新車当時26万円! 「3人」乗れる「めちゃ小さいクルマ」に大注目! 4速MT搭載で「公道走行」もOKです! 悪路も耐える庶民の“お手軽・多用途車両”「農民車 コマツ」の凄さとは

モータリゼーション黎明期に存在した「アシ車」  いまでこそクルマ(マイカー)の存在は当たり前になりましたが、1960年代までは庶民にとっては「かなり贅沢品」でした。  そんな時代に、地方の農業従事者をターゲットにした「農作業車兼・日常の足」を提案した、実に画期的なクルマがあったのです。 【画像】超カッコいい! これが新車26万円の「3人乗りモデル」です! 画像で見る(23枚)  それが「農民車 コマツ」というクルマです。現存台数も少ないクルマですが、石川県小松市の「日本自動車博物館」で現物を見ることができます。 小松製作所「農民車 コマツ」(取材協力:日本自動車博物館)  農民車コマツは、1960年3月に発表された小型作業車。「コマツ」と称する通り、建設機械で世界トップシェアを誇る小松製作所(コマツ)が販売しました。  そのコンセプトは「農民用万能車」。基本的な用途としては、農作業時の資材の運搬を想定しているようですが、ただの作業機械というわけではなく、“万能車”という名前からも、さまざまな用途で利用できるようになっていました。  ボディサイズは全長2300mm×全幅980mm×全高1230mm。軽自動車よりも小さな車体で、ドアやルーフなどはありません。道路運送車両法では「小型特殊自動車」に分類されます。  小型特殊自動車は、時速15km(農作業用は時速35km未満)以下に制限され、市町村に届け出することで乗れるものです。トラクターや除雪車、耕うん機などと同様です。  エクステリアは、飾り気がなく、非常にシンプルで簡素なデザインです。フロントは丸いヘッドライト2灯とけん引用フック、当時のコマツのエンブレムが装着されるのみ。  ボディカラーは明るい朱色で、側面にも「コマツ」のデカールが貼られ、誇り高きコマツブランドをアピールします。  車内(というよりも乗車部分)には、中央に簡素なシートとステアリングがあります。インパネやコンソールといったものはまったくなく、このあたりは作業車両の体をなしています。  乗車定員は3名とのことですが、シートは運転手用のみで、ほかの2人は危険でなければどこへ座ってもいいのかもしれません。  また農作業で使う資材などは、シートほか遮るものが何もないので、好きに積載することができそうです。一応、後部には一段高いデッキがあり、そこに積載するのが通常のようです。  パワートレインは280ccの空冷4サイクル単気筒エンジン。リアフロアのデッキ下に搭載され、後輪を駆動するRRレイアウトです。4速MTと組み合わせ、最大出力7.5馬力を発生します。  簡素なつくりではあるものの、農作業で使うことを想定してか、走破性能は追求されていたようです。  タイヤは前後で異なり、フロントは作業車などで見かけるシンプルなタイプですが、リアはトラクターのような段差のある「ラグタイヤ」を採用。最低地上高も非常に高く設計されていることがわかります。  後輪は左右独立タイプのブレーキが備わっており、小回り性と田畑でのコントロール性に一役買っていました。  農民車 コマツの当時の新車価格は26万円。当時の大卒初任給が約1万3000円であることを考えると、非常に現実的な価格です。  ちなみに、当時のクルマを例に挙げると、軽自動車「ヂャイアント・コニー360」やマツダ「R360クーペ」が30万円、スクーターの富士重工「ラビットジュニア S301」が13万円。トヨタ「クラウン1900デラックス」は約120万円です。  当時はまだ「東京オリンピック」の開催前で、いわゆる「3C(car・cooler・color TV)」ですらも庶民の憧れだった時代です。  そんななか、農民車 コマツは作業車両および日常の足として、マルチに使えるという多用途性があったにも関わらず、手頃な価格帯だったことがわかります。地方の農民に対しても、一気にマイカー所有を近づけた、実に画期的なクルマでした。  なお生産期間は約2年間と短く、4300台のみの製造に終わっています。 ※ ※ ※  登場から60年以上が経過した今、現存台数は極めて減少していると考えられ、動く個体はもしかしたら片手で数えられる程度かもしれません。  ただし、コマツの創業の地(石川県小松市)にある日本最大級の収蔵数を誇る自動車博物館「日本自動車博物館」には、ピカピカにレストアされた個体が収められています。  これは2021年にコマツの労働組合「コマツユニオン北陸支部」によってレストアされたものです。  日本のモータリゼーションの到来を影で支えたかもしれない、非常に貴重な1台を拝むことが可能です。

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