昭和、平成のプロ野球の象徴的存在だった長嶋茂雄さんは、数多くの印象的な言葉を残した。 　選手として、監督として、表舞台を退いてからもその雄弁さは球史を華やかに彩った。 【選手時代】 　「千葉（茂）さんが、僕のために背番号３を譲ってくださったことに感謝しています」（１９５７年１２月７日、巨人入団発表で） 　「見逃せばボールだったかもしれないが、思い切り引っ張った。これで肩の荷が下りた」（５８年４月１０日、プロ入り初本塁打） 　「おそらく草野球だってないだろう。恥ずかしい」（５８年９月１９日、左翼席に打ち込んだものの、一塁を踏み忘れて“幻の本塁打”に） 　「昨日は眠れなかった。まるで子供みたいに思われるかもしれないけれど、両陛下の前で野球をお見せするのは初めてだからね」（５９年６月２５日、天覧試合でサヨナラ本塁打） 　「僕と彼女を結びつけてくれたオリンピックに感謝している」（６４年１１月２５日、東京五輪のコンパニオン西村亜希子さんと婚約） 　「私は今日引退をいたしますが、我が巨人軍は永久に不滅です」（７４年１０月１４日、後楽園球場での引退セレモニーで） 【巨人監督】 　「来年はひとつ、クリーンベースボールのキャッチフレーズで」（７４年１１月２１日、巨人軍監督就任記者会見で） 　「文字通り、宙に舞うような気分でした」（７６年１０月１６日、リーグ初優勝の胴上げをされて） 　「家内ともゴルフをやれるような平穏な生活だったので、また戦いの場に行くことにためらいもありました。しかし、やっぱりチーム愛というんですかね」（９２年１０月８日、２度目の巨人軍監督就任を受諾） 　「（くじを）開けた瞬間、うれしかった。意中の人で、こういう形となって良かった」（９２年１１月２１日、ドラフト会議で石川・星稜高、松井秀喜選手の交渉権を獲得、親指を立てた） 　「オーラスの大一番だ。国民的行事ですからね」（９４年１０月７日、史上初となる中日との同率最終決戦を翌日に控えて） 　「秋には必ず『メークドラマ』しますよ」（９５年７月２７日、前半戦を終えて首位に７・５ゲーム差をつけられ、後半戦の逆転を誓って。翌９６年に２年越しで『ドラマ』完結） 　「スカッとした青空のように、そういう心境であります」（２００１年９月２８日、巨人軍監督の勇退を表明して） 【代表監督】 　「ユニホームに日の丸をつけるという、野球人としてかつてない興奮と、使命の重さを痛感している。勝負の世界である以上は勝つという前提がある」（０２年１２月２日、アテネ五輪に向けて日本代表監督に就任して） 【闘病生活】 　「勝つ、勝つ、勝つ！」（０７年３月７日、巨人の応援組織「燦燦（さんさん）会」に３年ぶりに出席し、ナインにゲキを飛ばす） 　「王監督がユニホームを着ていない野球界は寂しく思え、非常に残念ですが、しばらくはゆっくりしてください」（０８年９月２３日、ソフトバンク・王監督の退任に） 　「始球式では久しぶりにスイングしてうれしかった。いい球だったら打ったと思う。松井君はこれからも野球一筋だと思う。国民を応援するような気持ちで、野球道に集中してほしい」（１３年５月５日、松井秀喜さんとともに国民栄誉賞を受け、表彰式であいさつ） 　「なかなか出来ない時もあるけど、落ち込まないように、前へ前へという強い気持ちで」（毎朝続けているリハビリについて、１６年１月５日付の本紙インタビューで）