地球温暖化の影響で年々暑さが増している日本の夏。電気代も値上がりしている中、「涼しく過ごしたいけど、冷房代が気になる……」という人も少なくないはずです。 そこで今回は冷房家電の2025年の最新トレンドにも触れながら、熱い夏をコスパよく、快適に過ごす方法をご紹介します！ AIの自動制御でエアコンの電気代を節約 冷房家電と聞いて多くの人が真っ先に浮かべるのは、やはりエアコンです。エアコンは、冬は暖房家電として、夏は冷房家電として使えるすぐれもの。しかも、広範囲にわたって室内を一定温度に調整することが可能です。 エアコンで電気代を節約する大きなコツと言えるのが、設定温度を高めにすること、自動運転モードを活用すること、そしてフィルターをこまめに掃除すること。なかでも室温が目標に達したら自動で風量を弱めたり、人の在室状況によって運転モードを切り替えたりしてくれる自動運転は、私たち自身がこまめにON／OFFを切り替えるよりも効率的に節電できます。 加えて最新のエアコンには、AIによる自動制御を行う機能が搭載されているものも。AIが室温や湿度、天気予報、生活パターンなどを学習することで自動運転がさらに最適化され、室内の環境を快適に保つとともに電気代の節約にもつながります。 太陽光発電システムと連携して最適化 それだけではありません。シャープの「Xシリーズ」など、太陽光発電システムと連携して、発電量に応じてエアコンの運転を最適化するタイプのエアコンも登場しています。 「発電量に応じてエアコンの運転を最適化する」とはどういうことかというと、日差しの強い昼間など、太陽光による発電量が多いときは、エアコンを強めに運転させても自家発電で賄うことができ、実質的な電気代はかかりません。反対に、曇りの日や夕方以降は発電量が少ないため、電力の消費量が発電量を上回ってしまうと不足分の電気を電力会社から購入することになります。それを避けるために自動的にエアコンの運転を弱めます。つまり、太陽光による発電状況に合わせてエアコンの運転状況を最適化することで電気代を最小限に抑えられる仕組みになっています。 このように、自動運転の機能が急速に高度化しているのが最新の省エネエアコンの特徴です。古いエアコンを使用している場合は、最新モデルに買い替えを行うことで、室内環境がより快適になるだけでなく、消費電力の削減による長期的な節約につながるかもしれません。 工事不要！ 進化の進む「扇風機」も心強い味方に 一方で扇風機も進化しています。エアコンよりも安く購入でき、工事も不要。「いますぐ風に当たって涼みたい」「自分がいる場所だけ涼しくしたい」という場合手軽に使うことができるのが扇風機のよいところ。電気代で比較しても、機種や設定、電気の契約プランなどによって異なるものの、1時間あたりにかかる電気代がエアコンの場合は10円〜25円ほどであるのに対し、扇風機は0.5円〜1円程度。電気代が値上がりしている昨今においては心強い味方と言えます。 そして最近では、扇風機にも人感センサーや省エネ運転の機能を搭載したモデルが登場しています。 従来の扇風機はACモーター（交流電流）を搭載したものが主流でしたが、近年の高性能な扇風機はDCモーター（直流電流）を搭載しています。DCモーター搭載の扇風機では、消費電力がACモーターの3分の1から5分の1と非常に少なくて済むのに加え、モーター音が静かで、風量の調整も細かく可能です。また、人の動きを感知して自動でON/OFFを切り替える機能や、一定時間、人の動きがないと自動で停止し、人が戻ると再稼働するといった在室検知機能を備えたものもあります。扇風機のつけっぱなしはそっくりそのまま電気代の無駄につながりますので、こうした機能があるのは助かりますよね。この夏、扇風機の購入を検討している人は、DCモーターを搭載している機種かどうかをチェックするのがおすすめです。 エアコンと扇風機の併用もおすすめ コスパという意味では、エアコンと扇風機を併用するのも賢い方法です。冷たい空気は温かい空気に比べて密度が高くて重いので、放っておくと部屋の中の空気は天井に近い部分が比較的温かく、床に近い部分が冷たくなります。 私たちの体感温度という意味では、床に近い部分の空気が冷たくなることはよいことなのですが、電気代という観点ではマイナスに働きます。なぜなら、エアコンが天井に近い部分の空気の温度を検知した際、「もっと冷やさなければ」と運転を強めることで、余計な電気代がかかってしまう可能性があるからです。 そこで扇風機をエアコンの風下に、エアコン本体と向かい合う形で起き、頭の部分を天井に向けて固定します。