「キャッチボール再開」も現地で高まる「佐々木朗希」へのブーイング 「クローザーで起用されても驚かない」との指摘も

噴き出したロウキ批判  ドジャースの大谷翔平(30)が実戦形式の投球練習「ライブBP」に登板したのは、現地時間5月25日だった。それ以降、日米の野球メディアの関心は「二刀流の復活時期」に集まっているが、同日、もう一つの重要案件も発表されていた。 【写真を見る】兄と同じ道はたどらないで… 「目元がソックリ」な佐々木朗希の弟・怜希選手 「来週にはキャッチボールを再開させるよ」  大谷のライブBPに関する感想を求めてくる記者団の質問がひと通り終わると、デーブ・ロバーツ監督(53)がそう切り出したのだ。語られたのは、佐々木朗希(23)の近況についてだった。 「実戦復帰の目処までは立っていないが」  ロバーツ監督はそう続けたが、20人ほどの記者たちは「復帰の目処は立っていない」の説明に満足してしまったのか、それ以上の質問はしなかった。 初勝利までは長かった?(ロサンゼルス・ドジャースの公式Instagramより)  佐々木は5月9日のダイヤモンドバックス戦の登板後、右肩の違和感を訴えた。「インピンジメント症候群」と診断され、14日の囲み会見で昨シーズン中から抱えていた痛みであったことも告白した。  その告白について、マーリンズ元球団社長のデビッド・サムソン氏が、米球団と入団の交渉をしていた昨年オフの時点で、右肩痛を明かすべきだったと強く批判していたことが注目を集めた。 「サムソン氏が球団社長だったころ、イチロー氏もマーリンズのユニフォームを着ていました。『軽打の多いイチロー氏の打撃は、パワーのメジャーリーグに合わない』と批判的でしたが、後年、『どんなときも練習と準備を怠らない素晴らしい選手だった。発言を撤回し、謝りたい』ともコメントしています。今はただの野球界OBですが、自身の過ちを認めることのできる人なので、彼のロウキ批判に反対する野球ファンは多くありません」(米国人ライター)  現地メディアによれば、現在の佐々木はクラブハウスに顔を出すものの、試合前のウォーミングアップには参加していないという。リハビリなどは行われているようだが、「インピンジメント症候群」なる負傷が聞き慣れないせいか、復帰までどの程度の日数が掛かるのか、まるで想像が付かない。一部では「2、3か月の休養を要する?」という報道もあったが、NPB関係者に話を聞くと……。 「プロ野球界ではよくあることです。多くの球団で監督、コーチ、トレーナーたちの間で『インピンジ』と略して言っていますが、主力級の投手は多かれ少なかれ、この症状を抱えています。投手の登録抹消の理由が『上半身のコンディション不良』とあったら、半分はインピンジだと言っていいでしょう」(某球団スタッフ)  痛みが解消されるまでの期間には個人差があるそうだが、プロ野球投手にとって、インピンジメント症候群とは“職業病”のようなものだという。痛みを発症した後にしっかりと肩を休ませれば大事には至らないそうだが、佐々木の不遇はそれだけではなかった。 「期待外れだった」  佐々木は今季開幕前、米スポーツ専門局「ESPN」(電子版)のプロスペクト(有望株)ランキングの1位に選ばれていた。MLB公式・専門サイト「Baseball America」でも同様だった。しかし、「期待の注目新人」の動向を、シーズンを通じて追い続ける「ESPN」は佐々木の順位を6位に、IL(負傷者)リスト入り後は8位まで下げていた。6位に落ちたのは4月下旬だったから今回の怪我とは関係がない。「期待外れだった」と解釈されたのだろう。 「ドジャースに入団するまでの交渉が長く、オフの主役だったことも影響しています。球速アップのためのカリキュラムを2回目の交渉で求めるなど、交渉内容が全て報道されていました。結果的にファンが認める合格ラインのハードルを、自身で上げてしまいました」(前出・同)  佐々木の今後だが、MLB公式サイトは「10勝を挙げる」と予想していた。あくまでも“開幕前の期待値”であり、メジャー初勝利を挙げるまで苦労したことを考えると、球宴前の前半戦終了までに2勝目を挙げられるかどうかも怪しくなってきた。 「キャッチボール再開」とは、まだ投球練習の前段階だ。しかも、「再開させる」のコメント通りならば、佐々木は1ヶ月近くボールを握っていなかったので筋肉量も落ちている。復帰登板は早くても7月16日(現地時間)のオールスターゲーム前後となりそうだ。 「現地では、佐々木の今シーズンを予想した、もう一つのコメントも再注目されています」(前出・米国人ライター)  昨年、佐々木のドジャース入りをいち早く報じた米全国紙「USA TODAY」のボブ・ナイチンゲール記者が、You Tubeの野球専門チャンネル「The INCLINE」にリモート出演し、「160イニング以上登板、2桁勝利」とする各メディアの1年目の成績予想を一笑し、 「真綿で包むように、大事に、大事に育てるよ。現実を直視してくれ。サイ・ヤング賞レースに加わることはないし、ナ・リーグ新人王レースにも入ってこないよ」  と言い切ったのだ。佐々木獲得はあくまでも将来性を買ってのことであり、即戦力ではないとの見解だった。改めてその発言を聞いてみたが、最後に気になるコメントも発していた。 「仮に、佐々木がクローザーで出て来ても驚かないよ」  同記者は佐々木のドジャース入りを「98%以上」と言ってきた根拠を、複数の関係者の証言によるものとしていた。将来のクローザー起用もその証言に含まれていたのだろうか。 吉井監督は知っていた?  また、昨季までの師匠である千葉ロッテの吉井理人監督(60)も3月1日、TOKYO FM局の「SPORTS BEAT supported by TOYOTA」にゲスト出演し、 「故障は多分、するとは思うんですけども。故障したとしても、ちゃんと復帰させるプランも持ってますし、大丈夫だと思います」  と語っていた。インピンジメント症候群を昨季から抱えていたとする本人談が本当であれば、吉井監督も知っていたはずだ。また、自身もメジャーリーグに挑戦した経歴があるので、その苦労が分かっているのだろう。  序盤戦の佐々木は投球が全体的に高く、低めにコントロールできなかった。一般的にメジャーリーグの公式球は縫い目が高く、NPB球よりも大きく感じるという。また白い革の部分もサラサラで「抑え」が利かないそうだ。「抑えが利かない」ということは、投球が上ずる。対策として、NPB時代よりも強く握らなければならない。「強く握った」結果、肩と肘の負担が増し、前腕部にも張りが生じる。それらの負担が蓄積され、ケガにつながっていく。 「日本時間30日、ドジャースはレッズの守護神であるアレクシス・ディアス(28)のトレード獲得を発表しました。クローザーを予定していたタナー・スコット(30)の不振をカバーする緊急トレードですが、ディアスは傘下の3Aチーム『オクラホマシティ・コメッツ』に配属されました。メジャーリーグの試合に出場が可能な40人枠は保証されましたが……」(現地記者)  ドジャースが交換要員で放出したのはマイナーリーグの若手投手だ。目下、チームの課題は投手陣の負傷者続出をいかにカバーするかにある。大エースのベテラン、クレイトン・カーショウ(37)が復帰したものの、オフの大型補強のツケでチームは飽和状態にあり、40人枠の入れ替えも避けられなくなってきた。キャッチボール再開後の佐々木に大きな進展が見られなければ、40人枠から外すことも考えなければならない。試練のシーズンとなりそうだ。 デイリー新潮編集部

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