家族が亡くなったらやること一覧!「必要な手続き」「必要な書類」の全リスト

期限はあっという間にやってくる 身内の死という非常事態。それにもかかわらず、死後の手続きは膨大で、時間制限もあり、煩雑だ。役所、法務局、裁判所、年金事務所、銀行……それぞれの場所で、あらゆる書類の提出を求められる。 さらには制度そのものが、知らないうちに変わっていることもある。失敗すれば、その後の人生を大きく左右する大事な手続きだからこそ、何度でもシミュレーションしておく必要があるのだ。 少しでも手続きをスムーズに進めるためのポイントは、「必要な書類」をあらかじめ把握しておくことだ。 まずは、死後7日以内に提出する(1)死亡届である。これは医師が書いた(2)死亡診断書と1枚綴りになっていて、死亡診断書がないと死亡届も提出できない。(3)火葬許可申請書は、葬儀社が代行してくれることが多いが、死亡届だけは親族が書かなければならない「最初の手続き」だ。 こうした手続きをしに役所へ行くと、たいてい『おくやみハンドブック〜主な手続のご案内〜』(東京・文京区の場合)といった一覧表を手渡される。必要な手続きが一覧になってはいるが、情報が多すぎて、どれが大切なのかを見分けづらく、かえって「ヌケ・モレ」が出てしまう。 そこで、ここからは、家族が亡くなった後に必ずやらなければならない段取りに絞って紹介しよう。 真っ先に期限が迫ってくるのが健康保険の手続きだ。会社の健康保険は5日以内、国民健康保険は14日以内が期限となる。役所の国保年金課などでもらえる(4)国民健康保険資格喪失届を提出して、資格の喪失手続きを行おう。 基本書類の準備を始めよう 次に、もらっていた年金受給の停止。(5)年金受給権者死亡届を、国民年金は死後14日以内に、厚生年金は10日以内に提出せねばならない。この届け出は、年金事務所か年金相談センターで行う。同時に、(6)未支給年金・未支払給付金請求書を提出して、未支給年金を忘れずに受け取ろう。 続いて、公共料金などの解約も進める。(7)死亡診断書と申請者の本人確認書類(マイナンバーカードなど)があれば、すぐに対応してくれる。 これと並行して、この先の手続きをよりスピーディーかつ効率よく進めていくために、戸籍謄本や印鑑登録証明書といった「基本書類」を用意しておきたい。これらの入手には思いのほか時間がかかるため、死後ただちに準備をはじめよう。 まず、(8)戸籍証明書等交付請求書を使って、故人の戸籍謄本を入手する。死亡の事実が記されている除籍謄本も必要だ。 また、戸籍謄本に関しては相続人、つまり妻や夫、子どもなど全員のものを要求されるケースが多い。故人のものと同様に、それぞれが入手しておく。 以前は、戸籍謄本は本籍地でしか入手できなかったが、'24年3月からの制度改正で、本籍地以外の市区町村役所の窓口でも、手に入るようになった。 ただし、戸籍謄本には現住所が書かれていないため、現住所が書かれている故人の最後の住民票(除住民票)や、相続人全員の住民票が要求されることもある。 これらは、(9)住民票の写し等交付請求書によって、住んでいる市区町村役所で交付を受ける。 書類の期限に注意 名義変更や相続税申告で絶対に必要になるのが、印鑑登録証明書である。 戸籍謄本同様、相続人全員のものが必要だ。(10)印鑑登録証明書交付申請書を出せば交付されるが、「注意すべきは、発行日です」と行政書士法人オーシャンの岡田大地氏は語る。 「証明書そのものに期限はありませんが、金融機関などでは、発行から6ヵ月以内のものしか使えないケースが多い。『生前に発行した印鑑登録証明書が手元にあるから大丈夫』と思っていると、預金解約に使えない場合もあります」 また、これらの書類は、コピーが認められないことも多く、先に必要な枚数を取得しておいたほうがいい。5枚ほどあれば安心だ。 ただし、必要な書類を大きく減らすことができる手がひとつある。'17年にスタートした法定相続情報証明制度だ。 この制度を利用すれば、相続人に関する情報を1枚にまとめた証明書がもらえる。これは、いわば戸籍一式の代わりになる共通の書類。 これがあれば、金融機関などで故人の戸籍謄本の束の代わりにできるうえに、相続税の申告にも使えるのだ。申し込みには、(8)で得た故人の全戸籍(除籍)謄本と相続人全員の戸籍謄本、(9)で得た故人の除住民票(除票)などが必要になる。 こうした書類を手に入れると同時に、役所で(12)世帯主変更届も提出しよう。 請求し忘れると損をする手続き 配偶者が亡くなって、旧姓に戻りたいと考えている人は(13)復氏届を提出する。この場合、姓は変わるが、義父母などへの扶養義務は継続する。その縁も切りたいなら(14)姻族関係終了届を出す。いわゆる「死後離婚」だ(詳しくは116ページの第6章を参照)。子どもの戸籍まで動かしたいならば、家庭裁判所に(15)子の氏の変更許可申立書を提出しよう。 役所での手続きが終われば、いよいよ相続手続きに突入する。まずは、遺言書を探そう。このときにも、この先の手続きを楽にするコツがある。行政書士キートス法務事務所代表の汲田健氏が解説する。 「遺言書だけでなく、銀行口座、証券口座、生命保険、所有している自動車、不動産などの遺産の情報も集めていきましょう。また、故人が契約していた携帯電話、固定電話、NHK、サブスクなどもリストにしておくといいでしょう」 相続そのものは、金額が大きければ税理士などに依頼するのもいい。ただし、その際にも表に記載した書類は必要になってくるので、あらかじめ用意しておきたい。 こうした手続きで忘れがちなのが保険請求だ。汲田氏が続ける。 「80代でも、生命保険に『お守り』のように入っている人もいます。あるいは、認知症になって入院したりしていると、医療保険を請求していない場合もある。相続人に請求権があるので、相続のタイミングで一緒に確認するのがいいでしょう」 死後、家族が揃えねばならない書類と手続きはたくさんある。何をするべきかのロードマップだけでも頭に入れておこう。 「週刊現代」2025年6月9日号より 【こちらも読む】「通勤手当に課税」「独身税」まで...日本人はいつの間にか「大増税」されていた! 国民を苦しめている「ステルス増税」のヤバすぎる実態

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