そうすると、扇風機の風によってエアコンから出た風が室内を循環するため、エアコンが必要以上に「もっと冷やさなければ」と奮起するのを回避でき、結果的に電気代を抑えられるというわけです。 工事いらずの「冷風機」も選択肢のひとつ 家庭用の冷風機も検討したい冷房家電のひとつです。冷風機とは、言ってみればエアコンと扇風機の中間のような家電。エアコンと同様、外から取り込んだ空気を冷却した上で送風しますが、室外機は不要で、扇風機のように持ち運ぶことができます。スポットクーラー、スポットエアコンなどとも呼ばれます。 冷風機のメリットは、工事いらずで、かつ扇風機とは違ってしっかり空気を冷却できること。室内での使用ももちろんですが、野外での活動の際に充電式のポータブル冷風機を持参すれば、キャンプや海、公園など、どこでも冷風に当たることができ、熱中症予防にも役立ちます。ハンディファンのように一人ひとりが持たなくても複数人でまとめて涼めるのも便利ですね。 エアコンや扇風機ほどの存在感はないものの、冷風機も年々進化しています。最近では冷風を送風するだけでなく、加湿や除菌、消臭機能などがついたハイブリッド式ものも登場しています。また、エアコンのような室外機がない分、モーター音がうるさいのが難点でしたが、DCモーターの搭載により、静音性も格段に向上しているようです。 冷風機の1時間あたりの電気代は5〜15円程度と扇風機よりは高いものの、エアコンよりも安くなっています。部屋によってエアコンと冷風機を使い分けるなど工夫をすることで電気代の節約につながりそうですね。 ハンディファンの「冷却プレート」に注目！ 外出の必需品となりつつあるハンディファン。100均でも購入できるハンディファンですが、その性能はピンキリ。製品によって重量、風量、充電に必要な時間、最大の連続使用時間などにかなりの開きがあります。たかがハンディファン、されどハンディファン。価格だけで比較するのではなく、しっかりと暑さをしのげ、快適に過ごせるための製品を選びたいところです。 なかでもより涼感を求めるのであれば、身体を直接冷やせる「冷却プレート」がついているものがおすすめ。これは電気を通すと片面が冷たく、片面が熱くなるペルチェ素子と呼ばれる半導体技術を利用したもので、この「冷却プレート」を首元や頬など肌に直接当てることで、素早く冷却することができます。 「冷感アイテム」を賢く活用して電気代を節約しよう 最後にご紹介したいのは、電気代をかけずに涼しくなれる、今どきの冷感アイテム。 暑い夏の悩みのひとつが、夜の寝苦しさ。エアコンをつけると翌朝なんだか身体がだるいし、クーラーの風が当たるのも避けたい。夫婦や親子で睡眠時のエアコンの快適温度が違って困るという話もよく耳にします。 そんな場合に活用したいのが、冷感の素材を使った寝具です。枕カバーや敷きパッド、布団からタオルケットまで、冷感を売りにした様々な寝具が販売されています。すべてを揃えると高くつく……という場合は、まずは敷きパッドやタオルケットで試してみてください。冷感の寝具を使用することでエアコンの設定を弱くすることができれば、結果的に電気代の節約にもつながります。 日傘もかなり効果の大きい冷感アイテムのひとつです。日傘は、紫外線対策だけでなく、暑さの軽減にも役立ちます。紫外線対策としては白色の日傘よりも光を吸収しやすい黒色の日傘のほうが効果的ですが、同時に熱も吸収するので、暑さ対策という意味では白色の日傘のほうがよいと言われています。 紫外線対策と暑さ対策を兼ねるのであれば、遮熱効果のある日傘を選びましょう。遮熱効果がある日傘は、体感温度が10〜20度下げられるとも言われています。日傘選びは丁寧にいきたいところです。 冷却スプレーも暑さ対策の強い味方 もうひとつ、即効性のある冷感アイテムとして紹介したいのが、冷却スプレーです。スポーツ中の怪我の応急処置などでよく登場する冷却スプレーですが、暑さ対策、熱中症対策としても大きな効果を発揮します。最近では地球環境に配慮してフロンを使用していない冷却スプレーも登場しています。 冷却スプレーには、衣服の上からスプレーするものと肌に直接スプレーするものがありますが、特に強い冷感を求めるのであれば、怪我の応急処置に使うような肌に直接スプレーするものがおすすめ。頭や首、脇の下などにスプレーすると一気にクールダウンできます。メントールが配合されているタイプであれば、スプレーしたあともしばらくひんやりした効果が続きます。 このように、冷房家電も、冷感アイテムも着々と進化を遂げています。価格はもちろん、しっかり機能を比較し、利用シーンを具体的にイメージしながら上手に組み合わせて活用していきたいですね。 「夏の冷房家電の選び方」に注意！設置時に気をつけるべき「予想外の費用」とは