのも、実力のうちだと思います。医者に優しくない病院に診てもらっても、患者さんは良い治療を受けられないのではないでしょうか」 脳の病は早期治療が一番。良い病院を予め見極めて、いざというときに備えよう。 「週刊現代」2025年5月12日号より 【つづきを読む】兵庫医科大学、三愛病院、東京大学医学部、聖路加国際病院……名医師が選ぶ最高の「脳の病を治す病院」とは？