スターになり損ねたクルマ、予想外に売れたクルマ 20選 「期待外れ」と「嬉しい誤算」

良くも悪くも「予想」を外れたクルマたち デザイナーが誇らしげに布カバーを外した瞬間、そのクルマは、大ヒットを約束されたかのように見える。そして多くの場合、その通りになる。しかし、時には、間違いなくヒットすると思われたクルマが、まったく成功しないこともある。 【画像】ブランドの新しい領域に挑んだスポーツカー【ロータス・エヴォーラとアルファ・ロメオ4Cを写真で見る】 全36枚 その外観から期待されるような走りを実現できないこともある。価格設定が間違っていることもある。宣伝が不十分なこともある。通常、これらの要因は複合的に重なっている。 期待通りに売れなかったクルマ15台と、予想以上に売れたクルマ5台を紹介する。 今回は、スターになりえなかった15台のクルマ、そして予想外にヒットした5台のクルマを紹介しよう。 アルファ・ロメオ4C(2013-2020) 何もかもが完璧に揃っている場合もある。このクルマのためだけに特別に設計されたカーボンファイバー製モノコック。ミドシップに搭載された、高回転まで滑らかに回るターボエンジン。素晴らしいスタイリング。アルファ・ロメオのエンブレム。そして純粋なドライビングプレジャーを実現するという使命。 では、何が良くなかったのか? 主にジオメトリだ。4Cのサスペンションは時折驚くほど敏感で、まるで鶏が飛ぼうとするような不安定さがあった。また、耳が痛くなるほど騒音も大きかった。アルファ・ロメオはハンドリングが悪いと売れないもので、4Cも例外ではなかった。材料は正しかったが、レシピが間違っていた。 アルファ・ロメオ4C(2013-2020) DSオートモビルDS 5(2011-2018) DSは、2009年にフランスのシトロエンが立ち上げた、比較的新しいプレミアム・サブブランド(後に独立)だ。DS 5は、美しいが問題多きクルマであり、販売は低迷した。当初シトロエンから登場し、BMWのオーナーたちを魅了するクルマのように見えた。 シューティングブレーク、クーペ、ハッチバックを融合させたスタイリング、高級感あるインテリア、そして非常に硬いスポーツサスペンションが特徴だった。このサスペンションが、このクルマの最大の問題点だったのかもしれない。 DSオートモビルDS 5(2011-2018) ジャガーXJR575(2017-2018) 人目に触れることなく、わずかな時間だけ存在していたクルマだ。その車名からもわかるように、このクルマは過激なほどの高出力(575ps)を誇り、0-100km/h加速に約4秒、最高速度300km/hまで44秒で到達する。 そのパワーに耐えうるシャシーと、XJらしい堂々とした風格も備えている。また、XJシリーズとして最後に開発されたガソリンエンジン搭載モデルでもある。環境規制の強化と、ほとんどの市場でディーゼルが主体とされたことが原因で人気は下がってしまったが、もっと評価されるに値する1台だ。 ジャガーXJR575(2017-2018) ホンダCR-Z(2010-2015) ホンダのスポーツカーの最高傑作の1つを参考にしつつ、シャシーは日本のドリフトエースと共同開発し、最新のテクノロジーを満載した。しかし、その組み合わせは「欲しい!」という衝動を刺激するものではなく、CR-Zの寿命は予定より早く尽きてしまった。 伝説的なCR-Xとは異なり、CR-Zは技術面でもキャラクター面でもハイブリッドな存在だった。レッドラインまで回すようなスピード感や楽しさはなく、エコ通勤者向けの経済性や実用性も不足していた。そのため、早々に姿を消すことになった……。 ホンダCR-Z(2010-2015) トヨタ・アーバンクルーザー(2009-2012) 車名は興味深いものだった。登場した頃は、デザインもユニークだった。ありきたりなハッチバックよりも、こっちの方が新鮮で楽しそうに見えた。しかし、アーバンクルーザー(日本名:イスト)の中身は退屈なものだった。 インテリアは無愛想なモノトーンで、面白味や、都会的な雰囲気、格好良さを感じさせる特徴は何もなく、運転感覚はエスカレーターのような鈍さだった。こうしたネガティブな要素はすぐに見抜かれ、購入は見送られてしまった。 トヨタ・アーバンクルーザー(2009-2012) ルノー・ウィンド(2010-2012) ルノー・スポールによって開発されたウィンドは、12秒で格納できるルーフを備え、手頃な価格で販売された。また、他の小型スポーツカーとは一線を画す、コンセプトカーのような外観も魅力だった。ただ、その車名は残念なものだったし、トゥインゴのシャシーをベースとしたことから走りの面でも限界があった。