メルセデス・ベンツ新型『CLA with EQテクノロジー』 約900万円から欧州発売 高効率を実現

エネルギー効率は8km/kWh超 メルセデス・ベンツは新型EVセダン『CLA』を欧州で発売した。市販EVとして最高クラスの航続距離と効率性を備え、英国価格は4万5615 ポンド(約890万円)から。 【画像】空力性能を大幅アップ! スポーティかつ高効率な第3世代モデル【新型メルセデス・ベンツCLAの詳細を見る】 全15枚 今夏から納車開始予定で、エントリーモデルの『CLA 250+ with EQテクノロジー』は1回の充電で最大792kmの走行が可能とされ、高速道路のみでも約690km走行できるという。 メルセデス・ベンツCLA メルセデス・ベンツ これは、英国で発売されているすべてのEVを凌駕する数値だ。メルセデス・ベンツのフラッグシップモデルであるEQS 450+(118kWhバッテリーで774km)すらも上回る。 EQS 450+の価格は11万2610ポンド(約2190万円)と、CLA EQの発売価格よりも6万5000ポンド(約1270万円)も高い。CLA EQの他のグレードは、『AMGライン・エディション』が4万9375ポンド(約960万円)、最上位グレードの『AMGライン・プレミアムエディション』が5万1770ポンド(約1010万円)となっている。 この驚異的な航続距離は、エネルギー消費を最小限に抑えることで達成したものだ。搭載されているバッテリーはニッケル・マンガン・コバルト(NMC)で、その容量は比較的少ない85kWhだ。 つまり、CLA EQは8km/kWh以上のエネルギー消費効率を達成していることになる。これは、多くのメーカーが次世代EVにおける目標ラインに定めているような数値である。 ただし、印象的な航続距離を誇りながらも、CLA EQは欧州で一般的な400V DC充電器に対応していないため、家庭用のAC充電器か、新世代の800V DCの公共充電ステーションを利用することになる。なお、欧州の一部地域では400V対応の電圧ブースターが用意されるという報道もあるが、日本仕様の詳細はまだ確認されていない。 空気抵抗の少ないボディ 低価格版も予定 CLA EQの優れた航続距離は、その空力設計によるところが大きい。ボディサイズは全長4723mm、全幅1855mm、全高1468mmと、先代モデルよりも大型化(長さ35mm、幅25mm、高さ22mm増加)したにもかかわらず、前面投影面積を最小限に抑え、空気の流れをスムーズにするための工夫が凝らされている。 例えば、車輪は先代よりもホイールアーチの内側に配置されている。フロントバンパーの小さな吸気口(と対応するリアの排気口)がボディの隅の空気の流れを整え、アルミホイールもフラッシュフェイスデザインにより乱流を抑えている。 メルセデス・ベンツCLA メルセデス・ベンツ こうした工夫の結果、空気抵抗係数(Cd値)は0.21となり、EQS(0.20)よりわずかに大きいが、テスラ・モデル3(0.22)よりも優れている。 リアマウントの新しい永久磁石モーターも、効率性において重要な役割を果たしている。軽量なシリコンカーバイドインバーターを使用し、コンパクトなパッケージで高出力を実現した。また、磁石をダブルのV字型に配置して磁場を集中させることで、トルク密度が向上しているという。 さらに、このモーターには、通常の1段の減速ギアではなく、ポルシェ・タイカンと同様の2段トランスミッションが搭載されている。1段目のギア比は短く(11:1)、市街地走行での効率性と発進加速力を高めたものとなっており、2段目のギア比はかなり長く(5:1)、高速巡航時のエネルギー消費を抑えている。 エントリーモデルのCLA 250+は最高出力272psを発生し、0-100km/h加速は6.7秒とされる。 四輪駆動の『CLA 350 4マティック with EQテクノロジー』では、フロントアクスルに1段ギア付きの108psのモーターを追加し、合計出力は354psとなる。これにより、0-100km/h加速は4.9秒に短縮され、20年前のV8エンジン搭載のC 55 AMGよりも直線加速では速くなった。 フロントモーターは、不要な時にはアクスルから切り離され、摩擦によるエネルギー損失を90%削減する。これにより、四輪駆動のCLAは最大770kmの航続距離を実現した。他の市販EVと比較しても、後輪駆動バージョンとの差は小さい。 ブレーキは主にモーターの回生効果(最大200kWの制動力を実現)に頼っており、可能な限りバッテリーの充電残量を維持する働きだ。 CLAは800Vの電気アーキテクチャーにより、最大320kWの急速充電が可能であり、わずか10分の充電で325kmを走行できる。 85kWhのNMCバッテリーに加え、58kWhのリチウム鉄リン酸塩(LFP)バッテリーも間もなくラインナップに登場する予定だ。価格が大幅に値下げされることは確実だが、航続距離は480km程度にとどまるだろう。 また、高性能バージョンの『AMG CLA 45(仮称)』も登場予定であることが明らかになっている。英国企業ヤサ(Yasa)が開発した2基のアキシャルフラックスモーターで500ps以上の出力を発揮し、シャシーもスポーティなセットアップとなる見込みだ。 低燃費のハイブリッドモデルも設定 CLAはハイブリッドモデルも発売される。新開発の1.5L 4気筒ガソリンエンジンと1.3kWhの小型バッテリー、そして27psの電気モーターを組み合わせ、最高出力は前輪駆動モデルで136psまたは163ps、四輪駆動モデルの4マティックでは190psを発生する。 メルセデス・ベンツによると、ガソリンエンジンでありながら「ディーゼル並みの燃費効率」を実現しているとのことで、20km/lを余裕で超えると予想される。 メルセデス・ベンツCLA メルセデス・ベンツ ハイブリッドの価格については、EVモデルは同程度に設定されるという。バッテリーの生産コストを約30%削減し、EVの全体的なコストを約15%引き下げたことで、こうした価格設定を実現できたとのことだ。 メルセデス・ベンツはまずEVを投入し、その数か月後にハイブリッドを追加する予定だ。 セダンに加えて、ステーションワゴンタイプのCLAシューティングブレークも発売される。こちらは、9月のミュンヘン・モーターショーで正式発表される可能性が高い。 スポーティな内装デザイン インテリアは、高級志向というよりもスポーティなキャラクターを強調したデザインとなっている。例えば、フロントシートのサイドボルスターは分厚くがっしりとした形状で、ブラック&ホワイトのアルカンターラと赤いステッチの入ったフェイクレザーを組み合わせるなど、華やかな素材が選ばれている。 ダッシュボードにはメルセデス・ベンツの最新『スーパースクリーン(Superscreen)』を搭載し、その中に3つのデジタルディスプレイ、すなわち10.25インチのインストゥルメント、14.6インチのインフォテインメント、14インチの助手席用(オプション)が統合されている。 メルセデス・ベンツCLA メルセデス・ベンツ 最新OS『MB.OS』により、走行中にディスプレイ上で『フォートナイト』などのビデオゲームをプレイしたり、Netflixなどのサービスを利用して動画や映画をストリーミング再生したりすることができる。 また、さまざまなAI機能(ChatGPT、Google Gemini、Microsoft Bing)を組み合わせ、質問に対するより正確な回答を提供する最新バーチャルアシスタントも搭載されている。 スーパースクリーン未装着車では、助手席側のスクリーンが、アンビエントライトと連動するLEDバックライト付きのスターロゴをあしらったガラスパネルに置き換えられる。 トランク容量は405Lと、先代モデルより55L減少した。しかし、メルセデス・ベンツでは初めて、EVモデルに「フランク」と呼ばれる容量101Lのフロント収納スペースが備わっている。

