SNS時代の到来によって、犯罪の手口が巧妙化している。 収益を吸い上げる中核部分が匿名化され、SNSなどで緩やかに結びついたメンバーを流動的に組織化する「匿名・流動型犯罪グループ」いわゆる「トクリュウ」が、現代型の犯罪として連日マスメディアで取りざたされ、世間を震撼させている。 累計120万部を突破した「もぐら」シリーズの著者である矢月秀作さんの最新刊『SAT-light　警視庁特殊班』（5月15日発売）は、そういった事案に対処する物語です。架空の新設部署でSATなどの特殊部隊が出動するまでもないが、警察官が対処するには危険すぎる任務に従事している。カジノや裏風俗、反社会勢力の摘発など、“今まさに”必要とされる部署と言える。 ”実際の“現代型犯罪はどのように巧妙化しているのか、また警察の対応はどうなっているのか。本書に太鼓判を押す犯罪ジャーナリストの小川泰平氏に聞いてみた。 前編記事『犯罪ジャーナリストが徹底解説！闇バイトを追い詰める「仮装身分捜査」…そして悪質ホストクラブと悪質スカウトの「闇のつながり」』より続く。 相次ぐ著名人の書類送検 ——オンラインカジノが芸能界やスポーツ界を揺るがしています。著名人や有名選手が書類送検されるニュースが連日報道されていますね。 まずオンラインカジノは違法なんです。グレーなことであると認識しているならまだ救いはあるのですが、驚きなのは違法だと思っていなかった人が意外と多かったことです。私としては詭弁に思いますが…。 これまでも警察は当然、オンラインカジノの利用者を摘発していました。ただ、そのほとんどは一般人でメディアではあまり報道されませんでした。摘発といっても、書類送検が関の山で逮捕まではしなかったですしね。警察も広報部を通じて新聞やテレビ、週刊誌などに協力を仰いでオンラインカジノの違法性を報じてもらうべきだったのに、積極的にしなかったのは怠慢と言えるかもしれません。 ストーカー被害へのお粗末な対応 ——ストーカーについても伺わせてください。先日の川崎の事件では被害女性の失踪後、親族が何度も警察にストーカー被害を訴えていたにも関わらず対応しなかったことで凄惨な事件が起きてしまいました。 ストーカー規制法はつきまといなどをする人に対して、警告してそれでもやめない場合は逮捕できるという法律です。警察も積極的に取り組んでいるはずですし、そうするべきでした。ですが、今回の対応は県警の対応としては、お粗末と言うほかありません。 今回のケースは元恋人同士ということでストーカー事案としてはけっして稀なケースではありません。むしろ典型的です。事件が起きてしまったのは、いい加減に対応し、被害女性や親族の危機感にまったく寄り添わなかったというのが大きな理由でしょう。 LINEグループでサクラに騙される ——最後にSNS型投資とロマンス詐欺被害についても聞かせてください。被害の平均額は1000万円を超えるとのことですが、発生数も急増していますね。 こうした詐欺はだいたいのケースでサイトを通じて、LINEグループに誘導されます。ですが、これは全部詐欺です。 じつは私も騙されてフリをしてグループに入っています。 そこには先生と呼ばれる人とアシスタントがいます。先生がまず自分の経歴や能書きを披露して、アシスタントが経済市場についてのもっともらしい情報やニュースを流していきます。それに対してサクラと思しき人たちが「勉強になりました！」などの発言をしていくんです。 さらにはアシスタントが「本日、明日の儲かる銘柄をお送りします！」などと発言して、またもサクラが「先生、ありがとうございます！○○万円儲かりました。さっそく外車を予約しました！」なんて、それらしい写真をどんどん投稿していく。こうしたやりとりを見て、騙されてしまう人が続出しているのです。 「誰もいない担架を救急車に載せていて…」中山美穂さんの急死…居住ビル関係者が明かした「緊迫の光景」