44歳夫の心がついに折れた…妻の「まさか」の実験提案 知り合って18年「ずっと振り回されてる」

【前後編の後編/前編を読む】「私の男友だちと3人でどう?」自由すぎる年下妻についていけない… 通じない“常識”に悩む44歳夫の夫婦関係  今村晴也さん(44歳・仮名=以下同)は、年下の絵梨さんと、数年間の片思いを経て交際に至り、同棲を始めた。だが、セクハラ上司にビンタをしたり、突然、海外放浪を始めるといった絵梨さんの“自由”な価値観は、男女の関係についても同様で、彼を悩ませた。「今度、私の男友だちと3人でしない?」と言い出す絵梨さんに戸惑い、晴也さんが拒否をすれば「信頼し合っている私たちだからできることなのに」と不満げ。そんな絵梨さんを見て、晴也さんは複雑な思いを抱くのだった。  *** 【写真を見る】「夫が19歳女子大生と外泊報道」で離婚した女優、離婚の際「僕の財産は全部捧げる」と財産贈与した歌手など【「熟年離婚」した芸能人11人】  だからといって晴也さんの絵梨さんへの思いが冷めていくことはなかった。自分には理解できない感覚をもつ絵梨さんにますます興味と関心は募っていったが、一方で自分が「成熟していない男」に見られているのではないかという思いも大きくなった。 まじめな顔をした妻から、話したいことがあると告げられて… 「こうなったら結婚することでしか彼女をつなぎ止められないのではないか。そう思ったんですよ。それで僕を好きなら結婚という形をとってほしいと言いました。すると彼女は『形はどうでもいい。私は晴也が好きだし、私から離れるつもりはない』と。だから婚姻届をもらってきて記入して提出しました。晴れて夫婦にはなったけど、なったらなったで、中身が伴っていないのではないかと不安になったりもしました。自分が彼女からの愛情を確信できないんですよね。いくら形が整っても不安は消えない」  人を好きになることは、ただそれだけでせつなさを伴う。相手は自分ではないとはっきりわかるからだ。一心同体なんてあり得ないと確信するのが恋なのかもしれない。 「結婚したら彼女との関係が盤石になるわけではない。それを思い知ったので、子どもができれば何かが変わるかもしれないと思ったんです。彼女は日ごろから、言葉で愛情表現をちゃんとするタイプで、いつも『私は晴也が好きだよ』『晴也は大事な人』と言ってくれてる。それでも信じられなかった。だから子どもがほしいと彼女に言ったんです。そうしたら彼女は『私は今はほしくない。だから悪いけどピルを飲んでる』って。取りつく島がないという気がしました」 たぶんデートしているんだと思うと…  絵梨さんには、晴也さんが何を不安に思っているのかわからないようだった。絵梨が好きなのは自分だけではないのではないか。それがいちばんの不安だが、率直にそう言うことができなかった。 「案の定、絵梨は他の誰かとデートしているようでした。仕事の延長線上で食事くらいすることはあるでしょうけど、週末のどちらかには必ず出かけていく。たぶんデートしているんだと思うと胸がかきむしられるような気持ちでした」  絵梨は結婚しているけど、外で恋をしているのではないか、それは不倫だよと言ってみたことがある。恋なんてしてないと絵梨さんは言ったそうだ。男友だちに会ってはいけないのか、あなたはそれほど狭量なのかと逆にツッコまれた。 「生きているうちに会える人数なんて限りあるもの。縁があって気が合いそうなら、じっくり話をしてみたい。それが自分自身の幅を広げることになる。そう思うのは間違いなのか」 彼女と僕の決定的な違い  晴也さんはそう言われ、返す言葉がなかったという。理屈としては、絵梨さんの言い分はわかる。だが納得はできない。彼は男女関係は1対1であるべきだと思っていて、それ以外の選択肢を持っていなかったからだ。 「そういう話を絵梨としたんですよ。そうしたら『男女関係ってセックスのこと? もちろん男女はそういうことをするけど、だからといって愛があるとか恋をしているとかは言い切れないよね』って。ああ、ここが彼女と僕の決定的な違いなんだと改めてわかりました。僕はやはり愛情がベースになければできないんですよ。でも彼女は3人でしようと言う人だから……。そう言ったら絵梨はあははと笑って、『仮定の話だけど、晴也と私がするセックスと、私が他の人とするセックスはまったく違うと思う。3人でするなら、またそれは別物だし』って。気持ちのありようもモチベーションも愛情も違う。いろいろな人と話すのと、いろいろな人とセックスするのと、たいして違いはないんじゃないかなと言うんです。セックスを軽んじているのか、あるいは特別な意味合いを持っているのか、そこは図りかねますけど」  そういった話し合いを積み重ねてもいたが、もちろん結論は出ない。