貴重な子どもの放課後”1600時間”を何に使うか——中学受験準備や先取り学習より大事なこと

小学生の1年間の学校生活1200時間に対し、放課後の時間は1600時間。この未来の貴重な「資産」となる時間を、塾や習い事だけで埋めていませんか? なんてもったいない!! 1600時間を「未来への投資をする時間」と考えると、小学生のうちにまず優先してやるべきことは、学校や塾の勉強での認知能力の向上ではなく、社会につながるための人間力=非認知能力をいかに育むか。 民間保育園・学童を広く展開する著者・島根太郎が、多くの子どもたちと接し、キッズコーチと子どもたちのかかわりを通じて学んできたヒントを明かした書籍『子供の人生が変わる放課後時間の使い方』より、抜粋してご紹介します。 放課後時間こそが「人間力(=非認知能力)」を育てる 非認知能力を高める教育とは、端的に言うならば正解が一つではないという教育です。 これからの時代はAIも発達していきますし、知識をインプットして、テストの時間に短時間でアウトプットする能力、いわゆる情報処理能力が高い人材は、ある意味それほど重要ではなくなっていくでしょう。 成熟した日本の社会では、学歴や学力だけでは通用しないことは明らかです。コミュニケーション能力と自分の考えを主張して世界と渡り合えるようなグローバル人材や、クリエイティブなアイデアを生み出し新しい価値を創造するイノベーション人材が、求められていきます。 一般的な日本の学校教育の環境では、手を挙げて発言をし、自らの主張を展開したり、活発に議論を戦わせたりするような場面は少なく、目立ったことをするよりも規律を守り、同じことができる協調性が重視されてきました。 その点、私たちは日々の学童での時間はもちろん、イベントやキャンプなどの多様な体験の場を作り、子どもたちが多くの人と出会い、話し合い、議論します。また、読書やワークショップを通して自分の好きなことを発見し、思考力や個性を伸ばし、夢を育んでいくことに力を入れています。 社会を生きていく上では、みんなと同じタイミングで、同じようにできることも必要でしょう。しかし、それ以上に他者と異なる個性を持てるのはそれだけで素晴らしい。恥ずかしがらずに堂々と違いを活かし、強みを伸ばしていける人になってもらいたい。 私は放課後の遊びや生活、さまざまな子どもたちや異年齢の人たちとのコミュニケーションによって人間力が鍛えられ、培われていくと考えています。 私たち大人は、そっと裏側で放課後の体験を組み立て、コーチングで潜在能力を引き出していく。子どもたちは毎日を楽しみながら、いつの間にか非認知能力を磨き、人間力を高めていく。『子供の人生が変わる放課後時間の使い方』では、そんな好循環を実現するための保護者の関わり方についても解説していきます。 「まなび」の土台をしっかり作ることが大事 もちろん、中学受験を否定するわけではありません。ただ小学生の低学年、中学年の時期にはより大事なことがあります。この時期の放課後時間を過ごすうえで大切なのは、先取り学習をすることでも、中学受験の準備を急ぐことでもありません。 あせらず、せかさず、「まなび」の土台をしっかり作ること。親御さんからは遠回りのように思えても、その時間が子どもたちの非認知能力を磨き、中学受験をする場合にも塾だけでなく、自宅での学習ができる自発的な学習エンジンをつくっていってくれます。 私はKBCを通じて、本当にたくさんの子どもたちの変化と成長を目にしてきました。小学生の子どもたちは1年の間に驚くほど変わっていきます。 極端な話、1回のサマーキャンプを経験しただけで、「こんなにリーダーシップを発揮できる力を持っていたんだ」「周りの話を聞きながら調整する能力が一気に磨かれた」「自分の言ったこと、やったことに責任を持てる姿を見せてくれるようになった」など、こちらがさびしくなってしまうくらいポンッと成長してしまいます。 まるでスポンジが水を吸い込むように、周囲からの刺激をどんどん受け取って自分のものにしていく小学生たち。私も含めて保護者はどうしても自分の子どもの足りないところに注目し、子ども扱いしてしまいがちですが、一歩離れて客観的に見てみると、1年前と今では信じられないくらい成長しています。 私たち大人が放課後時間の価値を再認識し、みるみる育つ子どもたちの非認知能力、人間力を伸ばす機会としていきましょう。 楽しく学び、早く明日が来ないかな……と期待して放課後を過ごせることを第一とし、子どもの好奇心を活かし、新しいことに挑戦する気持ちを応援していく。それが未来の社会の各分野で活躍するリーダーとなる子どもたちを育てることにつながると信じています。 英語に“make a difference”という言葉があります。 違いを生み出し、素晴らしい変化をもたらすというような意味です。子どもたちの可能性は無限大。子どもたち一人ひとりの自由な発想や自発的行動を肯定的に認め、子どもが持つ可能性を引き出すよう、大人たちが寄り添っていく。そうしたアプローチが一人ひとりの人間力を高めていくのです。 【オススメ】子どもたちの“失われた放課後時間”を「学童」で取り戻す! 社会で活躍できる「人間力」を育てる

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