元同僚のヤーブローに3打席打ち取られ、結局4打数無安打 【MLB】ヤンキース 7ー3 ドジャース(日本時間2日・ロサンゼルス) ドジャースの大谷翔平投手は1日(日本時間2日)、本拠地でのヤンキース戦に出場するも4打数無安打1三振。月変わりの試合で快音は響かなかったが、昨季は6月に月別最多タイの12本塁打(8月と同数)、エンゼルス時代の一昨年は最多の15本塁打を放っており、“6月の大谷”には爆発の予感が漂う。 この日の相手先発は、大谷にとって過去の対戦成績が10打数4安打1本塁打で、昨季途中までドジャースでチームメートだったこともある変則左腕ライアン・ヤーブロー投手だった。 初回先頭での第1打席は、外角低めのチェンジアップに空振り三振。3回2死走者なしでの第2打席は中飛。6回先頭での第3打席は、カウント1-0から内角に来た113キロのカーブを見逃し1ストライクを取られた後、3球目に内角のボールゾーンに食い込むシンカーに手を出し、三ゴロに倒れた。 現役時代にNPB通算2038安打を放ち、MLBにも造詣が深い野球評論家・新井宏昌氏は「相手先発のヤーブローは、非常に“ややこしい”投手です。ツーシームとチェンジアップが同じ軌道で来て、ツーシームは肘を下げて投げている分浮き上がり、チェンジアップは沈む。大谷は第1、第2打席で凡退しましたが、いいスイングはできていたと思います」と分析する。 その上で「チャンスがあったとすれば、第3打席だったでしょう」と指摘。「背中の方からストライクゾーンに入ってきた2球目のカーブは、これまでも対戦し認識していたはずだけに、大谷にとってチャンスボールだったのではないか。あれを見逃してしまったために、次の3球目の内角球に対して『同じ球が来た』という判断で振り始めたところ、逆に内側に食い込んできたシンカーに詰まらされてしまったのだと思います」と解説。8回1死走者なしでの第4打席は、ヤンキース3番手のデビン・ウィリアムズ投手の前に二ゴロだった。 得点圏打率.229、打点ではトップの鈴木誠也にリード許す展開 昨季ワールドシーリーズで対戦した宿敵ヤンキースとの3連戦が、この日で終了。大谷は1戦目にソロ本塁打2発を放ち、2戦目は2安打する一方、この3連戦で唯一得点圏に走者を置いた初回2死満塁で、空振り三振に倒れた。 1日現在、ナ・リーグトップの22本塁打を放っている大谷だが、得点圏打率は.229(35打数8安打)と意外に低く、その影響もあってか、打点はリーグ15位タイの「37」で、同トップのカブス・鈴木誠也外野手の「52」に水をあけられているのが現状だ。 当初はたまたまであっても、周囲から「チャンスに打てていない」などと指摘されているうちに、意識過剰になってしまうのが人情。新井氏は南海(現ソフトバンク)、近鉄で活躍した自身の現役時代を振り返り、「南海では、チームメートたちがチャンスになると『ここで走者を返せなかったら、どうしよう』と萎縮してしまうのを感じていました。ところが近鉄に移籍してみると、チャンスではみんなが『ここで打ってサラリーを上げよう』と意気込んでいた。南海には萎縮して失敗する選手が多く、近鉄には意気込み過ぎて失敗する選手が多かったです」と語る。 そして「今季の大谷の場合は、チャンスで力み悪球に手を出してしまうケースと、走者を返したいという意識が強いあまり好球を見逃してしまうケースの両方があると思います」と指摘した。 「とはいえ、シーズンはまだ半分以上残っていますし、チャンスに打てるかどうかには運もある。今季初の満塁弾が飛び出すとか、走者一掃の二塁打や三塁打を打つとかすれば、1発でがらっと変わる可能性もあります」と続けた新井氏。大谷にとって得意の6月は“ツキ”を変えるのにもってこいだ。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)