東日本大震災で1年9か月被災地に、犬猫5000匹の命守る…女性が設立した広島のNPO30年

 犬や猫の保護活動に取り組むNPO法人「犬猫みなしご救援隊」(広島市安佐北区)の設立から今年で30年になる。  14年前の東日本大震災では、被災地で飼い主が世話できなくなった多くのペットを保護し、引き取り先を探すなど、命を守るために力を注いできた。スタッフらは「これからも寄り添い続けたい」と誓う。(綾木佑我)  広島市安佐北区可部町今井田の山と川に囲まれたエリアに立つ保護施設。十分に運動できるよう大きめに作られたケージが約10台並び、中では犬が元気に走り回っている。スタッフがケージに入ると、近寄ってきた犬たちが、おなかを見せて甘えていた。  救援隊は、理事長の中谷百里さん(63)が1995年9月に設立し、10年後にNPO法人格を取得。活動費は寄付で賄う。広島だけでなく、栃木、岡山にも拠点を広げ、約60人のスタッフが日々、犬や猫と向き合っている。  中谷さんには忘れられない出来事がある。  2011年3月11日の東日本大震災。警察官や消防隊員ら人命救助にあたる人はいても、動物の命を救えるのは自分しかいない——。テレビで流れる津波の映像を見て、すぐに被災地に向かった。  発生3日後に車で仙台市に到着し、避難所を回ってペットフードを配布した。数日活動して広島に帰る途中に立ち寄った福島県南相馬市。東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う避難指示で人影の絶えた道路に50匹以上の犬が集まっていた。  「私がしないといけないのは、ここで犬を保護することだ」。その光景に衝撃を受け、同月末に再び福島に戻った。被災地に置き去りにされた犬や猫を集め、飼い主の元に返したり、一時的に預かってくれる人を探したりした。  12年12月に広島に帰るまでに保護した犬や猫は約5000匹に上る。3500匹は飼い主に戻し、1150匹は預かる人が見つかったが、残る350匹は広島に連れ帰った。  それから10年超の年月が流れ、多くは引き取り手が見つかったり、寿命で死んだりしたが、現在も9匹が残る。平均年齢は15歳。人間だと76歳になる。福島での保護活動にも関わっていたスタッフの根本美花さん(51)は「ご飯をあげたり、ブラッシングをしたり、そんな一緒に過ごす日常を大切にしたい」と話す。  16年からは県動物愛護センターに持ち込まれる殺処分対象の猫を全て引き取る活動も始めている。中谷さんは「被災地から一緒に戻ってきた子たちはもちろん、すべての犬や猫の幸せのために頑張っていきたい」と話した。

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