令和7年1月に東京都が小中高校生の保護者2000人を対象に行った調査によると、子どものスマートフォンの所有率は、小学1年生から3年生までが27.2%、小学4年生から6年生が49.8%、中学生は90.4%、高校生は93.4%という結果になった。同じく東京都で行われた令和6年度「家庭における青少年のスマートフォン等の利用等に関する調査」によると、未就学児については、保護者の24.9%が「スマホをほぼ毎日利用させている」という声も届いており、昔と比べ、それだけ子どもにとってスマホは身近なものになっている。また、親の許可なくアプリやゲームの購入・課金をしたケースが小学校低学年で67.2%、高学年で59.7%に達した。以前より、子どものスマホ普及率は上昇し、それに伴ってトラブルも増加傾向にあると言える。そんな中、子どものスマホを巡るごたごたでママ友とぎくしゃくしてしまった母親もいるようだ。 会社員の夫と小学5年生になる息子(蓮さん・仮名・11歳)と暮らす杏子さん(仮名・40歳)。子どもが塾に通う際に、入退室時にスマホを機器にかざすことで親に通知が来るシステムがあり、それを気に息子にスマホを持たせることにした。すると「ゲームがしたい」と子どもにせがまれたので、杏子さんがアプリをスマホにインストールしてあげることに。その時、1日1時間、課金なしというルールを決めたのだが……。月数千円課金している友達と一緒にゲームが楽しめないので「課金したい」と息子におねだりされても、杏子さんは断固拒否。しかし、それが原因で子どもが友達(陽翔さん・仮名・11歳)にいじめられるようになってしまう。 そこで子どものスマホを使って、杏子さんは1度だけ課金をした。問題は解決したと思っていたものの、数カ月後にクレジットカードの明細に見知らぬ請求があることに気がついて。蓮さんが月5万円もスマホゲームに課金していたことが発覚する。請求は2カ月前のものなので、あと2回5万円ほど払う可能性が出てきた。どうやら杏子さんが課金した際にログインしたままにしたことで、子どもがパスワードを変更し、勝手にアカウントを使用した様子。反省の色が伺えない息子に杏子さんは苛立ちを隠しきれなかった。 記事前編は【小5息子が「スマホゲーム」に勝手に課金していた「衝撃の金額」…それでも40歳母親が強く叱れなかった“事情”】から。 友達にせがまれて課金 「息子は少しだけのつもりが『自分で課金できるようになった』と陽翔さんに伝えると『もっと課金しろよ』とせがまれるようになったと話しました。彼は子どものスマホを使ってゲームをするようになったのだとか。その結果、息子は断り切れず課金を続けるしかなかったようです」 まず杏子さんは、課金を行ったプラットホーム事業者に「未成年による無断課金」であることを申し出て返金を求めたが、対応してもらえなかったという。次に、最寄りの消費者センターに相談するも「保護者のアカウントで課金したので、保護者が決済したとみなされる」と言われ、返金は難しいという結果になってしまったのだとか。 「夫に事情を話すと『スマホに情報を残したお前も悪い』と怒られてしまいました。そして、すぐに家族で話し合いの場を設けることになって。子どもに『もう勝手に課金しないこと』を約束させて『陽翔くんとこのまま友人関係を続けるかよく考えて』とアドバイスしました」 今後、杏子さんが息子のスマホを使う場合は、必ずログオフにすることにしたそう。さらに子ども専用のアカウントを作り、クレジットカードに紐づけをせず、パスワードも杏子さんが決めて息子には教えない形にした。加えて、請求書もまめに確認することにしたという。 ママ友に電話をかけることに…… 「その間、子どもはずっと反省しきりでした。私は現状を伝えるため、陽翔君のママ(ユリさん・仮名・38歳)に電話をかけることに。そこで『うちの子、2カ月ほど前から月5万円もゲームに課金していたんだよね』と話を切り出して『陽翔くんに課金するよう促されたって言っている』『いろいろ問い合わせをしたけれど、返金対応してもらえなかった』と打ち明けました」 彼女は、最初こそ「本当に陽翔がそんなことさせたの?」「証拠はあるの?」などとつっかかってきたけれど、杏子さんが「証拠はないけれど、うちの子が言っているから確かだと思う」と反撃すると、急に納得した様子を見せたのだとか。 「ユリさんは『陽翔も悪いから半額払うよ』と話すと、次の日封筒に入れてお金を持って来ました。そこには、5万円の半分の2万5000円のみ入っていたのです。私は、息子から陽翔さんにせがまれて課金したと聞いていたので、全額支払ってもらいたかったとモヤモヤして。しかも、同じ請求があと2カ月は続く予定なのだから、この額で半分とは言い難いとイラっとしました」 さすがに「あと2カ月分の支払いがあるのだから、もっとお金をよこしてよ」と言えるはずもなく、杏子さんは泣き寝入りするしかなかったそう。 ルールの徹底が大切 「その日、子どもが悲しそうな顔をして帰宅しました。陽翔さんに『親に告げ口しただろう、おかげで母さんに叱られた』『もうお前とは遊ばない』と責められたという。あまりの出来事に『他の子と遊んだら』と息子を諭すことしかできませんでした』 蓮さんは他に友達を作るようになり、今はゲームのルールもきちんと守っているのだとか。 あの日を境に杏子さんは、ユリさんと距離を置くようになったそう。 思わぬ形でママ友トラブルに見舞われた杏子さん。子どもの無断課金がきっかけで、大変な思いをする母親も少なからずいるようだ。スマホを使う時のルールを徹底することも親の役割の一つだろう。 【もっと読む】小5息子が「スマホゲーム」に勝手に課金していた「衝撃の金額」…それでも40歳母親が強く叱れなかった“事情”