また、小さなリアウィンドウは後方視界を悪化させており、リアバンパーをぶつける要因となる。 ルノー・ウィンド(2010-2012) オペル・アンペラ(2012-2015) このクルマは、プラグインハイブリッド革命のきっかけとなるはずだった。PHEVの先駆けの1つであり、排出ガスを抑えながらも面白い外観を採用し、乗り心地が良く、静粛性も非常に高かった。 しかし、残念ながら、完璧ではなかった。価格が高すぎた。オペル・アストラと同サイズだが、価格はその2倍だった。乗車定員も4人だけ。それはオペルというブランドにふさわしいとは言えず、大多数の人にとって納得しがたいものだった。 オペル・アンペラ(2012-2015) ロータス・エヴォーラ(2009-2021) ロータスがそれまでに開発した中で最も高価なモデルであるエヴォーラは、エリーゼのダイナミズムと洗練性、2+2の実用性、そして電子制御技術を組み合わせ、ほぼ日常使いができるクルマを目指していた。ロータスは、年間2000台売れると予測していた。 しかし、最も好調な年でも販売台数はその半分にも達しなかった。後に改良を受け、パワーも向上したものの、価格も上昇し、ニッチなクルマとなった。悪いクルマというわけではないし、シャシーも素晴らしいが、ロータスにとって悔しいことに、主にポルシェが、もっと優れたクルマを作ってしまった。 ロータス・エヴォーラ(2009-2021) プジョーRCZ(2010-2015) 明らかにアウディTTの影響が見られ、またTTと同じような鈍いダイナミック・フィードバックの問題も抱えていたが、RCZは確かに美しく、興味深く、完成度の高い、魅力的なスポーツクーペだった。その魅力は、多くのページビュー、コラムスペース、視聴率を獲得するほど強力だった。しかし、その栄光は長くは続かなかった。 プジョーの宣伝は最小限で、高性能バージョンのRCZ-Rが登場するまでほとんど行われなかった。RCZは6万8000台近く販売されたが、英国などの重要な市場では、最初のブーム以降はあまり売れなかった。 プジョーRCZ(2010-2015) ミニ・クーペ(2012-2015) ドイツの自動車メーカーは、軍用ヘルメットのようなルーフのクルマを好むらしい。大成功を収めた初代アウディTTと、もう1台、このミニ・クーペだ。しかし、ミニはただただ見た目が奇妙だった。非常に奇妙だった。 奇妙すぎて、3年未満で生産終了となった。従来のミニのハッチバックよりも実用性が低く、それも深海の熱水噴出孔に潜む生物のような外観が原因だった。クーペは結局、ほとんど変わらないデザインのロードスターと共に泡となって消えていった。 ミニ・クーペ(2012-2015) サーブ9-5(2010-2011) 9-5は、1つのクルマとして成功を逃しただけでなく、製造元にとっても大きな損失となってしまった。2008年の金融危機後に量産が開始されたが、その頃には、米国連邦政府の管理下に置かれたGMはしぶしぶサーブブランドをスパイカー・カーズに売却していた。 生産台数は1万1280台と、サーブの破産を回避するには不十分であった。スタイリッシュで車内も広々としており、安全性も高かったが、改良すべき点を抱えながら早すぎる引退を迎えた。9-5は今でも見栄えの良いクルマであり、サーブの破産がますます悔やまれる。 サーブ9-5(2010-2011) キャデラックCTS-V(2009-2019) キャデラックは何度も欧州市場での存在感を確立しようと試みたが、空虚な野心と度重なる失敗、さらにはサーブ9-3をベースにした欧州専用モデル『BLS』の発売など、その挑戦は波乱に満ちたものとなっている。 CTS-Vは、BMW M3やM5をターゲットにした、猛烈なパワーを誇るスーパーセダンだ。ニュルブルクリンクでもいくつか記録を残している。しかし、その圧倒的な性能とユニークなスタイルにもかかわらず、米国以外ではわずかな販売台数に終わった。 キャデラックCTS-V(2009-2019) フォルクスワーゲン・ビートル(1997-2019) 世界史上最も人気のあるクルマを復活させるのは、簡単なはずだった。1997年に生産が開始されたビートル(ニュー・ビートル)は、個性に欠ける部分があったものの、長年にわたりその人気を維持していた。そのベースとなったのは、平凡な動力性能を持つMk4ゴルフだった。 やがてカブリオレが続き、2011年にはよりスポーティなデザインを採用した新モデル(ザ・ビートル)が発売された。しかし、個性は依然として欠如しており、BMWミニやフィアット500のような「魅力あふれるオーラ」をうまく醸し出すことができなかった。