季節や体調に合わせた食材を食べることで体を整える「薬膳」。 飲食店で提供される薬膳メニューから家庭で作れるお手軽薬膳まで、広がりを見せる薬膳の魅力に迫ります。 中国の薬膳スープ「マーラータン」大人気! 階段の下までずらりと並んだ行列。 札幌市北区の中華料理店「好運来」です。 その行列は、開店した後も途絶えることがありません。 (客)「なんかデカッ」 店内に入ると小松菜やきくらげ、肉団子などおよそ50種類の食材が! 食べたい食材を選び、料理人がスープと一緒に煮込むとー いまブームになっている「マーラータン」の完成です。 中国発祥のマーラータンは、痺れるような辛さの花椒や唐辛子などを使ったスープ料理です。 そんなマーラータンを求めて、お昼時は多くの人でにぎわいます。 (客)「すごい体が温まっています」 (客)「辛いのかなって思っていたんですけど、そんなに辛くなくて食べやすくて美味しかったです」 (客)「野菜とかも結構入っているので、健康にいいんじゃないかなと」 この店を営む中国出身の張さんです。 マーラータンは中国で薬膳スープとして親しまれているといいます。 (好運来 張靖軒店主)「広東の方ですかね、香港の方の地区ではご飯の前に必ずスープを飲むという習慣がありまして、その中にいっぱい漢方入れているんですよ。食べ物と共に入れ込む。エネルギー+薬の作用、両方同時に体に効果をもたらすような。相乗効果です」 張さんが作るマーラータンには、ウコンやクミンなど漢方薬としても使われる18種類の薬膳スパイスが入っています。 (好運来 張靖軒店主)「食欲増進や発汗作用とか、結構体をポカポカさせるようなスパイスが入っております。味わいとしては、飲んだ瞬間にスパイスや漢方が入っているというのはすごくわかってきます」 薬膳ってなに?野菜の「組み合わせ」も大切 そもそも薬膳とは、どういったものなのでしょうか。 国際薬膳師の鎌田史枝さんに聞きました。 (国際薬膳師 鎌田史枝さん)「薬膳というのは、体を整える・体をバランスをとる。食材の持つ効能を使って、いまの健康を維持するための食事」 それぞれの食材には、ある特徴があるといいます。 (国際薬膳師 鎌田史枝さん)「体を冷やす作用が期待できるもの、体を温める作用が期待できるものというふうに分けることができます。タマネギ・長ねぎ・小松菜・カボチャ・ショウガなどがあります」 体を冷やしすぎないように、ナスにはショウガを合わせるなど、薬膳では組み合わせも大切です。 病気を患った経験から… 食の大切さを学んだ「薬膳マイスター」の作る食事 札幌市中央区にも薬膳を提供する店があります。 トマトラーメンの専門店「福の樹」です。 看板メニューの「海老じゃらし」は、濃厚な海老の味わいを楽しめます。 トマト3個分のリコピンが入った栄養満点のラーメンです。 (客)「とってもおいしいです」 (客)「ベースがトマトだから体に優しい良い感じかなって」 薬膳マイスターの資格を持つオーナーの小原加奈さん。 小原さんの薬膳メニューは、トマトやショウガといった食材の相性を考えて作っています。 (福の樹 小原加奈さん)「体にとって中庸(バランスが取れた状態)となるものを考えている。薬膳は野菜の組み合わせというふうに思っていただければ」 中でも密かな人気メニューが… (福の樹 小原加奈さん)「お待たせいたしました。こちらが薬膳カレーです」 水を使わずに野菜と鶏肉のうま味を凝縮した薬膳カレーです。 試食させてもらうと… (藤得記者)「トマトなどの野菜と鶏肉のうま味、スパイスの辛さも感じられて、とても美味しいです」 ルーに使うのは、完熟のトマトやタマネギ、ショウガなどの野菜です。 鶏の皮からとった油や鶏肉などと一緒に煮込んで一晩寝かせ、カレー粉とスパイスを入れて完成です。 (福の樹 小原加奈さん)「お待たせいたしました。薬膳カレーでございます」 (客)「ほんとに一口一口がすごく体に染み入る感じがします。薬膳を知っている方が作ってるということで、とても安心して、健康で栄養満点でというのがあるので」 小原さんの薬膳メニューはお客さんの体と心を満たします。 (客)「なめたようにきれいに食べてしまって。ほんとに心から温まる」 (客)「センキュー。バイバイ」 もともと偏食だった小原さんは、20年前に病気を患った経験から食の大切さを学び、薬膳料理を提供するようになりました。 (福の樹 小原加奈さん)「バランス・組み合わせ・体の効果ということを話をして、お客さまが知ることができるという知識と、栄養として体に取り入れることができるということと。食べるものが大事なんだよということを知ってもらいたいんです」 薬膳を食卓にも!基礎から学べる「薬膳教室」 健康を考えた薬膳は家庭でも注目されています。 この日、開かれていたのは手軽に作れる薬膳教室。 薬膳を基礎から学ぶコースで、キャンセル待ちが出るほど人気が高まっています。 (国際薬膳師 鎌田史枝さん)「これが陳皮ですね」 ミカンの皮を乾燥させた陳皮は、薬膳では体を温める食材とされています。 (国際薬膳師 鎌田史枝さん)「これを瓶に入れて冷蔵庫に入れているんですけど、2・3年経っています」 (参加者)「ほんとですか!?」 (国際薬膳師 鎌田史枝さん)「陳皮の『陳』というのは『古い』という意味なんですよ。陳皮というのは古ければ古いほどいいものとされています」 お酒と塩を合わせたコメにショウガと陳皮を加えて炊くだけです。 陳皮を使ったご飯と、鶏もも肉とタケノコの梅風味煮、トマトとレタスのスープなどが出来上がりました。 (参加者)「陳皮の香りが」 (国際薬膳師 鎌田史枝さん)「ね、いいでしょ~」 (参加者)「毎日の献立の中に入れていけるので、すごい手軽にできるしいいなと」 (参加者)「材料も割と身近なものを使ってらっしゃるから、できますよね」 鎌田さんは日常の身近な食材でも薬膳は作れると話します。 (国際薬膳師 鎌田史枝さん)「難しく考えないで、家庭の中でも薬膳というのは取り入れることができます。食事で本当に自分の体調を整えることができるということも皆さんに知っていただきたい」 店で味わうメニューから手軽に作れる家庭料理まで。 食事で体を整える薬膳が広がりを見せています。