6代目にフルチェン&世界初公開!新型トヨタRAV4はどう変わったのか?【チーフエンジニアに聞く】

コンセプトは『Life is an Adventure』 5月21日、トヨタのクロスオーバーSUV『RAV4』が6代目にフルモデルチェンジされ、世界初公開された。チーフエンジニアの太長根嘉紀(ふとながね・よしのり)氏の話を織り交ぜながら、新型RAV4の概要を紹介していこう。 【画像】世界初公開!6代目となった新型トヨタRAV4をたっぷりと 全200枚 1994年に初代が登場したRAV4の車名は『Robust Accurate Vehicle with 4 Wheel Drive(SUVらしい力強さと、使用性へのきめ細やかな配慮を兼ね備えた4WD)』というコンセプトから名づけられている。 トヨタのクロスオーバーSUV『RAV4』が6代目にフルモデルチェンジ。写真は『Core(コア)』。 平井大介 新型RAV4のチーフエンジニアとなった太長根氏は、4代目のRAV4から開発企画に携わっている。 新型RAV4のコンセプトは『Life is an Adventure』。ラフロードなどを走ってワクワクするのはもちろんだが、街中を普通に走っていたり、子どもの成長を楽しみながら送り迎えしたり、そんな「普段使いでもワクワクできるクルマを目指しました」(太長根氏)という。 ユーザーに寄り添う3つのスタイル そういったワクワクできるシーンというのは、人さまざま。新型RAV4では、そんなユーザーに寄り添えるようにと、3つのスタイルで登場した。 大径タイヤを強調した『ビッグフット』、高い走破性を想起させる『リフトアップ』、使いやすい荷室空間の『ユーティリティ』というキーワードは共通だが、洗練されたデザインの『CORE(コア)』、ラギッド感を強調した『ADVENTURE(アドベンチャー)』、走りの楽しさを機能とともに表現した『GRスポーツ』という、3つのスタイルだ。 新型RAV4は3つのスタイルを用意。こちらはラギッド感を強調した『ADVENTURE(アドベンチャー)』。 平井大介 なお、この3つのスタイルはグリルやバンパー、エアロパーツ、インテリアの意匠などで区別化されているが、ヘッドランプやボディパネルなどは共通化されている。 時代に合わせた、変わっていくライフスタイルに応えながら進化してきたRAV4。今回はユーザーの多様なニーズに対応するために3つのスタイルを設定することで、都会でもアウトドアでも、これまで以上にあらゆるライフスタイルにフィットする相棒のような存在となることを目指している。 電動車でもRAV4らしい走破性を追求 パワートレインは、2.5Lの直4 ダイナミックフォースエンジンとモーターによる、HEV(ハイブリッド車)とPHEV(プラグインハイブリッド車)だけになり、現段階ではエンジン車は設定されていない。 「RAV4らしいラフロードの走破性を電動車でできるか? という疑問はありました。でも、電動化だからこそできるものを追求しました」(太長根氏) 新型RAV4には、走りの楽しさを機能とともに表現した『GRスポーツ』も用意される。 平井大介 4WDはリアにも電動モーターを搭載する『E-Four』だが、フロントのモーターは最高出力を150kWにアップ(従来型比+12%)、リアは40kWで変わらずだが、サスペンション取付け部の剛性を10%アップし、ブレーキシステムを一新。ボディ剛性アップなどにより、悪路走破性はもちろん、普通の道での乗り味も向上させている。 新型RAV4のプラットフォームは従来型と同じTNGA-Kで、バッテリー搭載位置などでアンダーフロアは大幅に改良されている。 「5代目も良いレベルで仕上がっていましたが、新型ではノイズや防振のレベルをさらに引き上げました」(太長根氏) PHEVは150kmのEV走行が可能 第6世代となったハイブリッドシステムは、BEV(バッテリー電気自動車)の技術もフィードバックし、トランスアクスルの小型化でデザインの自由度も上がった。 全長4600mm、全幅1855mm、全高1680mm、ホイールベース2690mmというサイズは従来型と同じながら、ラゲッジスペースは749Lと従来型より16L拡大している。 パワートレインは、2.5L直4エンジンとモーターによるハイブリッドとPHEVを設定。 平井大介 PHEVはバッテリーのみで150km(開発目標値)のEV走行が可能だ。これだけモーター走行が可能なら、RAV4にはBEVは設定されないのだろうか? 「マルチパスウエイを考えれば、さまざまな選択肢を用意する必要がありますが、現段階ではBEVはなんとも言えません」(太長根氏) この新型RAV4からSDV開発を本格化 新型RAV4の特徴的として、『ウーブン・バイ・トヨタ』で開発を進めているソフトウエアづくりプラットフォーム『Arene(アリーン)』をトヨタ車で初採用したことも挙げられる。ちなみに『アリーン』とはフランス語で『闘技場』や『舞台』を意味する。 このアリーンの採用を皮切りに、トヨタではSDV(ソフトウエア・ディファインド・ビークル)の開発を本格化していくという。 新型RAV4の日本での発売は2025年度内と発表されている。 平井大介 「SDVの開発には、それなりのボリュームが必要であり、そういった意味でもトヨタの最量販車の1台であるRAV4からということになったのでしょう」(太長根氏) ただし、トヨタではSDVの提供価値を単なるエンターテインメントや利便性にとどまらず、『安全・安心』、『交通事故ゼロ』の未来をもたらすことにあるという。 新型RAV4では、アリーンにより新世代マルチメディアと最新のトヨタ・セーフティセンスという、ふたつの機能を実現させた。 新世代マルチメディアでは、カスタマイズ可能なホーム画面を採用してユーザーに合わせた操作性が向上し、音声認識の応答速度や理解精度も向上させ、さらに快適な対話を可能にした。 トヨタ・セーフティセンスでは、ドライバー異常時対応システムでセンサー情報を用いて路肩に退避スペースが確認できたら減速後、路肩へ寄せて停車できるよう改良(高速道路または自動車専用道路で第一車線を走行中の場合)。また急加速抑制も標準装備された。 アリーンが開発効率を向上させることに加え、ソフトウエアのアップデートで安全・安心技術の開発スピードを加速させる。 新型RAV4の日本での発売は2025年度内と発表されている。正式発表までには、ソフトウエアはさらに進化しているかもしれない。

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