（スタジオ解説） （津川 祥吾 アンカー） 「ツガワの目」は、「鈴木知事就任一年」についてお伝えしていきます。鈴木知事は、就任前からさまざま県政課題について「やります」という言葉を使い公約を掲げてきました。そこで、きょうのテーマはこちら。 「『やります！』から1年、どこまで進んだか？」 1年ですから、全部終わっているということはないと思いますが、1つ1つ見ていきたいと思います。 ・「リニア中央新幹線」静岡工区…道半ば（進展の兆しあり） まずは「リニア中央新幹線」ですが、私は道半場かなというところでしょうか。すごくスピーディに動いていた印象でしたけれども、就任直後、国土交通大臣にすぐ会いに行ったり、JR東海社長さんとあったり、あるいは県境のところのボーリング調査を容認したりというところが早かったですね。 JRとの対話は再開しましたけれども、県民の理解が得られない限り、決着は難しいという考え方は変わっておりません。大井川流域の水問題、流域のみなさんの水に対する不安というのも、決して消えておりませんから、工事そのものの進展というものは、まだまだ限定的かなという風に思います。 一方で、この1年で、JRの方から静岡に対するメリットというのを具体的に明示させる、引き出すということができ、これは非常に大きかったと思いますね。静岡には不利益しかないという長年の声に対して、1つの声を引き出した、ここは1つ大きな進展であって、止まっていた時計の針が少し動き出したかなという印象を持っています。 ・「スタートアップ」：進んでいる こちらの先ほどVTRの中でも細かく説明をいただきました。これについては、ままさに鈴木知事のやりたかったこと、具体的なものが最初からなり早く進んだかなという風に思っています。まだまだ、もちろん、これが経済対策として効果がどのくらい出てくるのかというのは先なのですけれども、ただ、これは、なかなか県がやってこなかった新しい経済対策としては、非常に、まさに進んでいるところかなと、評価をしていいところではないかなという風に思います。 ・「行財政改革」:道半ば 次ですが、行性改革ですね。この行財政改革についても、先ほどありましたが、かなり力を入れている分野ですよね。これはですね、組織の改編などは確かに進んでいるのですけど、まさにですね、予算がどうなっていくのかといったところは、これからのところ、まさに道半ばで、これからが勝負どころかなという感じがいたしました。 ・「県議会と関係改善」:進んでいる 次がこちら県議会との関係。これも、今ご説明をいただいた通り、ちょっと自民党とくっつき過ぎじゃないかという意見もあるぐらいかと思いますが、ここまでのところ、前の川勝知事と比べると、非常に関係は改善して、非常に話が進みやすくなったというところは、非常に評価できるところかと思います。これから、実際に県議会とどういった形でやり合っていくのか…というところは、まさに注目だと思いますが、まさにここは進んでいる部分かなという風に私は思いました。 ・「伊豆半島」:これから ひとつ気になるのがですね、伊豆半島…先ほどのVTRでも、県東部や伊豆の方からは厳しい声が上がっていましたが、浜松市長だったので、東部、中部、伊豆のことはどうなのかと…選挙の時からいわれてました。この1年どうなったかというところに関しては、これはやはり、まだちょっとこれからかなというところかと思います。観光対策ですとか、そういったものについては、これからも、これまでもですね、やってみたものを引き続きやってるというところがあります。「訪れる伊豆から住む伊豆に」定着して仕事をするというようなところを知事としては訴えていましたが、まだまだそこは具体的には進んでいない。れからという印象を受けざるを得ないのかなという風に思います。 ・「新野球場計画」:これから みなさんも、これはどう考えるのかというところですが、私は、まさにこれからどうなったのかなというところが気になるところです。知事はですね、浜松市町時代に、まさに深夜球場計画については同球場で作って欲しいという風に要請していた側になります。しかし、今この差が出ていますが、ドーム型は非常にお金がかかると、最初370億といっていたのが、どうも450億ぐらいかかるのではないかと、その情報をなかなか表に出さなかったのではないかという問題もあるところです。 この県営球場ですが、県が運営する、作る球場ですけれども、県民全体のこの球場に対する熱というのでしょうか…「作って欲しい 」という思いは、まだまだ高まっていないというのが正直なところではないかと思いますし、実は、浜松市民の方々にうかがっても、必ずしも積極的な人ばかりではないというのが正直なところかと思います。知事としては、かつての立場との整合性を保ちつつ、あえて距離感を保っているのかなというようにも見えます。今の局面で、ドーム型で建設を決定するということをすると、この行財政改革との整合性はどうなるのか…こういったところの疑問の声にも応えていかなければならないという形になるかと思います。 主な点について、このように私は判定させていただきましたが、増田さん、いかがでしょうか？ （コメンテーター　増田 英行 弁護士） 津川さんの判定、大変興味深く拝聴いたしました。私も同じように分析するとすれば、ほぼ近いかなと思っているのですが、せん越ながら、私の意見としては、まず、リニア中央新幹線は「道半ば」と「進んでいる」の間ぐらいかなというのが私の感想で、もう少し進んでいる。今までの川勝県政が、あまりにも滞留をしていた、それから比べると急に進み始めたなという感覚が私の中にはあります。もちろん、いい側面はありますけれども、水問題であったり環境問題であったり、慎重にならなければならないところもあるから、そこは、しっかりやってほしいという思いがありますから。 もう1点、行財政改革については、「これから」と「道半ば」の間ぐらいかなという風に思ってます。先ほどの野球場計画の費用の問題、それから、最近話題になっている県の中央図書館の移転の問題、この辺と絡んできて、どうするのかなというのは、私の中でも非常に大きな注目点、行財政改革に対する、その本気度というのは伝わってきますけれど、さて、ここから知事がどのようにしていくのかというのは、非常に注目すべきところかなと思っています。 （津川 祥吾 アンカー） 知事選もですね、国政選挙もそうかもしれませんが、選挙の時は「これをやります」とみなさん言いますよね。その後でどう評価するか。次の選挙の時に考えると、よくわからないな…となることが多いのですが、「鈴知1年でどうですか」と言われても分からないなっていう人、正直多いかと思いますが、こうやって1つ1つニュースで見ていくと、「これは進んでいるな」「これはまだなのかな」というのは見えてくると思うのですね。で、私たちはこういったものをしっかりと見て、どのくらい進んでいるのかを、自分なりに解釈して、また意見を、知事に対して、あるいは県議会のみなさんに対して、伝えてくということが大事かと思います。 その中で、私の提言はこちらです。 ・「『やります！』には『見届ける目で応える』」 「やります！」には、見届ける目で答えるということです。知事さんが「こういうことをやります」と言いました。議員さんが「こういうことをやります」と公約しました。「あと自由にやってください」と任せきるのではなくて、私たち有権者としても、しっかりとそこを見届ける。そのことを日頃から積み重ねていった先に、実は、選挙というものがあるかと思いますので、日頃からですね、こういったニュースに、ぜひ注目していただいて、見届けるという必要性があるのではないかという風に思いました。