線路の両側には木々が生い茂り、「緑のトンネル」を作り上げています。 　しばらくするとカーブの先から２両編成の電車がゆっくりとやってきました。 　今回紹介する路線は千葉県銚子市を走る銚子電鉄です。「銚電」の愛称で親しまれ、ＪＲ総武線と接続する銚子駅から外(と)川(かわ)駅間の１０駅６.４キロを約２０分で結び、沿線には銚子のランドマーク「犬吠埼灯台」があるほか、日本屈指のキャベツの産地としても有名で、広大なキャベツ畑を車窓から見ることができます。 　同線は１９１３年（大正２年）に銚子—犬吠駅間が銚子遊覧鉄道として開業したのが前身です。第１次世界大戦中に一度廃止されましたが、２３年に銚子鉄道として外川駅まで延伸開業、２５年に電化されました。４５年（昭和２０年）の空襲で一時運行不能となりましたが、４８年に銚子電鉄として現在の形になりました。 　これまでに何度も廃線の危機に直面しましたが、名物「ぬれ煎餅」の生産・販売、映画「電車を止めるな！」の制作や、路線の愛称を今年４月から１年間限定で「犬吠崖っぷちライン」と名付けてＰＲするなど、斬新な企画で客を呼び込み、地域の足を守っています。 　車両は全て２両編成で、かつて京王電鉄や伊予鉄道で活躍した車両のほか、２０２３年から２４年にかけて南海電鉄から譲り受けた「２２０００形」が２編成活躍しています。そのうち１編成は和歌山から銚子へ渡り、外川漁港を築いた偉人の名にちなんで、観光列車「次郎右衛門」として今年４月から運行を開始しました。車両は１９６９年製造ですが、「レトロな新顔」として親しまれています。（東京写真部　後藤嘉信） 　「鉄フォト」は今回から「昭和レトロ編」をお送りします。昭和時代に製造された車両は懐かしいデザインが人気ですが、まだまだ全国の路線で見られます。そんな「古豪」たちの活躍などを紹介していきます。 　※鉄道写真撮影の際のお願いです。マナーを守って安全に撮影しましょう。