『お米のキャラメル』特別開発、来場者に! 大阪・関西万博 江崎グリコが問う“未来の健康” 《1》

 菓子メーカー大手・江崎グリコ(本社・大阪市西淀川区)は、大阪・関西万博で2つのパビリオンに協賛している。 大阪・関西万博 大阪ヘルスケアパビリオン 大阪・関西万博シグネチャーパビリオン 小山薫堂氏プロデュース「EARTH MART」  江崎グリコは、1919(大正8)年に創業者・江崎利一氏がカキの煮汁に含まれるグリコーゲンを発見。  その後、1921年にグリコーゲンを含んだ栄養菓子「グリコ」を創製、1922年2月11日に大阪・三越百貨店で発売したのがはじまり。 戦前の大阪・道頓堀「グリコサイン」※画像提供・江崎グリコ  1970(昭和45)年の大阪万博で、同社は「グリコ売店」を出店。定番商品のグリコ、ビスコをはじめ、アイスクリームや牛乳などを販売した。  同社の資料には、世界各国の来場者がひっきりなしに訪れ、店長と約20人の販売スタッフがフル稼働した、との記述があり、提供写真からもその様子が受け取れる。 1970年、千里丘陵で開かれた大阪万博で江崎グリコの売店は大盛況だった ※画像提供・江崎グリコ  創業当時「食品による国民の対位向上」を目指した同社は、1992年に企業理念を「おいしさと健康」とした。  そして2022年の創立100周年を機に、企業の存在意義(パーパス)として、「すこやかな毎日、ゆたかな人生」を掲げている。  大阪・関西万博では、テーマ「いのち輝く未来社会のデザイン」を実現するため、“食と健康”にこだわり、『お米のキャラメル』の開発と提供、高齢化社会で人体の細胞老化を防ぐ『ネムノキを用いた細胞ケア研究(特許取得済み)』の展示などに取り組む。 ■日本人の主食“米”由来のキャラメル開発  創業以来培ったキャラメルの製造技術を生かしたもので、大阪・関西万博のシグネチャーパビリオン「EARTH MART」(放送作家・小山薫堂氏プロデュース)で5月末から来場者に無料配布する。万博のための特別限定品。商品化は予定していない。 江崎グリコが大阪・関西万博のために開発した「お米のキャラメル」(Rice Soft Candy)  同社はこのパビリオンにに協賛。世界に共有したい日本発の食のリスト・25品を紹介するコーナー“EARTH FOODS 25”に関わる。  原材料には乳成分や添加物は一切使わず、シンプルに米の純粋な美味しさを追求した。口当たりもなめらかで、米の甘みを感じることができる。  開発がスタートしたのはパビリオンへの協賛が決まった2022年4月。  同社の栄養菓子・補食事業部商品開発部ビスケット商品開発グループで『米のキャラメル』開発に携わった町田貴義さんは、ラジオ関西の取材に対し、「菓子の開発に米を使用するのは最初から決めていた。日本人になじみ深く、優しい味わいの米と、江崎グリコならではのキャラメル製造技術の出会いだ」と話した。 「EARTH MART」で展示されている『お米のキャラメル』来場者には1人1粒配布  成分調整と食感に困難を極めた。町田さんは「キャラメルの製造には乳(乳化剤)が必須だと思い込んでいた。確かに、乳か゚味を整え、形をつくる。キャラメルは柔らかすぎても、固すぎてもいけない。その中間的な状態を作り出さなければ、菓子として成り立たない」と話す。  通常は砂糖という結晶と、乳という非結晶の絶妙なバランスが織りなすキャラメル。  非結晶というのは、水飴のように伸びる状態を想像するとわかりやすい。これに砂糖の結晶を加えると、形状を保つことができるという。  ただし、配合によっては物質として固まっていても、翌日には形状を保てずに崩れてしまうほどデリケートだ。今回の開発でのハードルの1つだった。  また、米は風味が優しい。言い換えるならは味が弱い。だからこそ、おかずをはじめ多種多様な食材とマッチするのだが、味を大きく主張しないのが米。  キャラメルに米の素材を単に加えるだけでは、米の風味はまったく出ない。ましてや香料として加えるのは、今回の開発趣旨から遠のいてしまう。  そのため、米以外に風味のある原料を配合していない。砂糖は精製されたものを使い、和三盆や黒糖など個性のあるものは使わなかった。 「米粉」と「お米」(Rice flour and rice) 『お米のキャラメル』を支えるのは、▼日本古来の甘味料と言われる米飴、▼ほのかに米の風味を加える米粉、▼米ぬかから作られる米油、▼芳香を生み、キャラメルの形を整える米たんぱく。特に米たんぱくは、新たな植物性たんぱく質として期待される。  そこに最低限の砂糖を加え、配合の比率や製造工程で研究を重ねた。 (左から)米飴、米粉、米たんぱく、米油  パビリオンではハート型のキャラメルを、来場者1人に1粒(計4グラム)ずつ配布する。  パッケージには大阪・道頓堀にあるグリコサインの「ゴールイン」マークと同社のロゴマークをあしらった。 「EARTH MART」をプロデュースした小山薫堂氏は「米を愛する日本人の自然への想いが詰まっている。一粒をゆっくり味わい、米ならではのやさしい風味を楽しんでいただけたら」とコメントを寄せた。  町田さんは、「日本人は米の甘みを知っている。そして特別な原料。酒や調味料は米から。さらにそこから別の食材が生まれる、無限の広がりを持つ食材だと改めて認識した。例えば、米のキャラメルに塩や山椒を少し加えるだけで、味のバリエーションが広がるほど、米は可能性を秘めている」と話す。  そして、「“未来の健康”は、それぞれが何を食べているのか、しっかり理解すること。漫然と食するのではなく、自らの体を作る食物の栄養素や意味合い、季節感を考えることが大切」と提言する。 江崎グリコ 栄養菓子・補食事業部 町田貴義さん

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