5月7日午後7時ごろ、東京メトロ南北線「東大前駅」のホームで男が刃物を振り回し、男性2人が怪我をした。警視庁の発表によると、住所・職業不詳の戸田佳孝容疑者(43)が殺人未遂容疑で現行犯逮捕された。怪我を負った男性2人との面識はないと見られている。 【現場写真】「ホームには血痕が残り、中華包丁も…」「被害者が手当を受けていた」凄惨な現場の様子 現場となったのは東大前駅の地下3階、2番線ホーム。地下1階の改札を抜けてすぐの階段を下ると、目の前が6両編成・先頭車両の停車位置だ。その車両に20代の男性が乗り込もうとしたところ、後ろから突然、中華包丁のような刃物で頭部を切りつけられたという。社会部記者が解説する。 「容疑者は電車内に乗り込んできたところを、犯行を見ていた別の乗客数名に取り押さえられたとのことです。その際に、犯人を取り押さえたネパール国籍の男性が右手の指などを切られたようですが、命に別状はないといいます。戸田容疑者は、取り調べに対して黙秘を続けており、警視庁は当時の状況なども含めて詳しく調べていす」(社会部記者) 東大前駅はその名の通り、東京大学(本郷地区キャンパス)の最寄り駅。そのほか、文京区立第六中学校や文京学院大学本郷キャンパスなど教育施設が集中しており、街灯も多いため普段は落ち着いた雰囲気で治安の良い地域なのだが──。現場に居合わせた人が証言する。 「事件が起きた車両が自分の乗っていた車両とは離れていたからか、あたりはパニックという感じではなく、落ち着いていました。車内放送による説明が特になかったので、こんなことが起きているとは思いもしませんでした」(乗客の証言) しかし現場付近は、緊迫した状況だったという。 「電車は、東大前駅の2番線ホームに長い時間停車していました。動く気配がなかったのでホームに降り、地下1階の改札へ続く階段を上がっていると、シールドを持った人たちが降りてきたため、異変を感じて現場を見に行きました。そこには血のついた包丁やホームに飛び散った血痕などがあって……。実際に犯人は目撃していませんが、被害者の方は1人見ました。ホームに座り込んで、傷口を押さえているようでした。 非常ボタンが押されたようで、すごく大きな音が鳴り響いていました。駅員と話すのがやっとなくらいうるさかったです。叫び声なんかも聞こえないくらいうるさかった」(同前) また、東大前駅周辺に住む別の男性は、一時騒然となった現場の状況についてこう振り返った。 「6号車(事件が起きた先頭車両)の4番ドア前の床に血溜まりができていて、血痕はそこから一番近い階段のところまで続いていました。被害者の方が階段横の壁沿いにしゃがみ込み、男性や駅員さんたちに救護されている様子でした。 地下1階の改札階に上がると、けたたましく非常ベルの音が鳴り響くなか、地下3階(ホーム階)を見下ろしながら、何が起きたか様子をうかがうサラリーマンの姿や白いシャツを着た学生の集団がいました。『ナイフ持ってるらしい』という女性の話し声も聞こえてきました。東大前駅は、南北線以外が通っていないため、多くの方が改札内で足止めをくらっていたみたいです」(現場に居合わせた男性) 普段は比較的静かな街で起きた、突然の凶行。いったい何があったのか。続報が待たれる。