多様性の時代になり、働く時の「服装の自由化」が広がっています。RKK熊本放送の青谷倫太郎アンカーと後生川凜アナウンサー、そして記者の解説とともに、この「服装の自由化」と、「働く人たちの本音」を考えてみます。 【写真を見る】スタジオに立つアナウンサーたちの「仕事服」は?ある日の装い (スタジオ) 記者:まずは2人のきょうの服装をみてみましょう。ファッションポイントはありますか? 青谷倫太郎アンカー(水色のシャツ・黒のスラックス)「私は『普通』を心がけています。取材でいろいろな職業の人、年代の人と話すので、服装で失点がないように心がけていますね」 後生川凜アナウンサー(水玉模様の白いブラウス・黄色のワイドパンツ)「私もTPO(時間・場所・場合)を大切にしています。きょうは取材があったので動きやすいパンツスタイル。例えば、司会をする時はジャケットを着る、テレビに出る時は明るい色を着る、そんなことを心がけています」 ちなみにRKKでは、毎年5月1日から9月末をめどにクールビズを実施し、服装は「TPOに配慮した軽装で各自調整する」としています。 記者:「クールビズ」が始まって20年が経ちましたが、最近のキーワードは「ビジネスカジュアル」。それぞれの違いは以下の通りです。 ▼クールビズ:ノーネクタイ・ノージャケットのような、主に夏の暑さを和らげるための取り組み ▼ビジネスカジュアル:スーツスタイルほど堅くなく、カジュアルファッションほどラフすぎない 1年を通しての服装 青谷アンカー「これからの夏場は暑くて耐えられませんから、Tシャツでもいいと認めてくれるならありがたいですね」 記者:熊本市は職員に対し、年間を通して軽装勤務を推奨しています。5月には大西一史市長も白いTシャツにスニーカーという「ビジカジ」スタイルで市長会見に臨みました。 このような動きは、金融機関でも広がっています。 「ガチガチしない」令和の銀行員スタイル 肥後銀行は2023年に女性行員の制服を廃止し、2025年5月から、すべての行員にスーツやネクタイの着用を義務付けない「ビジネスカジュアル」を導入しました。「基本はお客様に不快感を与えないこと」としつつ、多様化する従業員の声に応えます。 肥後銀行 人事部 村上貴志さん「TPOに合わせることと、個人の感覚で選択ができるという点で、従業員の選ぶ多様性を尊重する」 「ビジネスカジュアル」を導入して約1か月。社内の反応は? 肥後銀行水道町支店 坂田寛之支店長「今まで以上にゆったりとした気分。リフレッシュできる、あまりガチガチしていない点からすると、みんないい感じで仕事ができるのでは」 ただ、戸惑いもあるようです。 坂田支店長「どういった格好がいま世の中で流行っているのか、どこまでは許されるのか。今まではあまり朝から考えずにそのままぶら下がっているスーツを着ていけば良かったので、それからすると、ちょっとファッションセンスも問われるなと」 (スタジオ) 記者:このような「服装の自由化」、どう受け止めますか? 青谷アンカー「服を『買う』『選ぶ』これは負担と思う人は多い気がします」 後生川アナ「自由であるがゆえに、どうしたら良いか分からない、という現象が起きそうです。制服に憧れてその職に就いたという人もいると思うので、自由過ぎるのもどうかな?と、ちょっと思っちゃいますね」 記者:難しいですよね。では、他の業界で働く人はどう思っているのでしょうか?街の声を聞いてみました。 「制服」「自由」は面倒くさい? 幼稚園経営/40代男性/服装自由「動きやすさは考えている。普段はジャージーなので、会合があるときはこういう格好(ジャケットを着用)をしている」 医療系/30代女性/制服あり「コーディネートが面倒くさいかな。制服の方が楽です。着替えてしまえば現場に出るだけなので」 会社は「ビジネスカジュアルOK」としていても、ネクタイ・スーツスタイルで出勤している男性は次のように話します。 営業系/50代男性/ビジネスカジュアルOK「取引先や会社関係の人と会うので。特に年配の方は、やっぱりネクタイをしている方がいいというのはあるので、そこは自分で判断している」 別の「ビジネスカジュアルOK」という会社では、服装以外の新たな支援で従業員をサポートしています。 営業系/40代女性/ビジネスカジュアルOK「会社がお昼ご飯代を補助する取り組みが始まった。制服の支給がないのであれば、ちょっとした福利厚生があれば助かるのでは」 就活生の約9割が困った「服装自由」 (スタジオ) 記者:服装の自由化は、職場だけでなく就職活動でも進んでいるようです。しかし、ある調査では就活生の約9割が「『服装自由』などで服選びに困ったことがある」と回答しています。 具体的には、こんな声があがっていました。 「会社から服装を試されている感覚があった」 「自分だけ浮くのを避けるため、結局スーツを選ぶ」 「どうせなら指定してほしい」 (『洋服の青山 #きがえよう就活プロジェクト』より) 後生川アナ「『服装自由』と言われたからTシャツにデニムで面接に来たら、じゃあどう思いますか?という話ですよね」 青谷アンカー「でも『自由』と言ったからには、それを受け入れるスタンスを会社が見せているわけですからね」 後生川アナ「ただ、その結果は就活生には分かりませんからね。だから結局、無難なリクルートスーツを選んじゃいますよね」 結局「制服・スーツが楽」なのか? 後生川アナ「『服装自由』『ビジネスカジュアル』の意味に幅があるから迷うのでは?どこまでが含まれるのか、そこが難しいのかなと感じます、指針が欲しい」 青谷アンカー「幅も含めて『ここまで受け入れますよ』と、自分たちも受け入れるし、受け入れてもらいたいし、そういう世の中になって欲しいですね」 記者:ちなみに、青谷アンカーが「ビジカジ」スタイルでニュースを読む予定は? 青谷アンカー「…今のところ用意はないですね、受け入れてもらえるかな?」 記者:職場や人それぞれの「らしさ」「イメージ」などある中で選択肢が広がったことは嬉しい一方、今後、どのように浸透していくのでしょうか。 (2025年6月4日(水)放送 RKKテレビ「NEWS ゲツキン」より)