アメリカ国民に根強い「中国脅威論」中国製品への不安感が背景に?

アメリカ国民に根強い「中国脅威論」 米中両国が5月14日に互いに関税を115%引き下げたことを受け、「米中間の荷動きが回復する」との期待が生まれているが、楽観はできない。もっとも合意が容易そうな、合成麻薬の問題への中国側の強硬姿勢に、両国関係の危機は高まっているとさえ思えてくる。 前編『「関税90日停止」は楽観できない…!アメリカ国民が中国への不満を高める「合成麻薬」と「EV」のヤバすぎる影響』で紹介してきたように、世界では中国製「EV」や「ヒト型ロボット」などへの安全性への不安感が高まっており、安全規制をおろそかにしてきたツケが露になっている。 そして中国製品への不安感は、経済状況の悪化を招き、さらにアメリカ国民の中国脅威論を日増しに高めている。 海外に活路を求める「習近平」 中国は内需の低迷を外需でカバーしたい思惑が、米中間の危機を高めているといえるかもしれない。 実際、相変わらず不動産市場も低迷から抜け出せない。中国の調査企業によれば、不動産大手100社の4月の販売額は前年比8.7%減の2846億元(約5兆6000億円)だった。市場では「人口減少で25〜34歳の住宅購入層が減っており、実需がどれだけ落ち込むか見通せない」との悲鳴が聞こえてくる。 中国人民銀行(中央銀行)によれば、金融機関による4月の新規融資額も前年比61%減の2850億元(約5兆7000億円)と急減した。筆者は「中国経済は不動産危機に端を発する金融危機の局面に入ったのではないか」と考えている。 国内経済のピンチをよそに、習近平国家主席は海外での影響力拡大にご執心だ。 高まる「中南米」への中国の影響力 習氏は13日、北京で開催された第4回中国・CELAC(中南米カリブ諸国共同体)フォーラムの閣僚級会合で演説し、「同地域の発展を支援するため、660億元(約1兆3200億円の与信枠を提供する」と発表した。 会議に参加したコロンビア政府代表は14日、「一帯一路に正式参加することで中国と合意した」と発表した。中南米は歴史的に米国の影響力が強い地域だが、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」の影響力が急速に拡大している。「裏庭」を揺さぶられる米国の心中が穏やかでないことは明白だろう。 米国では中国の技術・資本の国内浸透を警戒する動きが目立っている。 中国製蓄電池に潜む「ゴースト通信機」 ロイターは15日「中国製の太陽光インバーターや蓄電池などに許可されていない通信部品が含まれていることが判明したため、米国エネルギー当局は電力網の安全性に与えるリスクを改めて調査している」と報じた。 太陽光パネルなどを電力網につなぐインバーターはほとんどが中国製だ。インバーターは遠隔でメインテナンスなどができるため、電力企業はファイアウオールを設けて中国のサーバーと通信しないよう対策しているが、一部のインバーターに仕様書に記載されていない「ゴースト通信機器」がみつかったという。 テキサス州は2021年に中国資本による大規模な風力発電建設を阻止するため、外国企業による電力網接続を禁止する法律を成立させた。 そのテキサス州で現在、国家安全保障上の脅威とみなす中国などの「敵対国」の市民による不動産購入を禁止する法案が成立しようとしている。「少数派に対する差別を助長する」と抗議する反対派の声がまったく届かないようだ。 アメリカ国民に日増しに高まる「中国脅威論」 懸念すべきは、米国で中国系住民に対する不信感が高まっていることだ。 アジア系米国人基金の調査によれば、「米国よりも出身国に忠誠心を持っている」と考える米国人の割合が2021年の21%から40%に急上昇している。 思い起こされるのは、戦前の米国で発生した日系人差別だ。日系人は所有する不動産を剥奪され、強制収容所に隔離されたという暗い歴史がある。 「歴史は繰り返す」と断言するつもりはないが、米中間を巡る今後の動きについて、最大の関心を払って注視すべきだろう。 さらに連載記事『米中交渉一息ついて日本株も上昇…!そのウラで習近平が突きつけられた「独裁打倒」の不穏な声明と、静かに進行する「金融危機」のヤバすぎる予兆』でも、米中関係に横たわる本質的な問題について検討しているので、ぜひ参考にしてほしい。 【さらに読む】米中交渉一息ついて日本株も上昇…!そのウラで習近平が突きつけられた「独裁打倒」の不穏な声明と、静かに進行する「金融危機」のヤバすぎる予兆

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