芸能界を引退した元タレント中居正広氏(52)が一連のフジテレビ問題で第三者委員会に反撃を開始したのだ。 中居氏の代理人弁護士らは5月12日、第三者委員会が3月31日に公表した「調査報告書」で認定された中居氏の「性暴力」について反論。長沢美智子氏ら代理人は 《中立性・公正性に欠け、一個人の名誉・社会的地位を著しく損ない、貴委員会設置の目的や委嘱事項から大きく逸脱したものとなっており、極めて大きな問題があると思料いたします》 第三者委員会が引用したWHOの性暴力の定義は 《強制力を用いてあらゆる性的行為、性的な行為を求める試み、望まない性的な発言や誘い、売春、その他個人の性に向けられた行為》 とある。この定義に基づき、第三者委員会は 《女性Aが中居氏によって性暴力による被害を受けたものと認定した》 第三者委員会は守秘義務の全面解除について女性側は応じたものの、中居氏側は応じなかったとし、女性側の訴えや資料、関係者へのヒアリングなどから中居氏の性暴力を認定したという。 これに中居氏の代理人弁護士は、当初、中居氏は第三者委員会の調査に対して 《結果的に守秘義務を解除しなかったのは、(解除を提案したところ)『2人の密室で何が行われたかが直接の調査対象ではない』との回答があった》 その上で中居氏は調査委員会のヒアリングに約6時間応じたものの、主張はほとんど反映されなかったと異議を申し立てている。スポーツ紙芸能担当記者の話。 「中居氏が5人の代理人を雇い、弁護団を結成していることからも本気度がうかがえます。目的は芸能界への復帰ではなく、半ば『性犯罪者』扱いされている自身の名誉回復。今後、事業を興す時にも、このレッテルは足かせになりますからね」 《本調査報告書作成のために用いられた一切のヒアリング記録及びその他の証拠》 《性暴力があったとの認定は、どのような証拠に基づいてされているのか、その証拠と認定と証拠との対応関係がわかる資料》 一方で、冒頭のフジ社員からは6月に迫った株主総会への影響を危惧している。 「現在、“物言う株主”の米ファンド『ダルトン・インベストメンツ』から、SBIホールディングス北尾吉孝氏ら12人の取締役候補を提案されています。5月16日を期限に双方で妥結点を探っていますが、決裂した場合はプロキシーファイト(委任状争奪戦)に発展します。局内では改革の必要性は感じているものの、外から“乗っ取られる”ことを良しとしない空気もあります。正直、経営陣はこの問題で手いっぱい。その矢先の中居氏側の“反撃”ですから、頭の痛い話が1つ増えたことになります」(冒頭のフジテレビ関係者) 中居氏がこのタイミングで汚名返上に動いたのは、株主総会で同氏に対する厳しい意見や、場合によっては損害賠償請求の話になるケースを想定して“先手を打った”とみる向きもある。 さらにフジが懸念しているのは、中居氏とともに一連の問題のキーマンである元編成幹部B氏の存在だという。いずれ同氏には局の就業規則などに照らし合わせて、厳しい処分が出ると想定されるが、 「かねてB氏も調査報告書に納得いっていないと聞いている。“中居氏に続いて……”ということになれば、事態は再びカオス化。フジがB氏をつなぎ止めているのも、そうしたシナリオを防ぐためといわれている」(テレビ局関係者) そこでフジテレビに“今回の中居氏側の動きについてどう考えるか?”と質問すると、 《当社としては、第三者委員会による調査を受けた立場でありますので、回答は控えさせていただきます》 株主総会を前に荒れ模様となってきたことだけはたしかだ。