リスクの高い病気がわかり、予防に活かせるとあり、遺伝子検査キットが人気だ。 本誌編集部員がさっそくやってみた。 『がん家系ではないはずが…47歳男性、大ショック！遺伝子検査キットでわかった「胃がん」と「膀胱がん」のリスク「衝撃の結果」』より続く。 予防法のない疾患 だが、予防法があるだけH鳥記者はまだマシなのかもしれない。本稿の執筆担当である私、N崎（男性・35歳）のリスクが高かった疾患は、黒色腫（上位3・2％）と多発性骨髄腫（上位4・8％）。黒色腫は皮膚、多発性骨髄腫は血液細胞ががん化する病気で、治療が難しいとされているため、発症すれば命にかかわる。実際、父も3年前に多発性骨髄腫で亡くなった。 「黒色腫、多発性骨髄腫ともに、家系集積性（家系内に特定の病気が複数発症する傾向）があると疑われています。残念ながら、いずれもこれといった予防法はありません。さらに発生率が非常に低い疾患でもあるため、医師も想定しにくい。診察や検診を受ける際に、『遺伝的リスクが高い』と伝えることで早期発見につながるかもしれません」（岡宮院長） がん以外のリスクが高いという結果が出た編集部員についても見ていこう。 大の旅行好きで、「歩くるるぶ」を自称するY沢記者（男性・43歳）は心房細動のリスクが上位1・9％と高かった。 「身体の状態に一喜一憂して、精神的に病むことのほうが健康を害する」という独自の理論を唱えるY沢記者は、10年以上、健康診断を受けていないという。 脳卒中の実践的予防法 岡宮院長はY沢記者をこう心配する。 「心房細動を起こすと、心房から血栓が脳に飛び、脳梗塞を起こす可能性があります。悪いことは言いませんので、定期的に健診を受けて、心電図をとってください」 編集部のIT部門を担うK川記者（女性・47歳）の場合は、さらに切実だ。脳卒中のリスクが上位2・1％。「45歳を越えてから、朝起きた時に腕の関節から手のひらにかけてしびれる感覚がある」と語るK川記者は、じっと検査結果を見つめ、「やっぱり……」と呟いていた。 「K川記者の場合は、片頭痛が上位6・9％、鉄欠乏性貧血も上位30・5％という結果が気になります。片頭痛と鉄欠乏性貧血のリスクがあるというのは、前門の虎、後門の狼みたいなもの。鉄欠乏になって血流が減り、そこに頭蓋骨内の血管の拡張である片頭痛が加わるのは、キャンプファイヤーに油が投げ込まれているようなものです。 脳卒中の予防は、やはり塩分制限です。また、急激な温度変化にも気をつけたほうがいい。血圧の乱高下は、気温の変化によっても起こるからです。要するに、極端に暑いところ、極端に寒いところを作らないこと。 たとえば、冬に風呂に入る時は、脱衣所を少し暖めておく。あるいは、浴室暖房をつけて、洗い場の温度を上げておく。浴室暖房の機能がなければ、風呂に入る前にお湯のシャワーを出して、洗い場を暖めるといいでしょう。そのような工夫をして、少しでも脳卒中のリスクを下げましょう」（岡宮院長） 『「大のタバコ嫌い」なのに「肺がん」のリスクが高いとは…注目の遺伝子検査キットで20代男性に判明した「まさかの結果」』へ続く。 「週刊現代」2025年5月26日号より 【つづきを読む】「大のタバコ嫌い」なのに「肺がん」のリスクが高いとは…注目の遺伝子検査キットで20代男性に判明した「まさかの結果」