生産は2019年7月に終了した。 フォルクスワーゲン・ビートル(1997-2019) ミニ・ペースマン(2013-2016) ラインナップ拡大を目指したミニの、もう1つの失敗作。カントリーマンをベースにしたペースマンは、4シーターの2ドア・クーペで、2シーターのクーペよりも大きいため、少なくとも実用性は高かった。 また、ミニのデザインの基礎となる新しいベルトラインを導入し、この点はかなり成功したと言える。しかし、中身は洗練性に欠けるカントリーマンそのままで、見た目に対してドライビング・ダイナミクスが劣り、機能面でも標準のハッチバックとの違いを明確に打ち出すことができなかった。 ミニ・ペースマン(2013-2016) ジャガーFタイプ(2013-2024) ジャガーは他のメーカーよりも、グリップ、ハンドリング、乗り心地に優れたクルマの作り方をよく知っている。伝説的なEタイプの後継車であるFタイプは、最初の2点は期待以上、3点目は期待通りという結果になるだろうと思われた。しかし、あまり大きな声では言えないが、少なくともV6エンジン搭載の下位モデルでは、シャシーに課題がある。 サーキットで走らせると、扱いにくさを感じるはずだ。公道では、ポルシェの718や911に比べて、シャシーの安定感が不足していることがわかるだろう。2019年のフェイスリフトは好評だったが、モデルが古くなっている事実を隠すことはできなかった。 ジャガーFタイプ(2013-2024) ……以上が、期待外れに終わったクルマたちだ。では、ここからは予想外の大成功を収めたクルマを紹介していこう。 BMWミニ(2001年〜) これは危ない挑戦だった。英国史上最も売れたクルマ、国民的な名車、そしてメーカー自身が何度も後継車の開発に失敗してきたクルマを作り直すというのだから、決して容易なことではない。 ドイツの自動車メーカーの資金力、情熱、そして実用主義により、復活したミニは多くの人々に「大きすぎる」と評価された。しかし、完成度は非常に高かった。新しいミニは市場が求めていたものそのもので、難しいセカンドアルバムは大成功を収めた。 BMWミニ(2001年〜) 日産キャシュカイ(2006年〜) これはSUVか、ハッチバックか、それとも低迷する日本経済が生んだ奇妙な変異体だろうか? 初代キャシュカイは、SUVとコンパクトハッチバックの要素を併せ持つクルマであり、2006年当時、これを見た多くの人が戸惑った。このような「クロスオーバー」のコンセプトは非常に大胆なものだったからだ。 今や、キャシュカイは欧州市場における日産の屋台骨とも言える存在であり、数多くの競合車種を生むほどの存在感を放っている。(写真は第2世代) 日産キャシュカイ(2006年〜) 日産ジューク(2011年以降) これは SUVか、ハッチバックか、それとも日本からやってきた奇妙な変異体なのか? ジュークもまた、SUVとハッチバックの中間に位置するクルマだが、キャシュカイが地ならしをしてくれたおかげですんなりと受け入れられた。 そのスタイリングは賛否両論だったが、好む人も多く、いくつかの市場では販売台数トップ10に頻繁にランクインした。不思議なことに、日産は発売からかなり経っても後継車を投入しなかった。おそらく、初代の売れ行きが好調だったためだろう。2019年後半になって、ようやく第2世代(写真)が発売された。 日産ジューク(2011年以降) ランドローバー・レンジローバー・イヴォーク(2011年〜) 2008年公開のコンセプトカー『LRX』は好評だったが、量産車はそれとは比較にならないほどの人気を博した。3ドアのイヴォークは、LRXとほんのわずか違いしかないことで有名だが、驚異的な人気を牽引したのは実用的な5ドアモデルだった。 約80万台が販売され、2018年にほぼ同じサイズの第2世代に置き換えられた。こちらも好調な販売を続けている。 ランドローバー・レンジローバー・イヴォーク(2011年〜) トヨタ・プリウス(2000年〜) 初代プリウスはやや不格好な4ドア・セダンで、1997年当初は日本でのみ販売されていた。グローバル販売は2000年に始まり、2002年頃には米国の著名人らが政治的なメッセージとしてプリウスに乗るようになった。 2003年に第2世代が登場すると、販売はさらに勢いを増した。プリウスは世界中で何百万台も販売され、今やハイブリッド車はごく当たり前の存在になった。真の成功作である。 トヨタ・プリウス(2000年〜)

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