平日の絵梨さんの仕事外の活動については、晴也さんはまったく関知していなかった。聞いても答えるような絵梨さんではない。パートナーは相手のすべてを知っている必要はないと絵梨さんは言う。もちろん、晴也さんの平日の行動についてもいっさい詮索はしなかった。だから晴也さんも、絵梨さんを束縛するような言動はなるべく見せないようにしていた。 絵梨さんの「まさか」の提案  絵梨さんとの関係そのものが悪くなっているわけではなかった。だが、晴也さんの気持ちが安定することはなかった。 「絵梨が男女関係に奔放ということではないんですよね。誰かに誘われると断れないようなタイプではない。つまりは彼女の好奇心が旺盛すぎるんだと思う。彼女の中では、これは遊び、これはスポーツ、これは単なる興味と分かれているようですし、実際にいわゆる浮気をしていたのかどうかもわからない。『した』とは言ってませんし。彼女のそういう考え方を僕が支持できなかったから、不信感だけが募ったのかもしれない。不信感というよりは不安ですけどね」  昨年、絵梨さんはまじめな顔をして話したいことがあると告げた。 「なんだろうと思ったら、『晴也は私が他の男性と関係をもつのが嫌なのよね』と確認してきた。嫌というか、僕は信頼できるパートナーとは1対1の関係でありたい。そうでなければ信頼関係が育たないと思っていると言いました。すると絵梨は『わかった。晴也、私の友だちとセックスしてくれないかな』と言い出した。何を言ってるんだと気色ばむと、『あなたが誰かとしたとき、私、自分がどういう気持ちになるのか知りたいの』と言うんです。晴也だって、パートナーがいるのに他の人と肉体関係をもつのがどういうことか知ったほうがいいと思うって。絵梨の浮気告白なのかもしれません、確認してないけど」  そんなふうに言われることじたいが屈辱だったと晴也さんは言う。そうでないとわかっていながら、やはり絵梨さんから軽く見られていると感じてしまう。人は自分が軽く見られていると思った瞬間、プライドが傷つくものなのかもしれない。 「もちろん、そんなことはできないと言いました。すると絵梨は、『お互いにしてみようよ。そうしたらもっといいパートナーシップが築けると思うの』と言うんです。彼女の理屈が僕にはわからない。でも絵梨はしつこいんですよ。何度も言ってくる。だから僕は絵梨ひとりでいい、絵梨だけでいいんだと声を荒げました」 結婚の意味ってなんだろう  ふうん、それならいいわと絵梨さんはあきらめたようだった。ホッとした半面、自分にそういうことを言うのだから、絵梨は外でいろいろしているんだろうと想像した。想像するだけで苦しかった。 「思えば絵梨と知り合ってからずっと、振り回されています。生き生きと生活している彼女と結婚しているのはうれしいけど、僕の気持ちはいつでも不安定。僕はもっと落ち着いた生活を送りたい。子どももほしいのに、先日、誕生日を迎えた絵梨は『気づいたら40歳。もう子どもは無理よね』と。本当は子どもはもともとほしくなかったんでしょうね。既婚、子どもふたりの友人にこの結婚生活を話したら、『なんだそれ。結婚している意味あるの?』と聞かれました。確かにそうですよね。でも結婚の意味ってなんだろうと考えちゃって。子どもをもつことが結婚の意味というわけでもないだろうし。僕にとっては絵梨との1対1の愛情を育てるのが結婚の意味だった。でも絵梨にとって1対1はたいした意味をなさない」  妻に不倫を勧められ、なおかつそれを受け入れることができなかった自分に対して晴也さんはイラついているように見えた。それを受け入れて実行に移したら、何か別のものが見えてきたのだろうか。 「僕はもっと絵梨に愛されたい。本当はそれだけを望んでいるんです。でも絵梨は『晴也が大好き』とたびたび言うし、それは嘘ではない。だからこそ、浮気や不倫に寛容すぎる彼女が別世界の人に思えてしかたがない」  つかまえていたいのにつかまえている実感がない。だから不安になる。だがその不安が、実は晴也さんの妻への愛を燃え立たせているのかもしれない。彼の苦悩が情熱の元だとしたら、苦悩がなくなるほうがむしろ怖いことだとも言えそうだ。  ***  苦しい胸の内を明かす晴也さんだが、知り合ったときから、絵梨さんは一貫して「自分」であり続けている。そもそも、交際を始めたことが過ちだったのだろうか……。2人の出会いは【記事前編】にて紹介している。 亀山早苗(かめやま・さなえ) フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。 デイリー新潮編集部

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