いま日本で謎の死が増えている——。コロナ禍以降、有名人が癌で亡くなるニュースが相次ぎ、癌の死亡者数が急増しているのはなぜなのか。効果が疑わしいワクチンや無意味な医療を、国や医療界が推奨し続ける背景には何があるのか。日本の医療界に潜む巨大な闇に、地域医療で奮闘する在野の医師がメスを入れる正義の一冊!6月5日発売の新刊『何かがおかしい 「がん急増」の謎』より抜粋・再編集して、内容の一部をお届けする。 『何かがおかしい 「がん急増」の謎』連載第4回 『新型コロナワクチンが「がん」の進行を加速させる!?…「ターボがん」が噂されるようになった医学的理由とは』より続く。 がん患者、増加中? 私の周囲では「最近、あの人ががんになった」という話をよく聞きます。実はこの本の編集に関わった方にも、ご友人ががんになったという人がおられます。もしかしたら、いま日本でがんになる方が増えているのではないか。何となくそう思っている人も多いのではないでしょうか。 日々の報道でも、「有名人の方ががんになった」というニュースを多く目にします。たとえば経済評論家の森永卓郎さんは、2023年末、膵臓がんのステージ�を宣告されたと公表して大きな話題になりました。 森永さんの場合、のちに「膵臓がん」から「原発不明がん」に診断が変わっています。先ほどのAさんのケースと同様、「がん発見時にはすでに全身に転移していて、どこで発生したかわからない」状態ということなのでしょう。森永さんの場合も、相当進行が速かったと推測できます。 また、元編集者で評論家の山田五郎さんが、2024年10月、ユーチューブ動画において同じように原発不明がんを公表されたことも注目を集めました。ほか、芸能人では、梅宮アンナさんが2024年夏に「乳がん」を公表しているほか、俳優・タレントの見栄晴さんも2024年1月に「下咽頭がんステージ�」を公表しています。お2人ともまだ50代です。 もっと若い世代にも、がんを公表される方が相次いでいます。2024年4月にはラッパーの漢a.k.a. GAMIさんが「扁平上皮がん」というまれな膀胱がんを公表しています。元外資系コンサルタントの勅使川原真衣さんという方が、「乳がんに罹った母が子どもに語る」形式で執筆した『「能力」の生きづらさをほぐす』(どく社)という本が話題になりました。 やはり、日本全体でがん患者が著しく増えているのではないか。 そんな疑問を持たざるを得ません。 「がん患者数」の正確な統計はない 注意しなければならないのは、「ミクロの話とマクロの話は分けて考えるべき」という点です。仮に身の回りでがんが増えていたとしても、日本全体でもそうであるとは限りません。統計データをきちんと確認する必要があります。 では、「がん患者が増えている」という統計はあるのでしょうか? 結論から言うと、ありません。ただ、それは「がん患者が増えていない」ということではありません。「がんの正確な患者数はわからない」ということです。実は、日本には「がん患者数の公式統計」はありません。個々の学会でとっている統計はあるのですが、いずれも部分的な数字で、全体を網羅した統計ではないのです。 これとは別に、「DPC」というものもあります。「DPC」とは、病院が診療報酬をもらう際に、「うちには肺がんの方○名が○ヵ月入院しています」というふうに病名を報告する制度のことです。この数字を見れば、どんな病気の人が何人いるかがある程度わかるというわけです。ですが、DPCにも問題があります。DPCに参加しているのは大きな病院だけです。私のクリニックのような小さなところは参加していません。日本において大病院が占める割合は5〜6割程度とされています。だから、DPCでわかるのは、全体の半分程度の傾向でしかないのです。 では「がん急増」を裏付けるデータがまったくないのかというと、そうではないのです。がんの患者数が急増すれば、がんで亡くなる方も急増するはず。「がんの死亡数」が増えていれば、がんが急増している証拠となるわけです。 ちなみに「患者数」を網羅した統計はなくても、「死亡数」については「人口動態統計」というかなりきっちりした統計があります。日本人が亡くなると医師が死亡の診断を下します。その際に「死因」を報告しているので、「死因ががんだった人数」については、正確な数字がわかるのです。 もちろん、がんで亡くなられる方は、通常、数年は闘病生活を送られるため、「患者数の急増」から「死亡数の急増」まで、タイムラグがあると考えられます。ですが、最近のがんは進行が速いことを考えると、すでにある程度がん死亡数の増加が見て取れる可能性はあるでしょう。 つまり、日本人の死因を調べれば、いま何が起きているのか、ある程度の傾向をつかめるはずだ、ということです。 「死亡数が急増しているがん」の名前 では「人口動態統計」をもとに、がんによる死亡数の状況を見てみることにしましょう。 次にあげるのは、「がんによる死亡の総数」を表したグラフです。 棒グラフは、「人口動態統計」をもとにした、「死亡数」。直線は「2020年までの回帰数」を表しています。「2020年までの回帰数」とは、要するに、「コロナ禍以前の死亡数から予想した死亡数」のこと。つまり、「直線と棒グラフが一致していれば、死亡数は予想通り」で、「棒グラフが直線を下回っていれば、死亡数が急減している」ということになります。 逆に、「棒グラフが直線を超えていれば、予想を超えた死亡が起きている」、つまり「死亡数が顕著に急増している」と見ることができます。さて、「がん全体の死亡数」の棒グラフは、緩やかに増加していますが、直線とほぼ一致しています。つまり、「がん全体の死亡数は予想通りで、増えていない」ということです。 もちろん、先に触れたように、がん患者数の増加と、がん死亡数の増加にはタイムラグがあるので、これだけで結論を出すわけにはいきません。しかも、個別のがんの死亡数を見ていくと、また違った景色が見えてきます。 次にあげるのは、「卵巣がん」と「白血病」、および「乳がん」の死亡数のグラフです。 「卵巣がんの死亡数」は、2021年から棒グラフが直線を上回る状態になっています。つまり、「卵巣がんの死亡数は、予想を超えて急増している」ということです。 また、血液のがんである「白血病の死亡数」も、2022年から同様に急増していることがわかります。さらに「乳がんの死亡数」も、2022年に少しだけ、棒グラフが直線を超えており、予想を超えた急増がありました。ただ、その後は減少しているので、あくまで一時的な変動だった可能性もあります。 ほか、「腎不全などの死亡数」も2021年から「超過死亡」になっているのです。 『コロナワクチン接種で「卵巣がん」や「白血病」に…ファイザー社の資料から分析するワクチンとがん死亡数急増の関係性』へ続く。 【つづきを読む】コロナワクチン接種で「卵巣がん」や「白血病」に…ファイザー社の資料から分析するワクチンとがん死亡数急増の関係性