もっと
Recommendations

三菱が「画期的“ビッグセダン”」を実車公開! 堂々「3ナンバーボディ」×V6エンジン搭載! すごすぎる“制御技術”搭載で大ヒットした「ディアマンテ」は今も技術が活きる1台

どっしりさと伸びやかさを併せ持つフォルムは好評を博したと筆者

いすゞ“新型”「5人乗り4WD」世界初公開! 最低地上高210mm! “渡河深度”最大600mm! “ディーゼルエンジン車”の骨格を活かした「D-MAX EV」英国に登場

いすゞ“新型”「5人乗り4WD」!いすゞの英国法人は、2025年4月21日…

三菱自動車、小学生向け「リモート工場見学」をリニューアルし、申し込み受け付けを開始

三菱自動車工業(以下、三菱自動車)は2025年5月12日、2020年から実施…

約240万円!? 日産「新型“後輪駆動”セダン」登場! 全長5m級&250馬力超えの「美麗クーペボディ」のスゴさとは? 新型「N7」 中国で発売へ

日産「新型セダン」実際どうなのか東風日産は2025年4月27日、広州で…

【フィアット、ジープ、アルファ・ロメオなど】ステランティス6ブランド価格改定 10〜30万円前後の値下げ

最大50万円の値下げもステランティス・ジャパンは同社が展開する6ブラ…

スバル「新型SUV」初公開! 3年ぶり“大刷新”で “338馬力”の「スポーティモデル」登場! 初の「光る“六連星”」&斬新「ツルツル顔」の「ソルテラ」米国に登場

顔が…変わった!スバルの米国法人は、2025年4月16日のニューヨーク…

メルセデス・ベンツ新型『CLA with EQテクノロジー』 約900万円から欧州発売 高効率を実現

エネルギー効率は8km/kWh超メルセデス・ベンツは新型EVセダン『CLA』…

高速道路トンネル前の「謎の信号」設置の理由 赤になったらどうするの?

高速トンネルの信号 赤になることはある?高速道路を走行中、トンネ…

マツダ「すごいロードスター」数分で完売!? 特別な「ソウルレッド×電動ルーフ」採用した“25周年記念車”に大注目! 最後の「NC型」に設定された“超プレミアム仕様”とは!

日本国内に割り振られた台数はわずか25台で、予約開始から数分で完売

トヨタが「新型RAV4」を発表か 謎のティザー画像公開に期待する声多数

もしかして… 新型「RAV4」発表か??トヨタは2025年5月12日、新型…

loading...