【日本導入が噂されるミニバン】中国の不思議なクルマ?プレミアムBEV『ジーカーMIX』に初試乗

状況はなかなかに厳しい 中国の民営メーカー『ジーリー』が展開するプレミアムBEVブランド、『ジーカー』。2025年中の日本上陸が報道されているものの、状況はなかなかに厳しいだろう。 【画像】日本導入が噂されるミニバン!中国のプレミアムBEV『ジーカーMIX』 全8枚 ジーカーは元々、2016年にボルボとジーリーの間に誕生した『リンク・アンド・コー』の姉妹ブランドとして2021年にローンチ。現在はシューティングブレーク『001』や高級ミニバン『009』、ラージSUV『7X』など計8車種をラインナップする。 2025年中の日本上陸が報道されているジーカーのミニバン、『MIX』。 加藤ヒロト 今回は試乗した『MIX』はジーカーが2024年に発売したミニバンだ。サイズは全長4688mm、全幅1995mm、全高1755mm、ホイールベース3008 mmと、ここ数年で中国市場に投入されたどのミニバンよりも小柄なボディを誇る。『全長5メートル超、全幅2メートル超』なミニバンが多い中、ライバルの少ないサイズで投入されたことがMIXにおける最大の特徴だ。 ボディはミニバンらしからぬ、流れるラインを描く丸っこいシルエットを特徴とする。フロントとリアともに左右一体型のライトなのは昨今の中国車のトレンドだ。 これに加え、ジーカーでは『スターゲート』と呼ぶLEDディスプレイ付きヘッドライトがフロントに未来的な印象を加える。ユニット自体は日本の灯火類製造会社『市光工業』が設計したもので、ヘッドライト上部のLED部分にはアニメーションや、好きな模様、文字を表示できる仕様となっている。 あふれ出す数々の斬新な装備 ドアのレイアウトも非常に奇抜だ。右側は前後スライドドア、そして左側はリアがスライドドアという、5枚あるうちの3枚がスライドドアなのである。スライドドア機構は側面のスライドレールをなくしており、キャビンの上部と下部に設けたふたつのアームで1枚のドアを動かす形となる。 Bピラーも完全になくしているため、荷物や人を自由自在に乗せられるだけでなく、柱に邪魔されない広々とした景色も楽しめるのだ。 Bピラーも完全になくしたMIX。ドアは運転席以外は全てスライドドアとなる。 加藤ヒロト ドアのレイアウトが特異であれば、シートのレイアウトも特異となる。キャビン内には前後2列、5席のシートが配置されているが、前後列ともに床下の同じシートレールを共有しており、自由自在に前後させることができる。 フロントシートを前まで移動させて折り畳めば広々とした足元空間に便利なテーブルが出現する。逆に両列のシートを目一杯後ろまで下げれば、今度は前の足元に広大な空間が誕生する。フロントシートは電動の回転機構も搭載しているため、アウトドア用途で車外に向けたり、会議や遊びのためにリアシートと対面にしたりすることもできる。 運転席と助手席の間には15インチのセンターディスプレイを搭載、メディアやエアコン、ナビといったすべての操作をこのディスプレイ1枚で完結させている。物理ボタン廃止の徹底ぶりはエアコン送風口のツマミにまで及ぶが、正直に言ってタッチディスプレイでしか風の向きを調整できないのは非常に煩わしく感じた。 肝心のドライバビリティはいかに 実際の運転ではとても不思議な印象を覚えた。 ダッシュボードは広いのだが、ボンネットがとても短いので前方視界は優れている。フロントガラスも大きくて見晴らしは良い一方、Bピラーがないために剛性を確保する必要があり、その影響で太いAピラーが2本も視界を遮る。 ダッシュボードは広いのだが、ボンネットがとても短いので前方視界は優れている。 加藤ヒロト 左右の確認の際にはとても邪魔なのだが、実際にハンドルを切って右左折や転回をしてみると車体自体はとても小回りが効いてキビキビ曲がる。痒いところに手が届くのか届かないのか、なんとも言いがたい。 出力415hp、トルク440Nmを叩き出す後輪モーターのおかげで、車両重量が2.7トンあってもお構いなしに加速してくれる。その一方で乗り心地は特にリアが酷く、段差や細かい凹凸に乗り上げるたびに結構な突き上げ感を味わう。 これが運転席に座った際は『ちょっと硬いぐらい』という印象で終わるので、前後でかなりの差があるわけだ。 残念なことに販売台数は芳しくなく、月間販売台数は発売以来平均289台という悲惨ぶり。MIXは容量76 kWhバッテリーモデル(CLTC航続距離550 km)が27万9900元(約556万9000円)、102 kWhモデル(CLTC航続距離702 km)が29万9900元(約596万7000円)と割高で、ファミリー需要は到底期待できない。一方でビジネスや要人送迎用途には車格が小さすぎるので、どちらにも見合っていない車種なのだ。 どの車種もデザインは良くて質感も高いジーカーだが、『売れている車種』と『売れていない車種』がはっきりと別れており、ブランド全体の販売台数は不安定な傾向を感じる。日本に進出しようとしているらしいが、正直に言って知名度がまったくのゼロ。そして価格も中国より高くなるはずのBEVが上手くやっていけるかはなはだ疑問だ。

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