【ヴィクトリアM】クイーンズウォーク90点 マイル仕様の筋肉 半兄グレナディア級の成長力

 ◇鈴木康弘氏「達眼」馬体診断  鈴木康弘元調教師(81)がG1有力候補の馬体を診断する「達眼」。第20回ヴィクトリアマイル(18日、東京)では5頭をトップ指名した。中でも達眼が捉えたのはクイーンズウォークの筋力。半兄グレナディアガーズ(20年朝日杯FS優勝)を想起させる筋肉の発達で、春の古馬女王の座を射止めるか。  競走馬は加齢とともに血統の本性を現すといいます。たとえば、5年前の朝日杯FSを制したグレナディアガーズ。年を重ねるごとに母ウェイヴェルアベニュー(米BCフィリー&メアスプリント)の短距離血統を体現するような大きな筋肉を肩やトモにつけた。当時の馬体診断では「マイラーからスプリンターへの体形変異」と述べました。血統のなせる業でしょう。クイーンズウォークの体つきも半兄グレナディアガーズの成長曲線をなぞるように古馬になって大きく変わってきた。  昨年の桜花賞時には「筋肉は鍛える余地がある」と注文を付けました。3歳春の段階で大きなキ甲を備え、骨量も豊富でしたが、筋肉量が足りなかった。それから1年、前後肢には別馬のように分厚い筋肉がついています。特に凄いのがトモと肩。岩のように大きな筋肉がせり上がっています。血は争えないといいますが、半兄グレナディアガーズの体形変異を再現するような変化です。  馬体重530キロ超の大型牝馬の割には首差しが細め。各部位のつながりには遊びがある。骨格のつくりは中距離仕様とはいえ、古馬になって肥大化した筋肉は明らかにマイル仕様です。フランケル産駒のグレナディアガーズはマイラーからスプリンターへの体形変異でしたが、キズナ産駒のクイーンズウォークは中距離からマイラーへの体形変異といえるかもしれません。  毛ヅヤは抜群。黒鹿毛の被毛が初夏の日差しで黒光りしています。レース間隔が2カ月空いているため多少太めですが、今週の調教と、栗東トレセンから東京競馬場への長距離輸送で絞れるでしょう。ただ、ちょっと気になるのが穏やか過ぎる立ち姿。顔つきもおとなしい。マイル戦を走るなら、もっと前進気勢を示してほしい。  今年のヴィクトリアマイルは混戦模様。馬体にもさほど差はありません。クイーンズウォークを含めた5頭をトップの90点としました(NHK解説者)  ◇鈴木 康弘(すずき・やすひろ)1944年(昭19)4月19日生まれ、東京都出身の81歳。早大卒。69年、父・鈴木勝太郎厩舎で調教助手。70〜72年、英国に厩舎留学。76年に調教師免許取得、東京競馬場で開業。94〜04年に日本調教師会会長。JRA通算795勝。重賞27勝。19年春、厩舎関係者5人目となる旭日章を受章。

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