ツバメ「子育て期」、巣の無断撤去が後絶たず…子育て放棄の可能性「ツバメのことを考え行動を」

 解体工事中の富山県砺波市内の家屋で、ヒナがかえったばかりのツバメの巣が見つかった。  業者は工事を延期、その成長ぶりを温かく見守っている。(佐藤伶)  巣を見つけたのは、解体工事などを請け負う県内業者。先月下旬、工事現場である木造2階建て家屋の玄関そばの軒下に、子育て中のツバメの巣があるのを、作業中だった数人の作業員が確認した。ヒナは4羽ないし5羽いる模様だ。  業者は巣を近くの建物に移せないか、県鳥獣保護センターに相談したが、人間が巣を移すと親鳥が子育てを放棄する可能性があるとの助言を受けた。加えて、許可を受けずに卵や孵化(ふか)したヒナを巣から移すことを鳥獣保護法が禁じていることを知った。  ひとたび解体を延期すると、後に続く工事にも大きな支障が出るが、業者は「人間の都合で命をむげにできない」と、解体に関わる他の業者や依頼主にも通知して、作業はヒナが巣立つまで延期することを決定。さらに、センターの助言を参考に、ヒナをカラスから守るための囲いも設置した。  業者は「巣立ったツバメが一丁前になって日本に帰ってきて、また近くに巣を作ってくれればうれしい」と話している。 県が注意呼びかけ  ツバメは春から初夏にかけて営巣し、子育てを始めるが、鳥獣保護法を理解せずに巣を撤去してしまう事例が後を絶たず、県は注意を呼びかけている。  県自然保護課によると、卵があったりヒナがいたりするツバメなどの巣の撤去が認められるのは、電線にあって火災や漏電の危険がある場合や、個人宅ではフン害や健康被害、その恐れがある場合などに限られ、自治体の許可が必要となる。  違反すれば、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金を科される恐れもある。  同課の中島龍生主事は「鳥獣保護法は人間の都合で生き物を安易に殺さないために定められている」としている。  県鳥獣保護センターの見浦沙耶子・野生鳥獣共生管理員は「法律を理解せずに解体工事を続けてしまう例もある」と指摘する。  ヒナの生育には親鳥の支えが欠かせず、「人間がツバメのことを考えて行動することで、保護することができる」という。  今回、砺波市での業者の判断については「ヒナの命を大切にして、優しい判断をしてくれたことはありがたい。この出来事を機に、多くの人に法律についても知ってほしい」と話している。

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