認知症をグレーゾーンでくい止める! その最初のサイン、「物忘れ」との境い目は?

社会の高齢化が進むとともに、認知症の激増が心配されてきました。しかし、従来の予測とは少し違い、認知症のレベルまで認知機能の低下が進んでいる人の割合は、近年むしろ減っているとされています。 かわりに増えているのは、軽度認知障害(MCI)です。認知症といえるほどではないけれど、同年齢の人にくらべ、認知機能がやや低下している状態がMCIです。病的とも健常ともいえない「グレーゾーン」の段階と言いかえてもよいでしょう。 そんなグレーゾーンからのUターンをはかり、すこやかな生活を長く続けるためのな具体的な対策を徹底解説した『 軽度認知障害(MCI)がわかる本 認知症をグレーゾーンでくい止める 』より、気になる章をお届けします。 「面倒くさい」が最初のサイン 脳が活発に働かなければ、あれこれ考え、決めたことに集中して取り組んでいくことはできません。脳のなかでも高度な認知機能を司る前頭前野の働きが低下すると、なにをするのも時間がかかり、しんどくなってきます。そして出てくる言葉が「面倒くさい」です。 面倒だから今はしない、あとでいい、だれかかわりにやってほしいといっているうちに、脳は働く機会を失います。やがて記憶の働きと関連深い「海馬」という部位の萎縮がみられるようになることもあります。こうなって初めて認知機能の低下を心配する人が多いのですが、じつはもっと前から認知機能の低下は始まっているのです。 ■意欲の低下の気がかりな現れ方 だれでもやる気が出なかったり、なにもしたくなくなったりするときはありますが、その程度や現れ方によっては、認知機能が低下したグレーゾーンのサインととらえる必要があります。 (1)身だしなみを気にしなくなった 出かける機会が減り、着替えや化粧、ひげそりなどを面倒に感じていても、人前に出るときは別というならよいのですが、人前に出るときもおかまいなし、歯みがきや入浴も面倒がってしないようなら、自然な老化の範囲とはいえません。 (2)急に出不精になった 以前は社交的だったのに、親しい人に誘われても出かけようとしない、人とのかかわりをわずらわしいと思うようなら要注意です。 (3)料理をしなくなった 料理は思いのほか頭を使う作業です。「料理が面倒」という声はよく聞かれますが、急に「できない」「したくない」となった場合には、認知機能の低下が関係している可能性があります。 (4) 長年の趣味や習いごとが面倒になる ある程度の年齢になってから新しいことを始めようとしても、なかなか続かないなどということはよくあります。しかし、長年続けてきたことを急に面倒がり、やめてしまったなどという場合には、意欲の低下が進んでいる可能性があります。 ■脳の働きは部位によって異なる 脳は部位により、担っている機能が異なります。高度な認知機能を司る前頭前野の働きが低下すると、「面倒くさい」という言葉が出やすくなります。 ・意欲に欠かせない前頭前野の働き 脳の司令部といわれる大脳の前頭葉、なかでも前方の前頭前野は、ほかの部位から伝わる情報をまとめ、体の各部位に適切な指令を与えています。前頭前野が働くことで、考えたり、がんばったり、実行に移したりすることができます。働きが低下すると、考えがまとまらない、やる気が出ない、なにをするのも面倒、といった行動に現れるようになります。 ドキッとするような忘れ方に要注意 年をとるにつれ、多くの人は「もの忘れが増えた」と感じるようになります。「新しいことが覚えられない」というのも、よくあることです。 けれど、あまりにひんぱんに起こる、身近な人やよく使っているものの名前を忘れる、聞いた内容を忘れるだけでなく聞いたこと自体を覚えていないなど、自分や家族がドキッとするような忘れ方をするようになってきたら、グレーゾーンの段階に入り込んでいるサインかもしれません。放っておけば、忘れやすさは増していくおそれがあります。 ■気がかりな忘れ方の例 まったく覚えていないことに気づいたり指摘されたりして、ドキッとするような体験が増えてきたら要注意。認知症一歩手前のグレーゾーンに入り込んでいるサインととらえることが大切です。 ■年齢のせい? それとも病気? 認知機能の低下を実感しやすいのが、記憶力の低下です。年齢相応の忘れ方と病的な忘れ方は特徴が違うといわれますが、明確に区別できるとはかぎりません。 〇年齢相応なもの忘れ ・重要なことは覚えていられるが、どうでもよいことは忘れがち ・体験の一部を思い出せなかったり、思い出すまでに時間がかかったりする ・自分の忘れやすさを自覚し、認められる ・忘れやすさの程度が急にひどくなっていくことはない <境界線はあいまい。区別しにくいこともある> 〇病的なもの忘れ ・ごく最近の出来事は、重要なことでも忘れてしまう ・体験そのものを忘れてしまい、思い出せない ・自分が忘れていることに気がつかない ・忘れやすさの程度が、どんどんひどくなっていく ※たまに同じものを買ってしまうことはある。しかし、いったん気づいたのに、またくり返すようなら要注意 【オススメ】認知症減少の裏で、増え続ける“グレーゾーン”軽度認知障害(MCI)。グレーを黒にしないためにできること

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