妻夫木聡・広瀬すず・大友啓史監督、沖縄の中学生と“未来”を語る 映画『宝島』特別交流会

 9月19日公開の映画『宝島』のプロモーションで、物語の舞台となる沖縄を訪れている妻夫木聡、広瀬すず、大友啓史監督が8日、那覇市立那覇中学校を訪れ『宝島』特別交流会を実施し、映画の感想や、未来に向けての大切な思いを子どもたちと語りあった。 【画像】映画『隆島』中学生との特別交流会の模様  交流会では、事前に映画を鑑賞した生徒たちが妻夫木、広瀬、大友らに直接質問する「質問コーナー」や、キャストから子どもたちに質問するなど、温かく時に熱い想いを交わす時間が生まれた。  テレビの取材と聞いて集まった子どもたちだったが、MCの呼び込みで本人たちがサプライズ登壇すると、驚きを隠せず、思わず声を上げる生徒たち。子どもたちと話すことを楽しみにしていた大友、妻夫木、広瀬も、生徒たちを前に笑顔を見せながら登壇した。  MCの「映画見た人手をあげてください」という問いかけに、前日のプレミア試写に招待された約20人が挙手し、さらに「映画が面白かった人は?」という問いには、鑑賞した生徒全員が力強く手を上げ、それを見た3人はうれしそうな表情でお互い顔を見合わせた。  妻夫木は、「今日サプライズってことすっかり忘れてて、昨日のプレミア会場で名刺を渡した際に那覇中の子どもだとわかったから、『明日ねー』と言ってしまった」と冒頭からお詫びし、場を和ませた。  MCから「アメリカ統治下、戦果アギヤーなどについて聞いたことがある人」という質問に、映画を見た人、観てない人も積極的に手をあげ、子どもたちも次第に緊張も解けて交流会を楽しんでいる様子が見てとれた。また、子どもたちは、両親や祖父母から聞いていたアメリカ統治下への思いや、映画見るまで知らなかった「戦果アギヤー」という存在について語り、登壇者は皆感心を通り越した尊敬と驚きの眼差しで、子どもたちが堂々と語る姿をあたかい目で見つめながら交流会は進行した。  妻夫木から子どもたちへ、「知らない時代を描いた作品だが、時代の変化をどう感じましたか?自分達の未来がどうあるべきか?」という質問を投げかけると、とある生徒から頼もしい回答が。  「自分たちは生まれた時から当たり前に米軍基地があって、映画の中では当たり前ではなく、米軍に反発していたことを知り、戦争の憎しみとか悲しみが風化しつつあることを知り、これからの未来を作る若い世代がこういうことを知り、映画を見て実際にどんなことがあったかを知り、これからどうするべきかを考えることが大事だと思う」  東京から移住してきたという生徒は、「引っ越してきて沖縄の人たちの熱い思いに触れていたが、その理由がこういう背景があったからだと知ることができ、こういう先人たちの大切な想いをどうやって次につないでいくかも考えていかなければいけない」と、語っていた。  さらに妻夫木は「映画に出たきた人と私たちを比べると、どちらが幸せか?」と少し難しい質問を問いかげると、それについても積極的に手があがり、今の時代の方がもちろん資源も豊かで幸せだと思うが、過去にあった大切な思いを残していくことも大切であることや、大変な状況ではあったと思うが、アメリカに負けないという一致団結する強い気持ちを持った当時の熱い思いを考えると、単純にどっちが幸せなのか?簡単には判断できないなど、さまざまな意見が出た。  それを受けて妻夫木は「基地があるから生きていけた人もいる。ただの憎しみだけじゃないと思う」と、当時のことを取材した経験を語った。「実際当時を知る人は、怒りだけじゃなかったと言っていた。アメリカに対して怒りを持った人もいたけど、アメリカがいるからこそ生きられた人もいたと思う、幸せの価値観はとても難しい。何が正義なのかわからない時代なので、私たちは先人たちの思いを胸に生きていかなければならない。過去に戦った人がいたからこそ、今がある。そういう思いが届いていたら嬉しいなと思って、あえて難しい質問させてもらった」と、思いを明かした。  また、生徒たちから登壇した3人への質問にも、積極的に手が上がり、盛り上がった。  「沖縄の忘れてはいけない大切な物語はなんだと思いますか?」という質問に対して大友監督は、連続テレビ小説『ちゅらさん』(NHK)から長く沖縄のことを考えてきた話や、一人ひとり価値観が違うことを語り、「映画としてメッセージを押し付けるようなことはしたくないと思った。“宝の島”の、この宝は何なのか?ということを皆さんの言葉で考えてもらいたいと思って作った」「この時代の人たちが、何を大切にしてきたのかを知ることは、何か参考になると思ったし、考えるきっかけになったら良いと思った。一人一人の宝が何なのか?を考えるきっかけになったら良いな」と、本作を作った思いを明かした。  「演技力について、どうやってそこまで入り込める演技ができるのか?」と質問された広瀬は「こんな大先輩の前で語ることは難しい」と妻夫木を意識しながらも、「役を演じるにあたり知らなかったことが多く、これが受け継がれていくために、映画というコンテンツを使って伝えていきたいと思いながら演じた。そして、また、その中で自分の中で生まれたものを大切に演じた」と、真摯(しんし)に答えた。  「さまざまな方言が出てきますが、難しかった言葉、残したいなと思った言葉は?」という妻夫木への質問に対し、感情を入れていくとアクセントが変わってしまうことがある難しさを語り、一番心に響いたせりふは「打ち返したら戦争じゃあらに」という永山瑛太が演じたオンのせりふをあげ、「じゃあどうすれば良い?というのはわからないけど、これを考えるのが日本の未来につながるのではないか」と熱く語った。  イベントの終わりに広瀬は「皆さんの素敵な言葉とまっすぐな目で見た作品の感想や、疑問を生の声で聞けたことに、今までの苦労が報われた」と感謝の気持ちを伝えた。  妻夫木は「地元の子どもたちと議論できるのがすごく楽しいし、素直な気持ちに触れて本当にうれしかった。過去を描くことが未来への問いかけになる、と思って作ってきた。そして死は終わりではなく、先人たちの想いは胸に刻まれている。僕たちはその想いを受けて精一杯生きていかなくてはいけないし、これからどう生きるべきなのか、お互いに手と手を取り合って考えていくきっかけになるような映画になったらうれしい」と熱を込めた。  最後に大友監督は「アメリカの統治された時代の物語だが、その時代を生きた人がどういうことを考え生きたのか?を調べて感じたことを伝えようと思って作った。この作品を観ていろんなことを感じて、もしこの想いを伝えたいと思ってくれたなら、ぜひ広めてほしい。この作品に込めたメッセージを沖縄にとどまらず、日本全国、そして世界へ届けたいと語り、今日の子どもたちの言葉に勇気づけられた」と話していた。

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