5月下旬以降、震度4の地震が相次いでいる北海道地方ではこの期間も震度4の地震が発生しました。北海道で警戒すべき地震は太平洋側だけではありません。北海道庁は初めて日本海側でおきる地震・津波の被害想定を公表しました。日本側での備えは?社会部災害担当・中濱弘道デスクが解説します。【週刊地震ニュース】 ■この期間も北海道で震度4の地震 6月2日から6月8日までの期間、国内では震度1以上の地震が35回発生し、北海道では震度4の地震がありました。 ▼6月2日午前3時51分ごろ 北海道大樹町と浦幌町で震度4を観測する地震がありました。震源は十勝沖、地震の規模を示すマグニチュードは6.1、震源の深さは27キロでした。 ▼6月2日午前11時31分ごろ 宮城県石巻市で震度3の地震がありました。震源は宮城県沖、マグニチュードは4.8、震源の深さは30キロでした。 ▼6月3日午後8時17分ごろ 愛媛県伊方町で震度3の地震がありました。震源は豊後水道でマグニチュードは4.3、震源の深さは45キロでした。 ▼6月3日午後10時18分ごろ 北海道浦幌町で震度3の地震がありました。震源は十勝沖、マグニチュードは5.2、震源の深さは33キロでした。 ▼6月5日午後11時51分ごろ 宮城県角田市で震度3の地震がありました。震源は福島県沖、マグニチュードは4.6、震源の深さは63キロでした。 ▼6月8日午後6時58分ごろ 茨城県日立市と笠間市で震度3の地震がありました。震源は茨城県北部、マグニチュードは3.8、震源の深さは60キロでした(速報値) ■5月中旬以降相次ぐ震度4の地震 北海道の道東地方を中心とした太平洋側のエリアでは5月以降、やや強い地震が相次いでおきています。 ▼5月15日に十勝地方中部 ▼5月23日に浦河沖 ▼5月26日に十勝地方南部 ▼5月31日に釧路沖の地震 (マグニチュード6.0) さらに今月に入っても ▼6月2日に十勝沖の地震 (マグニチュード6.1) 釧路沖の地震ではその後も余震活動とみられる地震が続いています。 北海道の道東地方や千島海溝沿いでは太平洋プレートが陸のプレートの下に沈み込むことで発生するマグニチュード6クラスの地震が定常的に発生しているうえ、千島海溝沿いでは2003年に十勝沖地震、これはマグニチュード8の巨大地震が発生したこともあるため日頃からの地震への備えを心がけてください。 ■初公表 北海道日本海側の地震津波想定 1993年には北海道南西沖地震で死者・不明者200名以上 ▼北海道南西沖地震 1993年7月12日、午後10時17分に発生したマグニチュードは7.8、震源の深さは35キロの大地震。当時の震度階級で最大震度は「5」、この地震によって大津波が発生し、津波などによって死者・行方不明者数は230人にのぼり、甚大な被害に。震源は奥尻島のすぐ近くで地震発生から4〜5分ほどで奥尻島に津波が押し寄せ、最大津波高約30メートルに達しました。気象庁は地震発生から5分後に、北海道の日本海沿岸に「大津波警報」を発表しましたが、その時、すでに、奥尻島に津波が到達していたとみられています。 今回公表された、被害想定の対象は稚内市から松前町までの日本海側に面する33市町村です。沿岸や沖合にある15の断層モデルで最大クラスの地震がおきた場合の津波の影響を計算したものです。北海道南西沖地震からは30年以上経過していますが、この他、日本海中部地震、去年は能登半島と日本海側で大きな被害がでる地震もおきています。北海道は関係する自治体などで防災対策を進めて欲しいとしています。 ■最大津波高26.9メートル 特徴は「強い揺れ」と「すぐ来る津波」 公表された被害想定では、もっとも高い津波は「せたな町」で26.9メートル、石狩市で18.4メートルです。他の市町村もいずれも高い津波となるうえ、地震直後すぐに影響が出るということが示されています。 ▼最大の建物被害は F01断層による地震で全壊が約16000棟 ▼人的被害は 檜山地方沖にあるF17断層で地震が冬の深夜におきた場合死者約7500人 ▼避難者数は F06D断層の地震で地震直後に最大約59000人 ▼低体温症で対処が必要な人は 最大約4100人出るとされています。 ■対策のポイントは 「早期の避難」と「防寒対策」 地震の専門家で、環境防災総合政策研究機構の草野富二雄さんは「日本海側で発生する地震は陸地に近く、かつ、浅い所で発生するため、揺れが大きくなり、津波が早く到達する特徴がある。強い揺れを感じたらすぐに避難」「北海道など寒冷地での冬の避難には、通常の注意に加えて低体温症への注意が必要。避難の際の防寒対策が重要」と話しています。