危険な暑さは、早産など妊娠中のリスクや喘息などになるリスクを高めるとする研究結果があります。暑さと健康の最新研究です。 【写真を見る】妊婦に危険な暑さでリスク増 どうすれば? 危険な“上位5%の暑さ” 妊婦への影響は 井上貴博キャスター: 以下が、高温が妊婦に与える影響です。 ▼赤ちゃん 初期(心臓・脳が作られる時期):死産・流産・先天異常など 後期:早産・低出生体重など ▼お母さん 妊娠高血圧/糖尿病、胎盤の早期はく離、前期破水・出血など (東京科学大学 藤原武男教授より) TBS報道局社会部 気象・災害担当 本杉美樹 記者: 今回の研究結果で特に警戒しなければいけないとされたのが“上位5%の高温”です。そもそも妊婦は赤ちゃんを体の中で育てたり胎盤を作ったりすることにエネルギーを使うので、体の中に熱が作られやすい状態になっています。また、赤ちゃんを守るために脂肪が増えたりするので、熱を逃がしにくい状態にもなっています。体に熱を溜めやすいような状態になっているうえ、夏には外からの暑さも加わってきます。 人の体は地域ごとに、よくある暑さであれば体が慣れてくるのでそれほどリスクは高まりません。ただ、その土地で観測される最高気温の上位5%、つまり極端な暑さになってくると、熱による負荷に母体が耐えられなくなってしまいます。そうすると、母体を優先するために体が勝手に妊娠状態を解消しようとして早産になるなど、リスクが高まるということが藤原教授の研究でわかっています。 井上貴博キャスター: 基本的に人間は順応していくものだけど、それに耐えきれないくらい暑くなってきているということですね。 TBS報道局社会部 気象・災害担当 本杉記者: 上位5%にあたる暑さは2020年までの30年間の観測データから算出された値ですが、年々暑くなっている現代では、どのような頻度で生じているのでしょうか。2024年8月の東京都心の最高気温では、上位5%(32.0℃以上)が31日のうち24日間となっています。つまり8月の約77%が妊婦にとって危険な高温になっていました。20年前は16日間だったので、比べると1.5倍に増えていて、気候変動が主な原因だと言われています。 井上キャスター: 肌感覚として何となくそうだろうと思っていましたが、データで示されるとより迫ってくるように感じます。「気候変動はでっちあげだ」とトランプ大統領が言っているように、世界全体で取り組むべきものだけど足並みが揃っていない部分もある気がします。 パナソニック社外取締役 ハロルド・ジョージ・メイさん: 地球温暖化によって悪影響があるということは知っていましたが、妊婦のリスクとの関係は知りませんでした。地球温暖化というと、大気汚染による空気への影響や蚊などによる病気への影響に結びついていたんですが、これは初めて聞きました。最近はイベントでもクールオフエリアがありますし、水分を多めに摂取するなど、もっと意識しないといけないですね。 出水麻衣キャスター: ただでさえ妊娠されている方は日頃からたくさん不安があるかと思います。でも活動しないわけにはいかない中、どうしたらいいかと不安な方も多いと思います。最近の夏はほぼ32℃以上な気もします。 「熱中症警戒アラート」を目安に TBS報道局社会部 気象・災害担当 本杉記者: 気温・湿度が高いという目安である「熱中症警戒アラート」が出ている日は特に注意してほしいと先生は話します。対策としては難しく考える必要はなく、炎天下での外出は避けることや、エアコンを効率的に使ったり休憩や水分補給をこまめにとるということが大切になってきます。 一番大切なのは、体調に違和感を感じたらすぐに受診をすることです。お腹が痛くなってから、出血をしてからでは遅いので、「あれっ」と思った時点でかかりつけ医に受診をしてほしいと先生は話します。 井上キャスター: 基本的なことですが、そのようなことを積み重ねるのが大切です。今年も間違いなく暑くなると思うので、気をつけていただければと思います。 ========== <プロフィール> 本杉美樹 TBS報道局社会部 気象・災害担当 気象予報士の資格も取得 ハロルド・ジョージ・メイ さん プロ経営者 1963年オランダ生まれ 現パナソニック・アース製薬の社外取締役など