芸歴10年・松本穂香、“大舞台”続く中で得たものと課題「難しいのは、やっぱり体の表現」

 大泉洋、宮沢りえらが出演、三谷幸喜が初めてシェイクスピア作品の翻案・演出に挑むシス・カンパニー公演『昭和から騒ぎ』が5月25日より上演される。今作で初めて“三谷組”に加わるのが、今年デビュー10周年を迎えた松本穂香。三谷幸喜や、姉妹役を演じる宮沢りえとのエピソードや、女優として今抱えている課題、そして未来への展望を聞いた。 【写真】松本穂香、全身真っ白コーデ キュートなポーズもかわいい全身ショット ■宮沢りえとはすでに“姉妹度”高め 優しいアドバイスも  和気あいあいとした雰囲気で進んでいるという稽古。そんな様子について「すごく温かい。(キャスト陣は)親世代の方が多いので、『こんなお父さんいたらいいな』とか……(笑)。すごく理想的な現場です」と楽し気に明かしてくれた。舞台出演は今回が4作目。特に昨年は、松尾スズキ作・演出『ふくすけ2024−歌舞伎町黙示録−』にて重要な役を担い、舞台役者として確固たる実力を見せた。今回も、“新たな松本穂香”を舞台上で見られるのかという問いには「自分でも未知数ですが、私について『真面目な役のイメージ』を持っている人にとっては新しい私を見ていただけるかな」とコメントする。  今回松本が演じるのは、昭和20年代の鎌倉に暮らす家族の次女、ひろこ。宮沢りえ演じるびわこの妹であり、看板役者・紅沢木偶太郎(大泉洋)を擁する旅芸人一座の花形・尾上定九郎(竜星涼)と熱い恋に落ちるという役どころだ。「高橋克実さん演じるお父さん(=鳴門先生)は、厄介事や揉め事があったらすぐ逃げちゃうみたいな人で。なんでもひねくれた言い方をしちゃうような姉がいて。その下にいる妹は、多分しっかりするんじゃないかなと思っています。セリフでもそんな性格を感じられるような子ではあるんですけど、それをベースにしつつも、三谷さんからいただく演出がちょっと風変わりで『あれ? この子って真面目な子じゃなかったっけ?』と突然思わせてくるようなこともあって(笑)、あまり凝り固めずにいようと。あんまり考えすぎなくていいってキャストの先輩方もおっしゃっていたので(笑)」。  本作では昭和の日本家屋を舞台にストーリーが展開していく。平成生まれの松本にとって“昭和”はどんなイメージなのか問うと「(今と昭和では)人と人との距離感が全然違う感じがします。今は隣にどんな人が住んでいるのかも分からないくらいなので……昭和は距離が近くて温かみがあるイメージです」と答えてくれた。  今回は、そんな“距離が近い”昭和の時代で、宮沢りえと姉妹役を演じる。「姉妹の絆や繋がりといった部分は大切に描けたらいいなと思っていて。『お姉さんより先には幸せになれない』という思いとか、そういう部分も表現していけたらいいな」。“姉”宮沢とは、稽古場でも隣の席だと明かすと、「宮沢さんはいろいろ教えてくださいます。例えば、本番では滑り止めの付いた靴下を履くので、稽古用に滑り止め付きの靴下を『これ履いたらいいよ』と渡してくださったり、私が稽古でパーカーを着ていたら手が隠れてしまっていて、『そこはまくっておいたほうがいいよ、私もこれ昔言われたことがあって』と優しくアドバイスしてくださったり。すごく助けられています」と、すでに姉妹感たっぷりなエピソードを明かした。 ■初めての三谷幸喜舞台「“自由な面白さ”を感じます」  松本にとって、今回初めてとなる“三谷組”。稽古場での三谷は「すごく柔らかい雰囲気」としつつも、翻弄(ほんろう)されることも。「三谷さんからは毎日、始まる前に新しい演出が入ってきて。突然『ここでゴロゴロしてみて』みたいな。それが本当に変な行動ばかりなのですが、とりあえずやってみようと(笑)。そういうのも楽しいです」。  三谷といえば、役者に当て書きでセリフを与えることが多い脚本家。本作の台本を最初に読んだとき、松本自身は「全然(自分らしさは)無かった」と感じたという。しかし、三谷から当初は「まともな役」と言われていたというひろこは、稽古が始まると徐々に松本色に“進化”しているようだ。「私、ジャルジャルさんとコントをさせていただいたことがあるのですが、三谷さんから稽古前に『あれ見ましたよ』って言われて。多分、なんとなくですが三谷さんの中で私のイメージがどんどん変わっていっているようで、『じゃあちょっと面白い、変なことさせてもいいですか?』って言われたりして、『できる限りは(やります)』って(笑)。そういった意味では、当て書きと言うか、演出の中で私に合うものをだんだん知ってくれようとしている感じがうれしいです」と、三谷とのやりとりについて語った。  三谷幸喜に宮沢りえ、その他にも“ベテラン”な舞台人がそろう本作で、松本はどんな刺激を受け取っているのか。「“自由な面白さ”を感じます。年下の私がいうのもおこがましいのですが、皆さん本当にかわいいというか、柔軟。そういう皆さんを見ていると、同じお芝居、同じセリフでも毎回少し違ったりとか、柔軟に自由に楽しんでお芝居をされている感じがします。その場に自分も参加できていることがとても幸せに感じられます」。 ■女優歴10年目…まだまだもがいている“今”  今年、女優デビュー10周年を迎えた松本。「役について、『こういう感じかな』というのは自分である程度想像しつつも、演出を受けると全然違うということもある。今回もそうでした。そこはもう柔軟にいられたら」と経験を踏まえつつ語る。  昨年の『ふくすけ』に続き、話題の演劇作品への出演が続く松本にとって、女優業の中での“演劇”の位置づけについて聞くと「成長できる機会になっているなと思います」と回答。「映像とはまた違う刺激をもらえるというか、お芝居って自由で楽しいなと改めて思わせてくれる場だと今思います。日々変化していくところも面白いです」と笑顔を見せる。  「難しいのは、やっぱり体の表現ですね。映像ではナチュラルさを求められますし、私は日常でそんなに大きな身振り手振りはしないので、あえてやろうとすると『なんか(わざとらしく)頑張ってるな……』っていうのが出てしまう。ただ、先輩方は心と体が全部リンクしている。私はまだ身についていなくて考えながらやっている段階でもあるので、皆さんにお見せするころには思いっきりやれているようにしたいなと思っています」と語るように、芸歴10年を重ねてもまだまだ新たな魅力を秘めていそうだ。  「三谷さんがつけてくださる演出や、脚本、1人1人のキャラクターがすごく愛らしい。自分もそのパーツの1つになれるように、埋もれないように楽しくお芝居できたらなと思ってます」と本作への意気込みを語った松本。舞台上で見せてくれるであろう新たな姿に期待せざるを得ない。(取材・文:小島萌寧 写真:高野広美)  シス・カンパニー公演『昭和から騒ぎ』は、東京・世田谷パブリックシアターにて5月25日〜6月16日、大阪・SkyシアターMBSにて6月20〜23日、福岡・キャナルシティ劇場にて6月27〜29日、北海道・カナモトホール(札幌市民ホール)にて7月4〜6日、函館・函館市民会館にて7月9・10日上演。

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