「気づく」力が伸びる! IQ120の子を続々輩出する幼稚園が40年続ける音楽教育「ミュージックステップ」とは何か

国内のみならず海外メディアも取材に訪れたことがある「東京いずみ幼稚園」(東京都足立区)でおよそ40年にわたって続けられているのが「ミュージックステップ」という音楽教育だ。知育にも躾にもなるというプログラムの中身は、いったいどのようなものなのか。小泉敏男園長の新刊『最高の育て方事典』から抜粋してお贈りする。 ミュージックステップとは何か ミュージックステップは、音楽家の譜久里勝秀(ふくざと・かつひで)先生が考案した幼児音楽教育システムです。3歳から楽しく取り組めて、しかも音楽の基本であるリズム(拍子)・メロディ(旋律)・ハーモニー(和音)が自然と身に付くプログラム構成になっており、園では40年前から実践しています。 いちばんの特徴は、先生が「教える」のではなく、子どもが自ら正解に「気づく」ことで学びを深めるようにできているところにあり、近年広がりを見せている「アクティブ・ラーニング」に似ている部分があると私は思っています。 具体的に知っていただくため、ここでは入園したての子が最初の時期に行う活動を紹介しましょう。 まずはリトミックでルール感覚を養う ミュージックステップは、簡単なリトミックから始まります(リトミックとはリズムに合わせて体を動かす遊びのことだと考えてください)。 まずはどんな子でもできる「走る・座る・横になる」という動きを音楽に合わせて楽しみ、それを1週間ほどくり返して慣れたら、今度は動物のリトミックです。子どもには、 ・軽やかな曲に合わせて兎になって跳ねる ・ゆったりした曲に合わせて象が鼻を揺らすように腕を左右にゆったり振る ・コミカルな曲に合わせて猿のようにおどけて歩く などの動きを、聴こえてくる音楽に合わせてやってもらいます。 それぞれの動物の動作は決まっていますが、「これが兎だよ」と教えたりはしません。 園ではピアノ担当の先生のほかに、補助の先生がついて子どもにお手本を見せます。 その真似をして、たとえば子どもが上手に象の動作ができたら、先生がすかさず、 「あっ! 鼻の長ーい象さんがいるね!」 とほめ、こうしてその動作が「象」の動作であるとさりげなく伝えていきます。 そして猿の曲・象の曲・兎の曲をランダムな順番で次々と弾いて、子どもがリズムの変化に合わせて柔軟に動作を変えられたら、 「いいお耳だね! しっかりピアノの音を聴けていました。素晴らしい!」 とほめます。 逆にうまく合わせられていないときは、 「あれれ〜? いま流れているのは何かな〜? よく聴いてみよう」 というふうに、音に意識を向け、正しい動きができるように促します。そして子どもが自ら正しい動きへと修正できたら、しっかりほめます。「こう動くんだよ」「これしなさい」といった直接的な指示はしません。 このリトミックのポイントは、「指示がなくてもルールを守り、音に反応できたこと」をほめるところにあります。 どんな遊び・ゲームにも一定の規則があり、楽しむためには自ら規則性を感じとって守る「ルール感覚」を身に付けねばなりません。集団で何かに取り組む場合は、なおさらルール感覚が大切になりますが、その感覚を伸ばすために「教えない」を貫くのです。 「お話」を使って返事をする習慣をつける こうして5分ほどリトミックを楽しんだあと、「お話」を聞いてもらいます。子どもたちに聞いてもらうお話はプログラムで決まっていて、1回目の授業では、うなずくだけで「はい」と返事ができない「こっくん」のお話(作者は譜久里先生)を読むことになっています。そのあらすじを紹介しましょう。 ●「こっくん」のお話● ある日、「こっくん」は迷子になってしまいました。 心細くて泣いていると、親切なおばあさんが通りかかり、心配して声をかけてくれました。 でも、「こっくん」はうなずくだけで返事ができません。 目の悪いおばあさんは、「こっくん」が迷子で困っていることがわからず、 「そうかい、そんなら泣かずに早くお帰り」 と言って去っていきました。 「こっくん」はおばあさんに返事をしなかったことを悔やみ、いよいよ大きな声で泣きます。 すると、その声が聞こえたのか、遠くから、 「こっくん、こっくん」 と、両親の声が聞こえてきました。 「こっくん」はそのとき、初めて大きな声で「はーい」と返事ができました。 終わったら、「よく聞けました」と子どもをほめ、次の「音を聴く」活動に移ります。一見、音楽とは場違いな「お話」は、実はこの活動への下準備だったのです。 物語を聞き、ほめられた子どもの気分は喜びで高揚しています。主人公「こっくん」に自分自身を重ね合わせてもいるので、声をかけられたら返事をする心構えもできました。だから先生が次のように呼びかけると、嬉々(きき)として「できる!」と答えます。 「今度は、『おへんじはい』の歌を歌いましょう。『はい』のところでテキストを指さしますよ。みんなできるかな?」 「音を聴く」活動はこうして始まります。この続きは後編をご覧ください。 後編記事『続けるだけでみるみる協調性が育つ…きれいに揃うと気持ちいい音楽教育「リズム打ち」の中身』へ続く。 発達障害を抱える子どもたち…「5歳・9歳・13〜14歳」の時期がとくに要注意といえる理由

もっと
Recommendations

県内で山岳遭難相次ぐ 守門岳を登山中の男性の救助活動続く【新潟】

県内で山岳遭難が相次いでいます。 24日、青田難波山を登山していた…

大谷翔平、2試合ぶり無安打3三振…メッツ3連戦は1勝1敗に

【ニューヨーク=帯津智昭】米大リーグ・ドジャースの大谷翔平は2…

「無能」と言われガムテープ投げつけられ…うつ病発症し労災認定の男性、トヨタ子会社を提訴

出向先で上司からパワハラを受けたとして、自動車販売「トヨタモビ…

大谷翔平 28試合ぶりの1試合3三振 ド軍も3併殺打で連勝は3でストップ、大谷はあす 実戦形式のピッチング予定

■MLBメッツ 5ー2 ドジャース(日本時間25日、シティ・フィールド)…

【 優木まおみ 】 マレーシアに移住 「8月の頭から」「目の前のことに集中して楽しみながら頑張ろと思います!!」

タレントの優木まおみさんが、自身のインスタグラムを更新。海外への…

【競馬・オークス】東大卒・篠原梨菜アナウンサーがデータで予想 !本命はリンクスティップ

■GI・オークス(25日、東京競馬場 芝2400m)【写真で見る】ヴ…

「人骨があった」釣り人が発見 川原に頭がい骨≪新潟・糸魚川≫

新潟・糸魚川市を流れる姫川の左岸で24日、人の頭がい骨が見つかりま…

糸魚川市の姫川 白骨化した遺体の一部を発見【新潟】

24日午後、糸魚川市の姫川で身元不明の遺体が見つかりました。 …

メーガン妃のジャムを試食したナルシシズム専門家が酷評「強欲、欺瞞の味がする」

メーガン妃のライフスタイルブランド「アズ・エヴァー」のジャムを…

大阪・関西万博の入場ゲート、混雑対策で通常より5分早くオープン…パビリオン予約者「スムーズでよかった」

大阪・関西万博で25日、初めて通常より5分早い午前8時55分に…

loading...