脳の対話方式はたった「2種類」だけ…累計100万部超の「トリセツ」シリーズ作家によるコミュニケーションの本質

上司と部下、先輩と後輩、取引先、夫婦、親子……、いつも会話がすれ違うのは、じつは対話の様式が大きく違っているから。累計100万部超の「トリセツ」シリーズ産みの親が、満を持して書き下ろしたコミュニケーションの秘訣『対話のトリセツ ハイブリッド・コミュニケーションのすすめ』から、注目の章をご紹介! はじめに この世の対話方式は、大きく2種類に分類される。 日ごろ、何気なくしている対話に、二つのスタイルがあるってことだ。 誰もが、脳の中に、2種類の対話方式を持っている。そして、世界中の人がとっさに、この2種類のうちのいずれかを選択して、しゃべり始める。 千差万別、複雑怪奇、意味不明に思えるあらゆる対話に、運動方程式のような、美しい機構があったのである。 これが、私の人生で最大の発見である。 おそらく、この真実を探しに、私はこの星にやってきたのだと思う。 実は、私たちの脳には、とっさに使う2種類の回路がある。それぞれの回路が、まったく別の推論をして、別々の答えを出す。その二つの推論と答えは、生きるためにあまりにも重要すぎて、優劣がつけられない。しかしながら、脳の機構上、二つの回路を同時には起動できないのである。 しかたないので、ヒトは基本どちらかを優先して使い、別のほうを優先して使う者とペアやチームになって生きていく。 生殖のペアは、ほぼ必ずこの組み合わせになっている。生き残らなくてはならない、最たるペアだからだ。推論の方式が違うから、ものの見方、感じ方、対話の進め方、結論の出し方がまったく違う。当然、対話はすれ違う。上司と部下、親と子、サービス提供者と顧客、目論見の違う同僚同士の間でも、これが起こる。 つまり、この世のコミュニケーションは、すれ違うのが基本だってこと。「うまくいくはずなのに、うまくいかない」んじゃなくて、「もともと、うまくいかないように設計されていた」のである(!)。 すれ違うのは、あたりまえ 脳にとって最優先なのは、生き残って、遺伝子を残すこと。 互いの意見を尊重し合う(「あなたの考えのほうがいいかも」「きみの言うとおりでいいよ」)より、互いの意見をぶつけ合って確信の強いほうが勝つ(「右よ」「左じゃない?」「はぁ(怒)」「右でいい」)ほうがすばやく結論が出せて、結果、ペアの生存可能性が高い。 そういうペアだけが遺伝子を残せて、そういう脳たちが生き残って今に至るのである——そう、私たちの脳は、はなっから「優しい思いやり」なんて、最優先にはしていなかったのである(もちろん最優先じゃないだけで、そうしたい気持ちは満々だけど、とっさにはイラつくわけ)。 生き残るために、私たちの脳は、常に究極の推論をしている。夫婦や上司・部下の対話がすれ違うのは、その推論の一部であって、何かの間違いじゃない。 歴然と悪意がある場合を除いて、誰もが、愛と誠意でことばを紡ぐ。自分と大切な人の生存可能性を上げるために。なのに、片方は、もう片方の想定内の反応ができない。言ってあげたいことばと、言ってほしいことばが一致しないのである。このため、誠意が悪意に取られること、感性のよさが愚かさと勘違いされることが頻発している。 「あの人はなぜわかってくれないのだろう」「あいつはなぜわかろうとしないんだ」 ——そんなふうに背と背を向け合ったとき、前者は相手の心根を疑い、後者は能力を疑う。対話がすれ違っただけなのに、人は「思いやりのない、ひどい人」と恨まれたり、「社会性が低い、使えない」と蔑まれたりしているのである。どちらも濡れ衣なのに。 『「対話力」こそが生成AIを使いこなす鍵…累計100万部超の“トリセツ”作家が語る、今身につけるべき必修スキル』へ続く。 【つづきを読む】「対話力」こそが生成AIを使いこなす鍵…累計100万部超の“トリセツ”作家が語る、今身につけるべき必修スキル

もっと
Recommendations

「警察に情報漏洩」 公表前の内部資料 熊本県玉東町が職員処分 地方公務員法に抵触

熊本県玉東町は12日、5月に減給処分とした職員について、警察への情報…

「娘が30代の男に…」女子高校生の母親が相談し発覚「自分の性欲に負けて」33歳男を逮捕 札幌

札幌・白石警察署は2025年6月12日、北海道青少年健全育成条例違反(淫…

【 SING LIKE TALKING 】西村智彦さん 死去 61歳 「強い想いで病と闘って参りました」

バンド「SING LIKE TALKING」のメンバー・西村智彦さんが死去したこと…

TGCへの挑戦に秘められた老舗アパレルの戦略 キーワード「非効率」に隠された真の価値とは!?

4月に熊本で開催された史上最大級のファッションフェスタ「東京ガ …

山尾志桜里氏、不倫問題に「お答えは控える」一点張りの“杜撰”会見…ひろゆきもXで呆れる始末

実業家のひろゆき氏が6月11日、Xを更新。《一般人からみた山尾さん…

児童下校中の2か所で車から「爆竹のようなもの」投げ走り去る…道交法違反疑いあるとみて警察が「黒い車」追う(浜松市)

11日、浜松市中央区で下校中の小学生がいる中、何者かが車から「爆竹…

「早く見通しを出した方が良い」海外からの“輸入米” 主食用の入札を前倒して実施へ 小泉農水大臣が表明

コメ価格の高止まりが続く中、小泉農林水産大臣は、主食用として海外…

浅田真央さん、トップスケーター育成の「アカデミー」設立…「世界に羽ばたくスケーター育てたい」

バンクーバー五輪フィギュアスケート女子銀メダリストの浅田真央さ…

【感染症】「りんご病」ことし最多に 高止まりの「百日せき」は去年の14倍以上《新潟》

主に子どもを中心に流行する伝染性紅斑、いわゆる「りんご病」の患者…

日本の男女平等度118位、G7で最下位…「政治参加」後退・「経済活動」わずかに改善

【ロンドン=中西梓】スイスの民間研究機関「世界経済フォーラム」…

loading...