日本相撲協会を９日付で退職した前宮城野親方で元横綱の白鵬翔氏（４０）が同日、東京都内で記者会見を開き、「自分が置かれている状況を考えると、協会の外から相撲の発展に力を注ぐことがいいと判断した。新たな夢に向かって進み出す。悔いはない」と退職理由を説明し、今後は国内外で相撲の普及活動を行う意向を明らかにした。 　白鵬氏は昨年２月、師匠を務めていた宮城野部屋の元幕内力士による暴力行為の責任を問われて懲戒処分を受けた。昨年４月から部屋は一時閉鎖され、全員が伊勢ヶ浜部屋の預かりとなった。部屋付き親方として指導してきた白鵬氏は「４月で預かりになって１年がたったが、（再興が）いつになるのか分からず、退職という形になった」と心境を述べた。 　旧宮城野部屋の弟子を残して協会を去ることについては、「無責任という声も聞くが、今後も外の立場から見守り、応援していく。弟子に対する愛情は全く変わっていない」と強調した。 　白鵬氏は今年３月頃に退職に傾き始め、「（以後は）指導に身が入っていなかったかもしれない」と明かした。５月の夏場所中には同じ一門で理事を務める浅香山親方（元大関魁皇）の浅香山部屋へ預かり先を変えることも打診されたが、「部屋のキャパ（収容能力）もあるし、確実な話ではなかった」と慰留を固辞した理由を説明した。旧宮城野勢を受け入れた元横綱旭富士の先代伊勢ヶ浜親方（現・宮城野親方）も会見に同席し、「意志が固くて引き留められなかった。旧宮城野部屋の力士で名跡を継げる人が出てきたら、部屋を再興させてもらえるよう尽力したい」と語った。 　白鵬氏はこれまで開催してきた少年相撲の国際大会「白鵬杯」を基にして、世界に相撲の魅力を発信していくための会社を近く設立する構想も明らかにした。