羽田空港ビル利益供与疑惑、古賀誠・元自民党幹事長の息子の会社に4億円超の供与認定…社長と会長は引責辞任

 羽田空港ターミナルビルを運営する「日本空港ビルデング」(東証プライム上場、東京)の特別調査委員会は9日、東京都内のコンサルティング会社に対する利益供与疑惑の内部調査結果を公表した。  マッサージチェア(MC)事業を巡る利益供与は2006〜16年で総額4億円超に上ると認定。ほかにも複数の事業で利益供与が繰り返されたとし、一連の取引を主導した経営トップの刷新は不可欠と結論付けた。  調査結果を受け、空港ビル社の横田信秋社長(73)、鷹城勲会長(81)は同日付で引責辞任し、後任の社長には田中一仁副社長(60)が就任した。田中氏は記者会見で「特定の人物に対する不適切な取引が確認された。重大な事案と受け止めており、信頼回復に取り組む」と述べた。  コンサル会社は、古賀誠・元自民党幹事長(84)の長男(52)が経営する「アネスト」(東京)。調査結果によると、空港ビル社の子会社「ビッグウイング」(東京)は06年9月、鷹城氏の紹介でアネストにMC事業を委託する契約を結び、16年12月までに約4億3000万円の委託料を支払った。  調査委は、ビッグ社が16年に東京国税局からアネストにはMC業務の実態がなく、委託料は「寄付」と指摘されたことなどを踏まえ、利益供与にあたると認定。その後、別会社経由でアネストに手数料が渡るようになった経緯について、「横田氏が主導して決めた租税回避行為だ」と指摘した。  また、調査委は横田氏らが、20年12月以降にMC事業を担った会社にアネストへの手数料支払いを強要したと認定。このほか、広告募集や経営相談といった他の取引でも利益供与を繰り返していたと結論付けた。いずれも横田氏や鷹城氏が主導したとし、「経営トップが内部統制を機能不全に陥らせた」と批判した。  一方、空港ビル社側から長男に対し、行政や政治に関する便宜供与を依頼した事実は見つからなかったとした。横田氏は調査委に「元衆院議員の息子であり、長年の人間関係もある長男との関係を断ち切ることは、はばかられた」と説明した。長男側は調査委の協力依頼に応じなかった。 ◇  古賀氏は9日、読売新聞の取材に「(利益供与に)関与したのが、私の息子であることは重く受け止めないといけない。立派な社会人なので、(この問題について)話したことはない。空港ビル社の会長や社長と会ったことはなく、私は全く関係ない」と述べた。

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