米メディアが「佐々木朗希」を“期待外れの10傑”に選出 新人王候補が「最も失望させられた選手のひとり」と名指しされる事態に

 ドジャースの佐々木朗希(23)に対する厳しい報道は日本だけでなく、アメリカでも盛んだ。例えばニューヨーク・タイムズ社の傘下にあるスポーツ専門サイト、ジ・アスレチックは5月9日、「MLBシーズン序盤における期待外れ10傑:要注目のチームと選手(The 10 biggest disappointments of the young MLB season: Teams, players, decisions to watch)」との記事を配信した。(全2回の第1回)  *** 【写真】目元がソックリ? 佐々木朗希と同じく地元・大船渡高校で活躍した、弟の佐々木怜希選手。兄のメジャー挑戦と時を同じくして中央大学に進学  佐々木の名前は5番目の「新人王の本命候補の誰もが出遅れる」に登場した。 佐々木は復活できるか  文中では新人王候補と目されていたにもかかわらず、今のところは期待外れという選手の実名が列挙された。  例えば5月14日現在、打率1割8分6厘と低迷するナショナルズのディラン・クルーズ(23)や、打率1割7分2厘と苦しむカブスのマット・ショウ(23)──という具合だ。  そして8試合に先発して1勝1敗、防御率が4・72という佐々木も《最も失望させられた選手の一人》と厳しい評価。記事を執筆したジム・ボウデン記者は《目立った活躍を見せていない》と一刀両断した。  ここで注目したいのがWHIPという指標だ。ボウデン記者も記事で佐々木のWHIPに言及している。このWHIP、メジャーリーグの関係者もファンも投手の成績として非常に重視するのだ。  WHIPとは「Walks plus Hits per Innings Pitched」の略語で、日本語では「投球回あたり与四球・被安打数合計」と訳される。  数値が少ないほど優秀な投手を意味し、先発の場合なら1・0未満だと球界屈指のエース、1・2未満でチームのエース級とされる。逆に1・4を上回ると先発投手としては失格の烙印を押されかねない。 WHIPが物語る「転落」  日本のプロ野球は公式記録として採用していないが、スポーツ総合サイトのスポーツナビは独自に計算して公開している。それによると佐々木はロッテ時代の2022年に9勝4敗の成績を残したが、WHIPは0・80だった。  翌23年は7勝4敗でWHIPは0・75。どちらのシーズンも二桁に満たない勝ち星というのは引っかかるが、WHIPの数値だけなら「球界屈指のエース」のレベルに達していたわけだ。  ところが今シーズン、佐々木のWHIPは1・49と非常に悪い。確かに佐々木は制球に苦しみ、四球が多かった。ロッテでは「球界屈指のエース」でも、ドジャースでは「先発としては失格」に転落しつつある──こんな崖っぷちの状況が、WHIPの数値から浮かび上がる。  ドジャースのデーブ・ロバーツ監督(52)も佐々木の不振を認めていた。アメリカの老舗スポーツ誌、スポーツ・イラストレイテッド(電子版)は5月11日、「佐々木朗希、今回の先発内容はドジャース監督から手厳しい評価(Roki Sasaki Gets Harsh Review From Dodgers Manager After Latest Start)」との記事を配信した。  記事はロバーツ監督のコメントから、5月10日のダイヤモンドバックス戦を振り返った。この試合に佐々木は先発したが5失点、三振ゼロ、与四死球も目立って5回で降板という内容だった。担当記者が言う。 監督も「球のキレがない」 「この日、佐々木投手は1回裏に2本のホームランを被弾してしまいます。それでも味方の強力打線が爆発し、3回裏の時点で8-3とドジャースがリードしました。これで落ち着いたピッチングになるかと思いきや、4回裏には二塁打を浴び、2つの内野ゴロで1失点と今ひとつピリっとしません。2アウト後も四死球を与えて一、二塁のピンチを自ら作るなど、佐々木投手の調子が悪いことを象徴するイニングだったと思います。5回裏も勝ち投手の権利を得るためマウンドに上がりましたが、先頭打者に四球を与えてしまいました。ロバーツ監督も耐えきれなくなったのか、ここで降板を指示したのです」(同・記者)  スポーツ・イラストレイテッドは佐々木が全く三振を取れなかったことを重視。ロバーツ監督も佐々木が「ベストコンディションではなかったことを認めた」と伝えた。 「ロバーツ監督は『今夜は特に球のキレがなかった』と苦言を呈し、『速球もスプリットボールも、あらゆるボールがコントロールできていない』ことを問題点に挙げました。何より気になるのは、自慢の剛速球が影を潜めていることです。一応、この日の最速は156・9キロを記録しましたが、平均は何と152・5キロ。8-3と大量リードをもらいながら、佐々木投手のピッチングには全く勢いが感じられなかったと言えます。歯がゆい想いで中継を見ていた日本の野球ファンも多かったのではないでしょうか」(同・記者) マイナー落ちの可能性  ドジャースは13日、佐々木を右肩痛で負傷者リストに入れた。  だが、そもそも論として日本のファンの間では以前から「佐々木は一度、マイナーに降格すべき。メジャー挑戦は早すぎた」という意見が根強い。  それはアメリカメディアも同じだ。スポーツ専門の人気ウェブサイト、スポーティングニュースは5月12日、「ドジャースの新人選手、意外な形でマイナーリーグ降格の可能性(Dodgers rookie could be demoted to minor leagues in surprising move)」との記事を配信した。  日付をご覧いただきたいが、佐々木が負傷者リストに入る前の記事であることに注目してほしい。 「スポーティングニュースは日本語版も運営しており、同じ内容の記事が日本語でも配信されています(註)。記事は他のスポーツサイトも佐々木がマイナー落ちする可能性を報じたと紹介した上で、ドジャースのクレイトン・カーショウ(37)、タイラー・グラスノー(31)、ブレイク・スネル(32)の3投手が、ケガから復帰しつつあると伝えました。一方の佐々木投手は四死球が多く、直球にも課題を抱えていると指摘。もし3人の投手が復帰して先発ローテーションが充実し、佐々木が依然として復調する気配を見せないのなら、《マイナーリーグでさらなる成長を遂げることが求められるかもしれない》と結んだのです」(同・記者) カーショウ復帰の影響?  佐々木が降板した翌日の11日、ロバーツ監督はメディアの取材に対して「マイナーでのプレーは今のところ考えていない」と降格を否定した。  だが12日にカーショウはマイナーリーグで5度目のリハビリ登板を行い、メジャー復帰が確実視された。その後に佐々木の負傷者リスト入りが発表されたことになる。  そのカーショウは18日のエンゼルス戦に先発する予定だ。こうなると佐々木の負傷者リスト入りは、実のところマイナー降格に等しい通告ではないのかと考えてしまう。  メジャーリーグ研究家の友成那智氏は「従来からドジャースは健康な選手でも負傷者リストに入れ、再調整を行ってきました」と指摘する。  第2回【ついに負傷者リスト入り「佐々木朗希」が不調に陥った最大の原因とは…「結果として直球が“棒球”になっている」と専門家】では友成氏に取材を依頼し、佐々木が不調だった原因は「ボールの回転数」にあることを詳しくお伝えする──。 註:ドジャースの佐々木朗希の先発ローテーション落ち、マイナー降格の可能性を米メディアが指摘(スポーティングニュース日本語版:5月12日) デイリー新潮編集部

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